スタミナ料理の定番、レバーなど内臓肉は栄養価が高いことで知られています。特にレバーは貧血などに有効な鉄分のみならずビタミンA・B、葉酸が多く、トップクラスの栄養食材と言われています。しかしその反面、食中毒の危険も多い食品で、現在日本では生食は禁止されています。
(参考資料:都筑動物病院、チロとサクラのクリニック、国立病院機構 熊本医療センター、医療法人 至誠会 赤松病院、公益社団法人 栃木県獣医師会、坂田犬猫病院、安藤動物病院、環境省、2017年5月現時点情報。医療に関する判断は必ず専門の医師の判断を仰ぐようにしてください)
レバーの栄養素
1.鉄分

鉄分は体に不可欠でありながら、体に吸収しにくい栄養素です。レバーはその鉄分含有量トップの食材と言えます。レバーと言えば鉄分、と思い浮かべませんか?まさにその通りといっても過言ではありません。また、レバーに含まれるのは吸収性の良いヘム鉄です。
鉄分は70%が血液中にあり、赤血球内のヘモグロビンを構成する成分です。呼吸により体内に入ってきた酸素を身体の隅々まで運ぶ役目を果たしています。また鉄分は肝臓内で、毒素を分解する働きもあります。
2.ビタミンA

ビタミンAは眼や肌の健康を守る役目があります。ビタミンAは、眼の網膜で光を感じる「ロドプシン」という物質を作るために不可欠な栄養素です。また体の粘膜や肌の細胞を活発にして、病原菌などを排除し正常に保つ働きもします。最近ではガンの抑制にも効果があると注目されています。ただし妊娠中のビタミンAやレバーの摂取は担当医と相談しながら行ってください。
3.ビタミンB2

ビタミンB2は、三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーに変える働きをします。そして脂質の分解を促す効果もあるため、ダイエットには欠かせない栄養素です。また子どもの成長促進にも深く関わるため「発育のビタミン」とも呼ばれています。思春期のシンボル・ニキビにも効果がある栄養素なのです。
猫はレバーを食べてもいいの?4つの疑問
1.猫は肉食獣なのになぜ与えない方がいいの?

本来の猫の生態は肉食動物です。レバーは肉ですから、生態にのっとっている食べ物であることは間違いありません。しかしレバーを長期間食べるとカルシウム不足が起因の歩行障害、ビタミンAの過剰摂取による骨の発育の異常を起こします。人間にとっての栄養が、猫にとっての栄養過多になるということです。
2.加熱しているレバーなら食べてもいいの?

生のレバーには、精肉加工される前に動物が持っていた病原菌や細菌が付着しています。それら細菌をそのまま口にすることは、免疫のない病原菌を体内に取り込むことになります。それが重大な感染症に引き起こしたり、寄生虫に汚染されたりします。レバーの病原菌などは80度以上に加熱しないと死滅しないので、十分に加熱してから与えるようにしましょう。
3.レバーの生肉を舐めてしまった、加熱調理したものを舐めてしまったけど大丈夫?

もし生の豚レバーなどを舐めてしまった時は、猫の排泄物に注意を払ってください。下痢などの症状が続く時は、早急に動物病院で受診することをおすすめします。体力消耗と水分不足を引き起こすためです。そして猫のトイレ掃除を念入りにし、糞は残さず洗い流してください。できたら熱湯消毒をしておくと良いでしょう。
4.レバーではない内臓肉なら猫に食べさせてもいいの?

自然界に生きるライオンなどのネコ科の動物は、狩りをし一番最初に食べるのが草食獣の内臓です。それは、そこに一番栄養があることを本能的に知っているからです。人間界に暮らす猫に、全く同じことを当てはめるわけには行きませんが、レバ―などの内臓には猫にとっても大切な栄養素が含まれています。どうしても与えたいのであれば、レバーが含まれているキャットフードを与えましょう。素人判断で調理をしたものよりも安心です。
こんなメニューに含まれている!レバーが材料として使われやすいメニュー2つ
1.レバニラ炒めなどの炒めもの

滋養強壮、精力が付く食べ物として人気のレバニラ炒め。とても美味しいですが、猫には与えないでください。人間用に味付けされたものは、塩分が強すぎ、猫の腎臓を傷めてしまう可能性があります。またレバーなど内臓は、摂り過ぎると骨格異常などの病気を発症してしまうこともあります。
2.自宅でバーベキューや焼肉をするなどの焼きもの

バーベキューはいろいろな素材の本来の味が楽しめ、美味しいですね。素焼きでしっかり火を通してあれば、猫にあげても良いでしょう。しかし人間と体の大きさも必要な栄養も違う猫に、同じように与えるのは禁物です。適量がわからないのであれば、獣医さんに相談されると良いでしょう。
猫が食べてしまった時の対応や応急処置のポイント3つ
1.様子を見る

sweetlouise / Pixabay
生のレバーなどを食べてしまい、下痢や食欲不振でぐったりしている場合は、動物病院で診察していただくことをおすすめします。普段と変わらず元気であれば、排泄物を観察しながら様子をみてあげてください。細菌が多く付着している生肉には危険がいっぱいですが、特に目立った症状がなければ問題ないでしょう。
ただし加熱したレバーでも、ビタミンの過剰摂取で食欲不振や関節症を引き起こすこともあります。長期的に様子を観察してあげてください。
2.子猫の場合は要注意

免疫力の低い子猫の場合は、要注意です。消化不良で下痢・嘔吐を繰り返したり、ぐったりしているようなら、早急に動物病院で診てもらってください。子猫は体力もなく、レバーなどに含まれるビタミンAの過剰過多となると、骨格異常や内出血を起こすケースもあります。
3.定期的にトイレを熱湯消毒

言葉を話せない猫たちは、苦しくても症状を訴えることが出来ません。そんな猫の健康管理には排泄物のチェックが必須です。猫のトイレを清潔に保つことは、猫の排泄物の変化がわかりやすく、人間に害を及ぼす感染症の予防にもなります。定期的な熱湯消毒を心がけてください。
最後に

人間にとっても栄養価の高いレバーなど内臓、猫にとっても必要な栄養素が詰まっています。しかし「過ぎたるは及ばざるが如し」と言われるように、人間と同じように与えることは禁物です。猫は体も小さく、消化できる量が違います。体に良いビタミンAも摂り過ぎれば別の病気の引き金になってしまいます。
家族の一員である大切な愛猫、健康管理をするのも飼い主の責任です。必要な栄養をバランスよく与えてあげてください。不安があれば獣医さんに相談してくださいね。また、手作り食を猫にあげたい、猫のご飯を手作りしたい、その時にレバーを入れたい、そういった相談事があればペットの専門のペットシッターに相談することも手段の一つです。一人で悩むよりも、専門家の話を聞くときが晴れることもあるでしょう。ぜひ活用しましょう。