サイディング(サイディングボード)とは、外壁塗装の仕上げ用として使用するに外壁材の一種です。塗料の膜が雨風や紫外線から外壁を保護し、劣化を防ぐことから、最近ではサイディング外壁が主流となっています。施工が簡単で短時間で済むことから、新築時やリフォーム時にサイディングを選ぶ方は少なくありません。
この記事では、サイディングの外壁塗装を検討している方に向けて、サイディングの外壁塗装・塗り替えに適切な時期やメンテナンスのタイミングを解説します。塗り替えが必要なサインや費用相場、業者選びの注意点などもまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
有限会社カモシタ創建
【種類別】サイディングの外壁塗装・塗り替えに適切な時期

外壁材として使用するサイディングには、「窯業系サイディング」や「金属系サイディング」などさまざまな種類があります。サイディングの種類ごとに塗り替えを検討すべきタイミングを以下の表にまとめました。
| 外壁材の種類 | メンテナンス周期 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 窯業系サイディング | 約8~15年 | 約20〜40年 |
| 金属系サイディング | 約10~15年 | 約20〜40年 |
| 木質系サイディング | 約3~10年 | 約15〜40年 |
| 樹脂系サイディング | 約10~30年 | 約20〜50年 |
ここからは、外壁材の種類ごとにそれぞれの特徴をみていきましょう。
窯業系サイディング

セメント質と繊維質を高温で圧縮・成型して作られた外壁材で、日本の戸建住宅でもっとも普及しているサイディングの一種。レンガ調やタイル調などデザイン・色柄のバリエーションが豊富なため、外観のイメージに合わせて選択しやすい点が大きな魅力です。
また、セメントが主原料であることから耐火性や防水性に優れ、地震などの衝撃にも強いとされています。
【メリット】
- カラーやデザインバリエーションが豊富
- 耐火性や防水性に優れている
- 施工実績が多く扱う業者が多い
【デメリット】
- 吸水性が高く、劣化リスクがある
- 10年程度を過ぎたら点検や再塗装が必要
- 重量があるため、建物の構造や耐震性への影響がある
金属系サイディング

防水性と高耐久性を兼ね備えているのが特徴。製品によっては窯業系サイディングの約4分の1ほどの重量しかないため、地震の揺れによる建物への負担が軽減されやすいというメリットがあります。金属素材ゆえに傷やサビがつきやすく、10~15年ごとに塗り替えが必要になる点には注意が必要です。
【メリット】
- 軽量で建物への負担が少ない
- 表面の塗膜を適切に保護・メンテナンスすれば、劣化を抑えられる
- 断熱効果や防音効果が高い
【デメリット】
- 傷や凹みが目立ちやすい
- 断熱材付きの高性能パネルを選ぶと、材料費がかさみやすい
木質系サイディング

天然木のナチュラルな質感を活かした外観デザインを求めている方におすすめの外壁材。年月の経過とともに味わいを増し、木材ならではのあたたかみのある風合いを楽しめるのも特徴です。
断熱性に優れ、日当たりの良い家や、気温の高低差が激しい地域でも室温を快適に保ちやすく、冷暖房費の節約にもつながります。環境に配慮した素材を選べば、サステナブルな住まいづくりにも貢献できます。
【メリット】
- 天然の木目や節、色合いを活かしたデザインを実現できる
- 和風・洋風を問わず相性が良い
- 環境にやさしい
【デメリット】
- 耐火性能が低い
- 腐食や劣化に弱い
- メンテナンス頻度が高い
樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、腐食やサビに強く、塗装の頻度も少ないため、長期的なメンテナンスコストを抑えたい方におすすめします。さらに、窯業系サイディングの約10分の1と軽量で、建物への負担を軽減できる点も魅力です。地震の多い日本では、外壁の軽量化は耐震性の向上につながります。
ただし、樹脂系サイディングは熱に弱く、高温環境や強い西日が当たる場所では変形するリスクがあります。国内での普及率は低く、取り扱いや施工に慣れた業者が少ないのが現状です。
【メリット】
- 耐久性・防水性が高い
- 軽量で建物への負担が少ない
- 雨や水洗いで簡単に汚れが落ちる
【デメリット】
- 施工業者が限られる
- 初期費用が高い
- デザインの選択肢が少ない
サイディングの外壁を塗装・塗り替えにおすすめの時期はいつ?
サイディングの外壁を塗装・塗り替えを行う時期として、春か秋の季節が最適とされています。ただし、春か秋は業者が混み合うこともあるので、早めに依頼をしておきましょう。
冬場は寒い中で作業しにくいだけでなく、雪が降る可能性もあるためあまりおすすめできません。また、梅雨や台風が到来する時期も避けるほうが良いでしょう。
サイディングの外壁は塗り替えが必要!
雨風や紫外線などの自然環境にさらされているサイディングは、経年とともに表面の塗膜が劣化していきます。塗膜の剥がれや、ひび割れが目立つようになると、建物内部に水分が浸入しやすくなり、カビや腐食の原因になることも……。
外壁のダメージを防ぎ、家の美観と耐久性を保つためには、定期的な塗り替えが欠かせません。触れると白い粉が付くチョーキング現象やコーキングの劣化が見られたら、早めに点検・塗り替えを行いましょう。
サイディングの外壁に塗り替えが必要なサイン

以下の症状がある場合、サイディングの塗り替えが必要なサインです。
- チョーキング現象
- コーキング(シーリング)の劣化
- サイディングの反り・浮き
- 外壁のひび割れ
- 塗膜の剥がれ
- 外壁の色あせ・変色
- カビ・藻の発生
それぞれ詳しくみていきましょう。
チョーキング現象

チョーキング現象とは、外壁に触れると白い粉が手に付着する現象のことです。表面の塗膜が薄くなっているのが原因で起こる症状で、外壁の塗料に含まれている顔料の粉化をあらわしています。
チョーキング現象を放置すると、雨水などが壁の内部に浸透してしまう危険性があるため、早めに塗り替えを行って補修しなければなりません。壁の内部は外からでは状態がわからないので不安に感じる方も多いでしょう。
なお、チョーキング現象を防ぐ方法として、クリア塗装(顔料が含まれていない透明な塗料を使う方法)があります。もしチョーキング現象が気になる場合は、クリア塗装を施すのがおすすめです。
コーキング(シーリング)の劣化
コーキング部分に明らかなヒビ割れが発生している場合も塗装工事が必要です。
コーキングとは、外壁の隙間を埋めるために使われる材料のことで、ひび割れや壁の劣化につながります。コーキングは、気密性や防水性を高める役割を担っているため、外壁にひびが入ると建物の寿命が短くなってしまうのです。
サイディングの反り・浮き

サイディングが反って浮いてしまう症状は、経年劣化によるものです。サイディングの塗り替えを検討するサインの中でも緊急性が高く、放っておくと雨漏りや外壁の張り替えといった修繕工事が必要になります。
外壁のひび割れ
外壁に発生するひび割れは、建物の美観を損なうだけでなく、内部構造へのダメージにもつながる重要なサインです。小さな亀裂でも放置すると雨水が浸入し、腐食やカビの発生、さらには耐久性の低下を招くおそれがあります。
特にサイディングのつなぎ目やコーキング部分に亀裂が見られた場合は、早めに塗り替えや補修工事を検討し、建物全体を劣化から守ることが重要です。
外壁の色あせ・変色
外壁の色あせや変色は、塗膜の経年劣化や紫外線の影響によって起こる症状です。見た目の美観を損なうだけでなく、表面の保護機能も低下している可能性があります。
チョーキング現象(手で触ると粉状の塗料が付く状態)が進行している場合、防水性が損なわれている恐れがあります。外壁の変色は、塗膜自体の耐久性も落ちている証拠といえるため、早めに再塗装を検討しましょう。
塗膜の剥がれ
外壁の塗膜が剥がれているようであれば、紫外線や雨風などの影響で塗料の保護機能が失われている可能性があります。放っておくと、外壁材そのものが劣化して雨水が浸入し、構造内部の腐食やカビが発生する原因になります。
カビ・藻の発生
外壁にカビや藻が発生する原因は、塗膜の撥水機能が低下して外壁が常に湿っている状態にあります。見た目の汚れだけでなく、そのまま放置すると建物の耐久性や衛生面にも影響を及ぼしかねません。
高圧洗浄や専用の洗剤を使用してカビ・藻を除去するだけでなく、塗り替えをするタイミングで防カビ・防藻効果の高い塗料を選ぶことで対策ができます。
サイディングの外壁を塗り替える場合の費用相場

サイディングの外壁を塗装・塗り替える場合にかかる費用は、30坪の場合で約60〜80万円が相場です。サイディングの種類や坪数によって金額が変わるため、事前に現地調査を行う際は業者に確認しましょう。
費用を抑えたいのであれば、塗装に慣れている方であればDIYするのもひとつの方法です。
【30坪の戸建住宅】サイディングの外壁を塗り替える場合の費用内訳
30坪(約100㎡)あたりの戸建住宅を想定して、サイディングの外壁を塗り替えるのにかかる費用の内訳をみていきましょう。費用は、建物の形状や劣化状況、選ぶ塗料や業者によって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてみてください。
| 内訳 | 費用目安 |
|---|---|
| 塗料代 | 35万円前後 |
| シーリング代 | 8~10万円 |
| 洗浄作業代 | 3~6万円 |
| 足場代 | 15万円前後 |
| 養生代 | 4~8万円 |
| 飛散防止ネット代 | 3~4万円 |
| その他、廃棄物処理代など | 2万円前後 |
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塗り替え工事を業者に依頼する際の注意点

ここでは、サイディングの外壁塗装・塗り替えを業者に依頼するときの注意点をまとめています。
まず、サイディングの塗り替え工事では、下地補修やコーキングの補修をしっかり行い、塗料を選ぶ際もグレードや性能面を考慮することが重要です。また、事前に付帯部の塗装範囲を確認しておけば、追加費用の発生リスクも軽減できます。
どの業者に依頼するかを検討するときは、複数の業者に見積もりを依頼し、価格とサービス内容を比較するようにしましょう。適正価格や信頼できる施工体制を見極めやすくなります。また、業者の施工実績や口コミをチェックしておくと安心です。
サイディングのデザインを保つなら「クリア塗装」を
サイディングのデザインや色味を活かした塗装を施したいのであれば、「クリア塗装」を選ぶのがおすすめです。
顔料が含まれていない透明な塗料を使用することで、サイディングの外壁材自体のデザインや色味をそのまま残すことができます。
外壁塗装には、顔料が含まれていない「クリア塗装」と顔料ありの「塗りつぶし塗装」があり、サイディングの色味が気に入らないときは塗りつぶし塗装を施すことで、好みの色に仕上げられます。
外壁塗装業者のプロを探す
今回は、外壁材の一種であるサイディングの塗装・塗り替えを行う時期について解説しました。サイディングの塗り替えを業者に依頼する場合は、相見積もりをとるなど複数の業者を比較することで、より安い工事費用に抑えることができます。
- サイディングの外壁劣化を補修したい
- できるだけ安くサイディングの塗装工事を済ませたい
そんな方は、ゼヒトモで外壁塗装工事のプロを探してみてはいかがでしょうか。プラットフォーム上で希望エリアなどの条件を入力するだけで、あなたにピッタリのプロが見つかります。中には無料で見積もりを実施しているプロもいますので、ぜひチェックしてみてください。
監修したプロのコメント
サイディングの特徴として、
・サイディングの外壁はパネルを張り合わせているため継ぎ目(目地)が多い。
・建物の揺れに対しパネルの動きで緩和させ、外壁のひび割れを防ぐ効果がある。
そのため、継ぎ目には柔らかい素材のコーキングが使用されています。しかし、経年により柔軟性を失い硬くなったコーキングでは、揺れに追従できず外壁のひび割れにつながります。
また、コーキングをすることで雨水の侵入を防ぐ効果もあります。その一方で、コーキングに頼りきっているという点から、容易に雨水の侵入を許してしまうこともあります。
サイディングよりもコーキングが先に劣化するケースが多く、外壁診断士や外装劣化診断士のいる信頼できる業者に5年に1度は定期的な診断を依頼することをおすすめします。
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