アボカドは、見た目に反して素晴らしい栄養素を備えた食材です。しかしアボカドが、メキシコに深刻な被害をもたらしています。
アボカドを知る！3つのポイント
1.アボカドとは？
森のバターとも呼ばれます。日本ではマグロに似た味だとされ、わさび醤油で食べるような食べ方も人気でした。
近年はそのおいしさで世界的に知名度が上昇しており、ポピュラーな食材として知れ渡っています。サラダの具・ペースト・ハンバーガーの具材などで利用され、スーパーの野菜売り場でもたくさん並んでいます。
2.アボカドの栄養とは？
20％は脂肪です。この脂肪にはリノール酸やリノレン酸が含まれます。リノール酸もリノレン酸も、コレステロールを減らす働きがあるため、アボカドに含まれる脂肪は、良い脂肪と言えます。
ビタミンはB1、B2、Eが含まれます。そのほかミネラルや食物繊維も豊富です。
3.アボカドのカロリーは？
100gで187kcalです。
アボカド料理3選！アボカドを使う料理はこれ
1.カリフォルニアロール
洋風の巻き寿司です。
魚を食べる習慣がある日本人やアジア人は、寿司もマグロも魚も抵抗なく口にできます。しかし欧米の人や魚を食べる習慣がない内陸部の国には、世界中でブームと言ってもSUSHIで使っている魚の生臭さに抵抗があるでしょう。魚は新鮮であれば臭みはありませんが、魚の締め方や血抜きなどの技術を知らなければ鮮度を保てません。
しかしアボカドがあれば、トロに似た味で、ご飯と合わせても悪くありません。アボカドは、世界中の洋風巻き寿司で使われています。
2.ワカモレ
メキシコ料理で、ワカモーレとも呼ばれるアボカドペーストです。トマト、玉ねぎ、ライムジュース、にんにく、唐辛子で作ります。元々はメキシコ料理ですが、アメリカ人にも人気のメニューのひとつです。
3.トルティーヤ・サンドイッチ・ハンバーガーの具材として
メキシコで食べられるトルティーヤの具として使われています。サンドイッチやハンバーガーの具材にも使われます。
アボカドブームが引き起こすこと3つ
1.アボカドの素晴らしい健康への効果が、人々と地球の健康を奪っている
こちらは、イギリスのオンライン新聞であるINDEPENDENTの記事です（英語）。少々日付が古い記事ではありますが、現在進行形でことは進んでいると考えられるでしょう。
- アボカドが世界的にブームになった
- 栽培量を増やしたい
- 畑を増やしたい、森林が切り開かれている
- 森林が減少している
- 順調に育てたい
- 虫を減らすために農薬を散布している
- その農薬が、栽培者や畑の近隣に住む人々の健康に被害をもたらしている
記事内では、メキシコのアボカドにおける最大貿易相手国が日本であることも明記されています。
2.食べるのを止めるとどうなる？
アボカドの栽培を拡大することが、弊害を引き起こしている。では、日本人はアボカドを食べるのをやめれば良いのでしょうか。
アボカドを食べなくなれば、メキシコと日本の貿易に影響が出ます。アボカド栽培で生計を立てている人たちも、輸出量が減れば生活が立ちゆかなくなります。
3.アボカドを食べ続けるとどうなる？
アボカドはおいしいです。しかし世界中でその人気がうなぎのぼりになれば、畑を作るためにメキシコの森林破壊はさらに進み、森林破壊が進めば地球の温暖化が進みます。畑が増えれば農薬被害も深刻化します。
アボカドを購入するときの選び方
メキシコ産のアボカドはメキシコ政府認定のシールが貼られたものを選ぶようにしましょう。少なくとも残留農薬がないよう配慮して生産されたアボカドであることは確かです。
フェアトレードジャパンのサイトでも、アボカドも国際フェアトレード認証対象産品であることを明記しています。ただし日本国内でフェアトレードのアボカドが流通している例は確認できていません（2017年7月現在）。アボカドオイルには、フェアトレードのアボカドを使用しているものが販売されています。
アボカドについて考えたい3つのポイント
1.数字が示す、日本でのアボカドブーム
平成26年に東京税関が発表している興味深いデータがあります。2013年には、全国のアボカド輸入量も、東京税関でのアボカド輸入量も過去最高を記録しました。日本でもアボカドの消費量が増えていることが、数値でも証明されています。
「アボカド メニュー」「アボカド レシピ」などでGoogle検索をかけると、多くの検索結果がヒットします。アボカド専門店なる飲食店も存在します。アボカドは、可食部の量に対して安くはありませんが、そのおいしさと、良質な脂肪分が摂取できることから、健康志向の人に好まれています。
人の食の嗜好の多様化も、アボカド人気を高める原因と考えられます。肉や魚を食べないビーガン（菜食主義）でも、生き物を食べない考え方の宗教を信じる人にとっても、身体のために脂肪は必要。
「植物性食材のアボカドやナッツを食べて良質な脂肪分を摂取しよう」という考えに至るのは当然です。ヘルシーでおいしい食材が食べたくなるのは当然です。アボカドの人気は続き、しばらく衰えることはないと考えられます。
2.農薬を使用することにおける事故や被害を考える
農林水産省は、農薬使用中の事故や被害についてのデータを公表しています。虫が死ぬならば、使い方を間違えれば、濃度が変われば人への悪影響も考えられるのではないでしょうか。
農薬散布に関連した死亡事故は発生しており、毎年農水省がデータを更新しています。日本の農業の現場で起きているることは、同様に他の場所でも起こる、起きていると考えられます。アボカド栽培をしているメキシコでも、農薬における人体への悪影響が増えると考えられます。
農薬は、取り扱いが難しい化学薬品、劇薬です。アボカド農家を営む人たちへの健康被害が起きる可能性もあります。
3.残留農薬を考える
残留農薬という言葉は、しばしばニュースで報道されます。神戸市の発表したデータでは、輸入農作物において農薬検出率の高かった3つの農作物の一つに、アボカドをあげています。（他の2つは、グレープフルーツとオレンジと記されています）
財団法人食品分析開発センターのこちらの記事だけではなく、アボカドの残量農薬はしばしば注目を浴びています。2011年にはメキシコからのアボカドおよび加工品に基準値を超える農薬が残留していることが見つかりました。厚労省・農水省は、食材に対する残留農薬には厳しく目を光らせています。
残留農薬がなぜ悪いのか？それは、人間の健康に被害がある、成長期の子供や青年の脳に影響が出るのではないか、と懸念されているからです。化学物質によっては「懸念」レベルではなく、健康被害が出ると明らかである農薬もあります。「この農薬は良くない、この基準値量を超えていてはいけない」とされている薬品が、農作物の成長過程で使われている可能性がある。そして人間が農薬が使われて育てられた農作物を、口にする。どうなるでしょうか。
農林水産省の発表しているこちらのスライドを見てもわかるように、日本では、農薬の危険性や残留農薬の問題に対して理解や研究が進んでいます。農林水産省は残留農薬の測定や規定を行います。ただしアボカドにおいての残留農薬チェックは可食部ではなく、外の皮の部分です。
では皮をむいて食べるため、外側に農薬を使っていても、皮をむけば濃度はさらに薄くなる、そうプラスに捉えることもできます。しかしそれで大丈夫なのか？明確な数値結果やテスト結果は出ていないからこそ怖いといえます。
株式会社オルター・トレード・ジャパンの発表しているこのスライドは、農薬について興味深い内容が、たくさんのデータたとともに記されています。残留農薬について気になる方、知識を深めたい方はぜひとも読んでみてください。
最後に
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アボカドを生活の中から排除する必要はありません。おいしくて栄養価の高い食材です。しかしどこからアボカドを購入するのか？この森のバターの向こう側で起きていることは何か？知っておきましょう。
この記事が、アボカドの買い方・選び方・食べ方・メキシコを考えるきっかけになれば幸いです。
