04/05/2021

【単価表つき】左官工事とは?種類や業者の選び方を詳しく解説

左官工事とは、コテを使って壁に塗装していく工事のことです。左官工事によって仕上げられた壁は「左官壁」と呼ばれます。素材や塗り方次第で壁に表情が出るという魅力から、壁紙を貼るのではなく、左官壁を採用することも増えているようです。とはいえ、壁塗りの種類や工事の料金についてはあまり知らないという方がほとんどでしょう。 そこで今回は、左官工事の内容や料金、工事を依頼する業者の選び方などを詳しく解説していきます。

目次


左官工事とは:「左官」の意味って?

冒頭でも説明した通り、左官工事とはモルタルや漆喰、珪藻土といった壁材を壁に塗っていく工事を指します。左官工事を行う職人は「左官」と呼ばれ、内装・外装の壁塗りに限らず、家の床や駐車場、玄関アプローチの下地作りでもその技術を発揮。なお、左官工事は仕上げ塗りまで行う場合(左官仕上げ)と、下地を塗った上からタイルを貼り付けて完成とする2種類に分かれます。左官仕上げはもちろん、表からは見えない下地作りにおいても、左官の腕前によって壁の仕上がりに大きな違いが出るでしょう。



左官壁のメリット

見栄えのみならず、機能性の観点からも左官壁には様々なメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、以下で確認していきましょう。


耐久性に優れている

一般的な壁紙として使用されるビニールクロスに比べ、左官壁は耐久性に優れているという強みがあるでしょう。 左官壁に使用される天然素材はいずれも長持ちし、正しくメンテナンスを行うことで100年以上は持つと言われています。その理由は、期間が経てば経つほど硬化するという性質。歴史的建造物にも左官壁が用いられていることから、その耐久性は明らかです。 また、左官壁では耐火性が高い素材が多く用いられるため、建物の防火性能がアップするというメリットも。万が一火災が発生した場合も、延焼のスピードを抑えられるでしょう。


調湿性・断熱性・吸音性を兼ね備えている

左官壁には、使われる素材や塗り方の特徴から、調湿性・断熱性・吸音性の3つが備わっています。 左官壁に用いられる天然素材の表面には、数えきれないほどの小さな穴が存在。その穴から湿気の吸収・放出が行われています。湿度が高くなると余分な湿気を吸収し、反対に空気が乾燥したときは湿気を放出するため、常に快適な湿度を保つ効果があるでしょう。湿度を適度に保つことで、建物全体の劣化を防ぐことにもつながります。 また、左官壁の特徴といえば壁材を繰り返し塗り重ねていくという工法。何層にも重ねるため断熱性に優れており、素材によっては吸音性も期待できるでしょう。


壁の表情やデザインを楽しめる

コテの種類や塗り方によって、壁の表情やデザインの違いを楽しめるのも左官壁ならではでしょう。 素材はもちろんのこと、左官には様々なコテの種類があり、それを用いて多様なパターンを作り上げることができます。フラットなパターンであれば静かな雰囲気で、動きがあるパターンであればカジュアルな雰囲気になり、塗り方次第で部屋の雰囲気は大きく変わるでしょう。 また、パターンの中にはランダムな模様で洋風に仕上げる「スパニッシュ仕上げ」や、ヨーロッパの壁をイメージした「スタッコ調仕上げ」なども。和風なデザインのみならず、洋風でモダンなデザインも作り上げられるのが、左官壁の魅力です。


アレルギーを防ぐことができる

左官壁で使用する素材はいずれも天然素材のため、アレルギーを防げるというメリットがあります。 近代の建築では、内装材に防腐剤を使用している場合がほとんど。防腐剤の中にはアトピーやシックハウス症候群などのアレルギーの原因となる有害な物質=ホルムアルデヒドが含まれています。そのため、壁の防腐剤が原因でアレルギー反応が起きてしまうことも。 一方、左官壁で使用するのは珪藻土や漆喰といった天然素材です。そのため、有害な物質を含まない健康壁として用いることができるでしょう。


継ぎ目ができない

壁紙を貼るのとは違って、継ぎ目ができないため、複雑な構造をした家屋であっても美しい壁に仕上げることができます。 継ぎ目が目立つと、おしゃれなデザインであってもどうしても見栄えが悪くなってしまうものです。左官壁であれば形状に合わせて壁材を塗っていくため、継ぎ目ができるという心配がありません。



左官壁のデメリット

上記では、左官壁のメリットについて紹介してきました。しかしながら、左官壁にはいくつかのデメリットも存在します。どのようなものが挙げられるか、以下で確認していきましょう。


工事費用が高くなる

左官壁の場合、工事にかかる費用が高くなってしまうというデメリットがあるでしょう。 壁紙を貼る工事と比べ、その費用差は2〜4倍にも広がり、初期費用が高くなってしまうのはどうしても避けられません。 とはいえ、メリットの部分で紹介したように、左官壁は非常に高い耐久性を持っています。一般的な壁紙は5〜15年で寿命を迎えるため、長い目で見ると決して損とはならないでしょう。 また、左官壁は調湿性・断熱性に優れているという特徴があるため、夏場や冬場の冷暖房費を抑えられるという面もあります。 初期費用は高つくものの、中長期的にはランニングコストを節約できるのではないでしょうか。


職人の腕によって、出来上がりの差がある

左官壁の仕上がりは、職人の腕次第。職人によって出来上がりにどうしても差が生まれるため、依頼するときには注意が必要です。 同じ素材やコテを使用したとしても、仕上がりの印象は職人の技術に左右されるでしょう。また、未熟な職人だと耐用年数が少なくなってしまうことも。 できるだけイメージ通りの仕上がりにするためには、職人としっかりコミュニケーションを取ることがポイントです。


メンテナンスが必要

耐久性を保つには、適度なメンテナンスが必要となるのも左官壁のデメリットです。 年数が経過するにつれ硬度が増すという性質から、水分が抜けきってひび割れを起こしてしまうことが。また、ひび割れの他にも汚れや傷がついてしまった場合、その都度補修しなければならないでしょう。 ただ、部分的な補修であればそれほど難しくはありません。材料をホームセンターで揃えれば、DIYで補修するのも可能なくらいです。また、補修による変化もその壁の味になるでしょう。メンテナンスは必要となるものの、難易度は低いため、それほど心配することはありません。



左官工事の流れ

左官工事は、あらゆる素材を使う場合でも、大きく「下地作り」「仕上げ塗り」の2工程に分けられるでしょう。ここからは、左官工事の流れについて簡単に説明していきます。


1. 壁の下地(左官下地)を造る

まず、壁の下地を造ります。この下地で壁の仕上がりが大きく変わるため、表面から見えない部分としても丁寧に造る必要があるでしょう。なお、仕上げに塗る素材によって下地に使用する材料も変わってきます。


2. 仕上げ塗り(左官仕上げ)をする

下地を作った後は、何度か中塗りを重ねた後、仕上げに壁の表面を塗って完成となります。なお、タイル貼りやペンキで仕上げをする場合、仕上げ塗りは行われないことも。コテの跡がそのまま壁の模様となり、仕上げ塗りが耐用年数にも影響するため、職人の技術とセンスが問われる工程でしょう。仕上げ塗りには、主に土・砂・珪藻土・漆喰などの天然素材が使われます。 また、下地が乾燥しきっていないうちに仕上げ塗りを行ってしまうと、硬化不良を起こしてしまうことが。期間内に工事を終えなければならない中、タイミングの見極めが重要となるでしょう。



左官仕上げ:素材の種類と特性

左官仕上げとは、タイル貼りやペンキ塗りではなく、職人がコテを使って仕上げた壁を指します。仕上げ塗りの模様がそのまま出ている壁、とイメージしたら良いでしょう。 以下では、左官仕上げで用いられる素材の特徴を説明していきます。素材ごとに良さが異なるため、それぞれどのような特徴があるか、ぜひチェックしてみてください。


漆喰壁

漆喰壁は、基本的に白色で、表面はつるんと滑らかなのが特徴。中には、墨汁を混ぜて漆黒に仕上げる「黒漆喰」という工法もあるようです。 防火性や防音性が高く、また殺菌性に優れているため、カビが生えにくいというメリットがあるでしょう。そのメリットを生かし、昔ながらの日本家屋の外壁や、土蔵などで用いられてきました。なお、比較的ひび割れを起こしやすく、定期的なメンテナンスが必要です。


珪藻土壁

珪藻土はプランクトンから生まれた天然素材で、調湿性や防臭性、耐火性に優れた高機能な素材として知られています。その特徴から、左官仕上げの素材だけでなく、防臭グッズやバスマットなどにも用いられているでしょう。耐水性が低く汚れがつきやすいことから、室内で用いられることがほとんどです。また、水分調整がうまくできていないとひび割れが起きやすいため、注意しなければいけません。 なお、固まると表面がぼろぼろと崩れてしまう性質が。そのため、左官仕上げに使用するときは石灰や年度、合成樹脂、セメントといった材料も混ぜて使うようです。


土壁

土の種類によって、仕上がりの印象が大きく変わるのが土壁の特徴です。昔ながらの工法で、どこか温かみが感じられるのが土壁ならではのいいところ。 断熱性や防火性に優れ、和室や茶室で使われることが多くなっています。日本らしい部屋造りがしたいという方にはおすすめの素材でしょう。


砂壁

砂壁は、その名の通り砂で仕上げられ、なめらかで上品な見た目が特徴的。気品溢れる雰囲気から客間や和室で使われるほか、洋室で用いられることもあるようです。川砂や貝殻粉、金属粉などが材料で、調湿性や防火性、消臭性に優れています。 なお、砂壁は衝撃に弱く、少し物をぶつけた拍子に崩れやすいため注意が必要。また、経年劣化に伴い砂や粉が落ちてくることもあるのも難点です。


プラスター壁

美しく白い輝きを放っているのが、プラスター壁の特徴。その見た目と硬度の高さから「西洋漆喰」とも呼ばれ、鉱物質を粉末状にし、水で練ったプラスター(石灰・石膏)を用います。 漆喰よりも硬く、乾燥によるひび割れが起きにくいというメリットがあるでしょう。北欧風の明るい雰囲気にしたいときにおすすめの素材です。


モルタル壁

モルタル壁は、水・セメント・砂を混ぜた材料である「モルタル」を用いた壁です。建物の外壁に使われることが多いものの、モルタル自体は防水性が低いという特徴が。そのため、鋼の針金の上からモルタルを塗り、表面は防水性がある素材で塗装するという工法が主流です。 モルタル壁のメリットは、仕上がりデザインが豊富であること。また、耐火性にも優れています。 なお、モルタル壁は塗装仕上げのため、定期的に表面のメンテナンスを行わなければいけません。ひび割れが起こりやすい点も注意が必要です。


ジョリパット壁

外壁の仕上げにおいて、主流となっているのがジョリパット壁です。カラーバリエーションや模様パターンが非常に豊富で、自分好みのデザインにしやすいのが特徴でしょう。和風・洋風どちらのデザインにも対応できるのが嬉しいポイント。 また、耐久性に優れ、大雨や直射日光といったあらゆる天候にも屈しない強さがあります。防音性や耐火性が高いのもジョリパット壁のメリットでしょう。 ただし、模様によっては汚れが目立ちやすいこともあるため注意が必要です。


左官工事の単価表:料金相場はいくら?

左官仕上げにおける左官工事の単価表は、以下の通りです。 なお、これらの料金表には下地処理費や足場の設置費、高圧洗浄費、養生費といった作業費用も含んでいます。工事の参考にお役立てください。


左官工事業者の選び方

上記では、左官壁の仕上がりは職人の腕前次第と説明しました。しかし、「良い職人と出会いたいけど、どのように選べば良いかわからない」と思う方も多いでしょう。そこで、ここからは左官工事業者の選び方について、大事なポイントを解説していきます。


実績(施工事例)を確認する

まずはじめに、業者の経歴や施工事例などの実績を確認するようにしましょう。施工歴が短いと、どうしても歴が長い業者と比べてその技術は劣ってしまう傾向に。未熟な業者に頼んでしまうと、仕上がりに不満が残るだけでなく、耐久性が弱くなってしまうこともあります。経験豊富な方が、提案の幅も広がるでしょう。 また、施工事例はその職人の技術を証明すると言っても過言ではありません。そのため、事前に施工事例を確認し、理想のイメージに近い業者へ依頼するというのも一つの手です。


業者の対応が良いか

問い合わせをしたときの対応も、良い業者かどうかの見極めポイントになります。 見積もりや工事内容における問い合わせをしたとき、その対応が雑だと、丁寧に仕事してもらえるとは考えにくいでしょう。業者へ問い合わせたときの対応が信頼できる場合、仕事も安心して任せられると言えます。また、見積もりの分かりやすさやアフターフォローの有無、無料の現地調査の有無などでも、業者の対応力を判断できるでしょう。


左官工事を依頼するときの注意点

最後に、業者へ左官工事を依頼するときの注意点について説明していきます。


複数業者で相見積もりを取る

業者に工事を依頼するときは、複数の業者に見積もりを出してもらい、相見積もりを取るようにしましょう。少なくとも2〜3社には見積もりを依頼するのがおすすめ。 1つの業者のみに依頼すると、明らかに高い見積もりを出されたとしてもなかなか気づけません。複数の業者に見積もりを出してもらうことで、依頼内容に対する費用の相場感がわかってくるものです。それぞれの業者から出された見積もりを比較し、内訳の細かさや金額で、最終的に依頼する業者を選びましょう。


あまりに見積もりが安すぎる業者は避ける

見積もりを出してもらい、あまりに金額が安すぎる業者は避けるようにしましょう。 業者によっては、発注してもらうため見積もりを極端に低く出すところもあります。しかし、そのような業者だと壁材における天然素材の配合率が低かったり、後から追加費用を請求したりと、悪質業者の可能性が。相見積もりを取り、他の業者と比べて極端に金額が低いようであれば、その業者は避けた方が無難です。


まとめ

いかがでしたか?職人の手によって塗り上げられる左官壁は世界にひとつだけの壁であり、家屋の雰囲気を素敵に演出してくれます。 多少のメンテナンスは必要なものの、長い目で見れば節約につながり、経済的にもおすすめと言えるでしょう。 これから新築工事を行うという方や、部屋の雰囲気を変えてみたいと考えている方は、ぜひ左官壁も検討してみてください。

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