改修・修繕・改良の意味の違いは?改修工事について詳しく解説
改修工事とは建物の原状回復に加え、新規の設備をつけることなどによって性能を向上させる工事のことです。改修工事は建物の資産価値の向上につながり、賃貸物件の場合は空き室が出るのを防ぐのに効果的です。
改修工事と似た言葉に修繕工事や改良工事などがあり、それぞれの言葉の意味を混同している方もいるかもしれません。今回は改修工事の意味や修繕工事や改良工事との違いのほか、改修工事を行うメリットなどを詳しく説明します。
改修工事とは?
改修工事とは、マンションをはじめとする住居を施工し、住宅性能をライフスタイルや多様な暮らし方に合わせてグレードアップする工事のことです。
また、「住生活基本計画」は、社会環境の変化、居住者・コミュニティ、住宅ストック・産業の3つの視点から良質な住宅を確保することを目標に国土交通省が令和3年に定めた基本計画であり、改修工事をする際にはこの計画が参考にされることがあります。
昨今の設備機器の進化に伴い、新築マンションに代表される住宅の利便性や性能は著しく向上しています。築年数の長いマンションは経年劣化だけでなく、性能面で見劣りすることは避けられません。
そのようなマンションの資産価値を維持するために、性能を回復させることに加え、新たな機能や設備を導入することが求められます。改修工事は原状回復にとどまらず、機能の向上を図るための工事であることがポイントです。
ここでは、改修工事と間違えやすい「修繕工事」や「改良工事」についても、概要や具体的な工事内容を紹介します。
参考:国土交通省 「住生活基本計画」
修繕工事
修繕工事は、建物を新築当初の状態まで回復させるために行われる工事であり、経年劣化や不具合による修復を目的とします。
改修工事は、原状回復以上の性能向上を目指す工事であり、修繕工事とは異なります。修繕工事は、劣化して使用できなくなった箇所を修理・修繕するのでイメージとしてはリフォームに近い工事です。
マンションや高層ビルの資産価値を保つために行われる大規模修繕工事は、修繕工事の規模が大きく工事期間が長いものです。外壁や屋外の防水工事のほか、劣化したり損傷したりした排水管や給水管の取り替えなどが主な施工内容です。
改良工事
改良工事とは、建物の性能や機能を新築時よりもグレードアップさせる工事のことを指します。住宅を建設する土地の地盤が弱い場合、地盤を適切な状態に施工する「地盤改良工事」は、改良工事の1つです。
地盤改良工事は、建設会社やハウスメーカーから依頼を受けた専門の地盤調査会社が行う調査の結果と土地の周辺情報を総合的に勘案し、必要性を判断します。
地盤改良工事には、セメントを用いて地表の周辺を固める表層改良工法や、円柱状に地盤を固めた改良杭を使って建物を支える柱状改良工法など、さまざまな工法があります。いずれも比較的リーズナブルな費用での施工が可能であり、多く採用されている工法です。
また、近年ではバリアフリー化、省エネ化、警備システムの強化などの改良工事を行い、資産価値を維持・向上させているマンションもあります。
改修工事
改修工事は、前述のとおり建物の原状回復に加え、さらに機能の向上を図る工事を指します。また、改修工事はリノベーションと同様の意味合いを持つことがあります。混同しやすい修繕工事や改良工事を用いて改修工事をあらわすと、以下のような式になります。
改修工事=修繕工事+改良工事
改修工事の具体的な施工内容として挙げられるのは、以下のような工事です。
- 耐震住宅にするための工事
- 断熱住宅にするための工事
- バリアフリー住宅にするための工事
また、住居の利便性向上のためにエレベーターを新設する工事も改修工事にあたります。
参考:国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」
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改修工事を行うメリット
改修工事を行うメリットとしては、以下の4点があります。
- 建物の安全性が向上する
- 建物の利便性が上がる
- 建物の資産価値の維持、あるいはアップができる
- 入居者の募集に繋がる
マンションをはじめとする建物の劣化を改修する工事を行うことで、新築時を上回る耐久性を備え、住居者が安心して暮らせるようになるでしょう。また利便性を向上させ、時代の変化に対応することも重要です。
それぞれの内容を解説していきます。
建物の安全性が向上する
改修工事のメリットとしてまず挙げられるのは、安全性が向上する点です。建物には経年劣化がつきものであり、目に見える箇所はもちろん、外からは見えない箇所についても修繕を行う必要があります。
しっかりと工事がなされていないと、大きな地震の発生時に崩壊してしまうケースも珍しくないので、万が一のためにも耐震改修工事をして日頃から備えておくことが大切です。
マンションや高層ビルでは、数十年に1度のペースで定期的に改修工事が行われるのが一般的です。
建物の利便性が上がる
建物の利便性が上がることも、改修工事によって得られるメリットの1つです。時代の移り変わりとともに、人々が求める利便性も変化します。そのため費用はかかるものの、設備を改修する工事を行うことで、建物の資産価値を保つ効果も見込めるでしょう。
具体的には、建物内に手すりやスロープを設置しバリアフリー機能を備えることや、エレベーターを増設することなどが挙げられます。
建物の資産価値の維持、あるいはアップができる
改修工事によって、建物の資産価値の維持にとどまらず、価値の向上が見込まれることもメリットといえるでしょう。
一般的に建物の資産価値は、新築時から20年ほど経過するとほぼ無くなってしまうといわれています。そのため資産価値がゼロになった建物は、売却もままならないのが実状です。
しかし建物やその設備を修繕したり改良したりする工事を行うことで、新築時の状態よりもさらに機能性や性能を高めることが可能です。マンションや高層ビルが計画的に大規模修繕工事を行うのも、こういった背景があるためです。
入居者の募集に繋がる
マンションをはじめとする集合住宅の場合、改修工事をすることで入居者の募集に繋がります。綺麗に改修された建物であることを、居住の条件とする人も少なくないでしょう。
賃貸物件に空き部屋を作らないためにも、建物の劣化を修繕する施工は欠かせません。
マンションの改修工事の種類
マンションの改修工事は、おおまかに以下の3種類に分類されます。
- 屋根・外壁修繕・防水工事
- 塗装工事
- その他
それぞれを解説していきます。
屋根・外壁修繕・防水工事
屋根・外壁修繕・防水工事は、建物外壁の劣化や損傷箇所を修繕します。建物の屋根や外壁などの外装は、長期間にわたって雨風にさらされて劣化や損傷している状態のため、塗装やタイルなどが剥がれ落ちやすい状況になります。
万が一剥がれた場合は、最上階の住居で雨漏りが発生したり、外壁も落下などの危険性があるため、改修工事が必要です。主に、浸透性塗膜防水工事や透明外壁防水剤加工工事、屋上の防水工事などがあります。
塗装工事
ベランダや供用廊下、階段などの供用部分も、長期間にわたり雨風にさらされる箇所に関しては、劣化・損傷しており改修工事が必要となります。
今後の劣化スピードをゆるやかにするため、塗装工事を施すのがおすすめです。定期的に塗装工事を行うことで、耐久性・耐水性を維持でき、建物の耐用年数を延ばすことができるでしょう。
その他の工事
その他の工事としては、主に以下のような設備工事があります。
- 給水設備改修工事(屋内や屋外の供用給水管、給水装置・給水施設の劣化や損傷など)
- 排水工事改修工事(屋内や屋外の排水設備、汚水設備、雨水などの排水設備など)
- ガス・空調・換気設備改修工事(ガス管やメーターの劣化・損傷、空調設備の劣化・損傷など)
- エレベーター設備改修工事(ロープやモーター、巻き上げ機や扉などの劣化・損傷など)
- 機械式駐車場改修工事(駐車装置、安全装置等の劣化・損傷など)
- 工場や倉庫などの営業用施設における塗床改修工事(床面の劣化・損傷による転倒防止)
マンションの改修工事の事例
建物を原状回復させるだけでなく、さらに新規の設備を設置したりすることで性能の向上を図る改修工事ですが、どのようなものがあるのでしょうか。耐震工事や断熱工事、バリアフリーに関する工事などが代表例であり、資産価値を新築時よりも向上させることが目的となります。
- 建物の耐震補強工事
- 住戸数の変更
- マンション窓ガラスの断熱改修
- 高経年団地型マンションの外断熱改修
- 団地全体の環境整備における省エネ改修
- マンション用電気自動車基礎充電設備の設置
- マンションの浸透性塗膜防水工事
- マンションの屋上防水工事
参考:国土交通省住宅局参事官「マンションにおける省エネ改修工事などの事例紹介」
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改修工事とは建物を原状回復させるだけでなく、新規の設備の設置などによって性能を向上させる工事のことです。安全性や利便性が向上し、建物としての資産価値の向上につながり、賃貸物件の場合は空き室が生じることを防ぐ効果が見込めます。
また、工事内容によっては、要件を満たせば補助金を申請することも可能なので各自治体へ確認してみましょう。
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