ふと見るといつも寝ている犬、「うちの子いつも寝ているけど、これって大丈夫なの?」「年を取って寝る時間が増えてるけど、もしかしたら病気なのかしら?」。初めて犬を飼った時は、あまりの睡眠時間の長さに不安を覚えてしまう方もいるかと思います。
犬の睡眠時間は人間より長く、成犬で平均12時間前後。そこには野生の名残とも言える理由があるのです。また犬の種類によっても睡眠時間は違い、平均的に大きな犬・動きの激しい犬ほど長い睡眠時間が必要になります。
参照元情報:
How Long Do Dogs Sleep Per Day? (2017年3月現時点。医療に関わる判断をする場合は必ず獣医の判断を仰ぐようにしてください。)
犬の平均睡眠時間
1.幼犬

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幼犬から飼ったことのある人なら見かけたことのある光景だと思いますが、元気に走り回っているかと思うと止まった瞬間に目がとろ~ん、そしてペチャとへたり込みそのまま寝てしまう。思わず微笑んでしまう、なんとも愛らしい姿ですね。
アメリカ・ワシントン大学の調査によると幼犬の睡眠時間は、なんと18~19時間!生まれて3か月くらいまでを幼犬、その後1年くらいまでを子犬と呼びますが、この頃が一番好奇心旺盛で小さな体を目いっぱい使って動き回ります。そのため多くのエネルギーを消費するので、いくら寝ても寝足りないのですね。
2.成犬

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成犬になると少し落ち着きはじめ、動きも穏やかになります。そのため睡眠時間は子犬の頃より減り、平均で12時間前後になります。犬種によっても多少バラツキがあり、小型犬の場合は10時間前後、中・大型犬の場合は12時間前後となります。
ただし小型犬でもポメラニアンやトイプードルのように活発に動き回る犬は、成犬になっても12~18時間眠るそうです。良く寝ますよね、人間なら寝過ぎで腰が痛くなってしまいそうです。しかし、犬にとって睡眠は体力回復の大切な時間、できるだけゆっくり眠れる環境を作ってあげたいですね。
3.老犬

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犬も人間と同様、年を取ると身体が衰えてきます。そのため9歳を超えるあたりからは老犬の仲間入りし、睡眠時間も幼犬時代のように長くなってきます。犬は最初の1年で、人間でいえば12~17歳くらいまで一気に成長します。その後1年毎に4~7歳ほど年を取っていき、10年では人間でいうと56~75歳くらいになっています。人間でも60歳を過ぎると体力の衰えを感じますね。そこで体力を補うために、長い睡眠が必要となるのです。
犬の睡眠におけるポイント
1.睡眠不足/睡眠時間が平均より短い場合
犬の睡眠時間は成犬の場合で平均10~12時間ですが、それよりも短く8時間を切ってしまう場合はちょっと心配ですね。原因として、引越しなどの環境の変化や、認知症・体調不良などが考えられます。眠りたくても眠れないことから起きる睡眠不足は、人間同様たいへんなストレスになります。何がストレスになっているのか原因を調べて、安心して眠れる環境を作ってあげましょう。
2.睡眠時間が平均よりも長すぎる場合
人間よりたくさん寝る犬ですが、それでも普段より長い時間寝ている場合は要注意!もしかたら病気が隠されているかもしれません。様々なストレスから体力を消耗している場合もありますが、もしかしたら何か病気で苦しんでいる可能性もあります。
一番心配なのが甲状腺機能低下症。この病気は代謝機能が衰えてしまうため、通常より体力の消耗が激しくなり睡眠時間が増加します。また眠り病と言われるナルコレプシーや糖尿病、感染症など特定の病気を患っていることもあります。状況によっては命に関わるケースもありますので、「普段と違うな」と感じたら病院で診察してもらいましょう。
3.犬が長い睡眠が必要な理由
犬は、もとは狩りをして暮らす狼の仲間でした。そのため獲物を狙いやすい夜に行動する夜行性の動物であり、昼間に睡眠を取る習性だったのです。それが人間に飼われペットとして暮らすようになり、その優れた適応能力から人間の生活の合わせて夜も眠るようになりました。
また睡眠には浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠がありますが、人間の場合は8割がノンレム睡眠です。しかし犬はその逆でノンレム睡眠は2割程度で、ほとんどがレム睡眠です。そのため寝ていても、ちょっとした物音ですぐに目を覚ましてしまいます。つまり野生の本能から、危険を察知していつでもすぐに起きて行動できるように、体が作られているのですね。「眠れる時には寝て体力を回復する」犬にとって睡眠は体力の温存・回復のため、とても大切な時間なのです。
最後に
犬は1日のほとんどの時間を寝て過ごします。しかしこの睡眠時間こそが、犬にとっては健康維持のための大切な時間です。その大切な時間は、犬にとって強いリーダーである現在の飼い主によって守られます。つまり飼い主との信頼関係が、犬の精神安定や良質な睡眠と密接な関係があるのです。成長フェーズや犬種別の、犬の睡眠時間を知って、大切な家族の一員である愛犬の健康管理をしてあげてください。