猫の水皿に水を入れても減っていない、あまり水を飲んでくれない。猫を飼っている人ならそんな経験があると思います。水分補給は猫の健康のためにも大切です。水を飲まないと病気になることもあります。
水をすすんで飲む習慣をつければ、体調不良や病気の際に、薬の投与もしやすくなります。どうして水を飲まないのか、どうしたら水を飲んでくれるのか、原因や対処法をお伝えしていきます。
(参照元情報:三鷹獣医科グループ、山田動物病院、一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム、クルーズ動物病院、エリー動物病院、塚越動物病院、まな動物病院、2017年4月現時点情報。医療に関する判断は必ず専門の医師の判断を仰ぐようにしてください。)
猫の原産

猫の直接の先祖は、中東・アフリカ地方原産のリビアヤマネコ。もともと水が少ない砂漠地帯で暮らしていた生き物なので、その習性を引き継ぎ水を大量に飲まなくとも平気です。お風呂に入るのを嫌がる猫も多いでしょう。砂漠に豊富な水場が少なかったこともあり、あまり水に慣れていないと言われています。
最近あまり水を飲んでいないような気がする?

元々砂漠で暮らしていた猫は、摂取した水分が少なくても活動できるという特長を持っています。水を大量に飲むという習慣は、犬と比べても少ないです。そのため、一日二日水を飲まないということも珍しくありません。逆に飲む量が増えている様子が見られるようであれば、腎臓病などの病気を疑いましょう。突然飲まなくなったのであれば、水や容器に問題があるかもしれません。
水を飲まないとどうなるの?危険な二大症状

1.脱水症状や便秘
夏場に多く見られますが、脱水症状につながります。冬はさらに水を飲まなくなるので、下痢や嘔吐が続くと簡単に水分不足になります。脱水症状だけでなく、便が硬くなり便秘の原因にもなります。
2.腎臓病になる
脱水状態が続けば、腎不全の原因になります。他にも、尿路結石などの病気をわずらいやすくなります。腎臓病になっても気づきにくいため、気が付いた時には進行が進んでいるかもしれません。予防のためにも、水分補給は欠かせません。
猫に水を飲ませたい!飲まない時の対処法4つ
1.ドライフードを水でふやかす

ドライフードを水でふやかし、水分摂取量を上げる方法です。ただし、ふやけすぎると食べない猫もいるので、初めは様子を見ながら徐々に水分を増やしていきましょう。
ササミのゆで汁などで味をつけた水を使うのも効果的です。ただし、気をつけたいのは塩分量。味付けに塩分が多いものは控えましょう。
ドライフードからウェットフードへの変更も、水分摂取量を増やす上で効果的です。ウェットフードはその70~80%が水分のため、食事と水分を同時に摂取出来ます。
2.水皿を清潔に保ち、新鮮な水を入れる

猫は綺麗好きな生き物です。水皿に古い水が入っていると、それだけで飲む気をなくす猫もいます。猫の水皿は1日数回は取り替えましょう。新しい水をいれる際は、容器も一緒に洗います。猫は柑橘系の香りを嫌う傾向にあるため、柑橘系の洗剤は使わないようにしてあげてください。ペット用の洗剤を使うと無難です。
水皿に入れる水は基本的に水道水でかまいません。あまり冷たすぎる水、熱すぎる水ではなく、常温や、ぬるま湯がベストです。水道水のカルキ臭を嫌う猫もいますので、水道水を飲まないようであれば一度沸かして冷ました水や、猫用の水をあげてもいいでしょう。ミネラルウォーターでなければいけないということはありません。どうしてもミネラルウォーターを飲ませたいようであれば、硬度の高いミネラル文が多すぎる水ではなく、日本の軟水をあげましょう。
容器の形状も重要です。猫は、ひげが濡れるのを嫌がります。水を飲むときにひげが濡れてしまうような形状では、水を飲む動作自体がストレスになります。猫の様子に合わせて最適な容器を選んであげましょう。
3.スポイトなどの道具を使う

どうしても猫が水を飲んでくれず心配で、いよいよ水をあげないと心配だという時には、スポイトやシリンジなどを使って飼い主が自ら水を飲ませてあげる方法もあります。
注意したいポイントは主に、猫の飲むスピードに合わせる、歯茎などにキズをつけないようにする、嫌がる猫に無理矢理飲ませない、など猫に配慮してあげる点です。
4.動物病院で点滴を受ける

あまりにも全く水を飲まないようであれば、動物病院に連れて行って獣医師さんに相談しましょう。水を飲まないために腎不全が進行すると、点滴で水分補給を行わなければならなくなり、猫も飼い主も負担が増えます。日頃からしっかりと水分補給を心がけ、予防するようにしましょう。
最後に

健康な猫は、自分で水分摂取量を調節できます。ドライフードを中心とした食生活では、水分量が確保できなくなるため適度に餌に工夫を加えましょう。ウェットフードも、メーカーによっては水分の摂取を促すために味を濃くしているものもありますが、元々水をあまり飲まないため強い味付けは余計に水分不足を引き起こす理由になるかもしれません。バランスよく与えてあげましょう。
猫が自分から水を飲みたいと思う環境をつくるのが一番です。容器の素材、形状、清潔感などを整えてあげ、猫の快適な生活をサポートしてあげましょう。