外構・エクステリア工事
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  6. 造園と外構工事の違いとは?工事内容別の費用や工事業者の選び方に関して解説
2022/08/03 2024/10/10

造園と外構工事は、どちらも庭の空間づくりに関わる工事である点は共通しています。しかし、これらの工事は目的や内容において本質的に異なります。それでは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、造園と外構工事の違いと、それぞれの工事にかかる費用について詳しく解説します。

庭のリフォームや外構工事を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を監修したプロ
内田 圭介 さん

株式会社ミドリカフェ

株式会社ミドリカフェ代表。造園・ランドスケープデザイナー/木材コーディネーター。京都工芸繊維大学工芸学部卒業後、造園コンサルタントに約8年従事。独立後“都市部におけるエコでスローなライフスタイルの提案” をコンセプトとした設計事務所兼店舗「ミドリカフェ」をオープン。公園緑地や里山整備の設計デザイン・コンサルティングを通じて、地域資源の循環利用や、参加型の緑化・場づくりなどを提案している。 2019年(財)都市緑化機構みどりの環境プラン大賞・大賞受賞。2023年「第13回地域再生大賞」優秀賞受賞。

外構工事とは

外構とは、住宅やビルなどの建物周辺に設置される構造物を指します。

具体的には、カーポートやウッドデッキ、フェンスなどがこれに該当し、これらを設置する工事を「外構工事」と呼びます。外構工事は工事の種類が豊富であるため、業者によっては特定の分野に特化している場合も少なくありません。

エクステリアとの違い

エクステリアとは、住宅の外側にある空間全体を指す言葉です。玄関アプローチや照明など、外構工事によって設置される構造物がエクステリアの一部となり、外観を彩る役割を果たします。

また、エクステリアの対義語は「インテリア」です。エクステリアは「住宅周りの外部空間を設計する」という意味を持つため、この観点から理解するとイメージしやすいでしょう。

造園とは

造園 芝生

造園とは、樹木の剪定や植栽を通じて、庭やその周囲の空間を美しくデザインすることを指します。

必ずしも自然素材に限らず、花壇やウッドデッキなどの構造物を取り入れて、美しい庭園を作り上げる場合もあります。ガーデニングや和風庭園をイメージすると分かりやすいでしょう。

かつて和風住宅が主流だった時代には、剪定や植栽を専門に行う庭師が多く存在し、その仕事は「造園業」と呼ばれていました。現在では、庭園の設計・デザインや管理を専門に行う造園工事会社がこれらの業務を担っています。

また、造園の対象は一般住宅だけに限らず、公園や遊園地、街路樹などの公共空間にも及びます。景石の設置、芝生の植栽、地ならしなど、工事内容は多岐にわたり、幅広い知識と技術が求められます。

そのため、造園工事は1級・2級造園施工管理技士などの資格を持つ有資格者が担当することが一般的です。また、無資格者が工事を担当する場合には、10年以上の実務経験が必要です。

外構工事の費用相場

外構 費用

ここからは、7つの外構工事の施工費用に関してご紹介します。複数の工事を検討している場合、予算内で施工できるかどうか、把握しておきましょう。

玄関アプローチの費用相場

玄関 アプローチ

戸建て住宅に玄関アプローチを新たに設置する場合、施工費用は6平米あたり30万〜60万円が相場です。既存の玄関アプローチをリフォームする場合、リフォーム費用は10〜30万円が相場になります。

ただし、既存の構造物の撤去工事や処分費用が別途かかることがあるため、事前に確認しておきましょう。

玄関アプローチとは、道路から玄関までを結ぶ短い通路を指し、門柱/門柱・アプローチ・ポスト・植栽・スロープ・外構照明などの要素から構成されています。

玄関アプローチは外部から見たときの住宅の印象を大きく左右する重要な空間です。

どの要素を取り入れるかによって、設置費用や全体の雰囲気が大きく変わります。特に、スロープの設置には5mあたり40万〜50万円ほどの費用がかかるため、事前に必要性をしっかり検討しておくことが大切です。

玄関アプローチに使用される主な素材として、次のものが挙げられます。玄関アプローチの施工を始める前に、個々の特徴を理解しておきましょう。

【玄関アプローチに使われる素材】

  • タイル
  • レンガ
  • コンクリート
  • 人工芝
  • 砂利

タイル

タイル
特徴費用(1㎡あたり)
・優れた耐久性と防汚性
・高級感を演出
・メンテナンスが不要
15,000円~50,000円

レンガ

レンガ
特徴費用(1㎡あたり)
・洋風のおしゃれな雰囲気を演出
・温かみのある雰囲気
・水はけの良さ
30,000円

コンクリート

コンクリート
特徴費用(1㎡あたり)
・優れた耐久性
・水はけの良さ
・デザインのバリエーションが豊富
7,000円〜9,000円

人工芝

人工芝
特徴費用(1㎡あたり)
・メンテナンス不要
・施工が比較的簡単
・害虫対策
5,500円~11,500円

砂利

砂利
特徴費用(1㎡あたり)
・雑草対策
・防犯対策の強化
・簡単に入手が可能
10,000円~20,000円

ウッドデッキ設置の費用相場

ウッドデッキ

ウッドデッキの設置費用は、10万〜50万が相場です。

ウッドデッキの材質は天然木と人工木、2種類から選択できます。単価は1㎡あたりで天然木が4万〜7万円です。人工木は3.5万〜7万円となっており、天然木の方が単価は安く設定されています。

人工木は耐久年数が長く、腐食やシロアリ被害のリスクを最小限にすることができます。また、天然木は肌触りが優しく、地球環境に対する負荷も少ないです。それぞれのメリットや特徴を考えて、どの材質を使用するかを決めることが大切です。

カーポート設置の費用相場

カーポート

居住地域の積雪量に応じて、適切なカーポートを選ぶことが大切です。カーポートは大きく分けて「エントリータイプ」と「積雪タイプ」の2種類があります。

エントリータイプは、降雪量が20cm以下の地域に適したカーポートで、基本的な機能を備えていながら設置費用を安く抑えられるのが特徴です。エントリータイプの設置費用の相場は、10万〜30万円です。

一方、積雪タイプは、耐雪性能に優れたカーポートで、積雪量30cm〜200cmに対応する製品があります。強度が高い商品ほど本体価格も高くなるため、設置費用の相場は30万〜100万円となります。

目隠しフェンス設置の費用相場

目隠しフェンス

目隠しフェンスの設置費用は、「フェンスの本体価格 + 工事費用」で算出され、1mあたり7,000円〜30,000円が一般的な相場です。例えば、20mのフェンスを設置する場合、設置費用は15万〜60万円が目安となります。ただし、既存のフェンスを撤去する場合は、別途工事費用や処分費用が発生することがあります。

また、フェンスの素材や施工面積によってもリフォーム費用は大きく変動します。フェンスの本体価格の相場は1mあたり5,000円〜60,000円程度と幅広いため、選ぶ素材やデザインによって費用が異なることを考慮しましょう。

素材別の単価に関して以下の表にまとめました。

フェンスの種類1mあたりの費用
スチールフェンス5,000円〜10,000円
樹脂フェンス10,000円〜30,000円
アルミフェンス10,000円〜60,000円
竹垣フェンス15,000円〜30,000円
鋳物フェンス20,000円〜30,000円 
木製フェンス30,000円~40,000円

テラス囲い設置の費用相場

テラス囲い

テラス囲いとは、屋根・床・囲いで構成されたエクステリア商品です。庭の一部を潰して設置し、リビングの延長洗濯物の干し場として活用されることが多いです。テラス囲いの設置費用は、10平米あたり30万〜50万円が相場となっています。

また、テラス囲いの床材は以下の3種類から選択できます。素材別の施工費用を以下の表にまとめました。

素材の種類施工費用(相場)
ウッドデッキ25万~40万円
タイル20万円
レンガ25万円

サンルーム設置の費用相場

サンルーム

サンルームとは、屋根や周囲をガラスで覆ったエクステリア商品です。たとえば、LIXILのサニージュ三協アルミのハピーナリラなどが該当します。サンルームの設置費用は、50万〜110万円が相場です。サンルームのグレードによって、リフォームにかかる費用は変動します。

また、サンルームはテラス囲いと異なり、既存のベランダやバルコニーの上には設置できません。庭のスペースを使って新たに基礎工事を行う必要があるため、テラス囲いよりも多くの費用がかかる点に注意しましょう。

サンルーム設置の際の注意点

サンルームを設置する前に、以下の2つのポイントを理解しておくことが重要です。

1点目は建ぺい率についてです。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を指し、建築基準法により上限が定められています。リフォームの際はこの上限を守らなければなりません。

仮にリフォームによって建ぺい率の上限を超えた場合、違反建築物とみなされ、金融機関からの融資が受けられなかったり、住宅の売却が困難になる可能性があります。

2点目は固定資産税の増額についてです。サンルームは次の条件に当てはまるため、固定資産税の支払い対象となります。

外構照明設置の費用相場

庭や玄関アプローチの周辺に外構照明を設置すると、安全性や防犯対策を強化できます。外構照明の設置費用は、1箇所あたり3〜4万円が相場です。費用は、照明の本体価格 + 工事費用 + 電源工事費用の合計で算出されます。

また、近年はLEDタイプの照明が主流となっているため、電気代の高騰について過度に心配する必要はありません。

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造園の費用相場【住宅向け】

造園 費用相場

造園工事業者によって、施工費用の算出方法は異なるため、以下3種類のパターンを覚えておきましょう。

  1. 作業員の労働時間で算出
  2. 施工内容で算出
  3. 作業員の労働時間+施工内容で算出

1の場合、職人の日給は有資格者が18,000円〜30,000円、無資格者は10,000円〜15,000円が相場です。また、出張費や清掃費、枝葉の処分費などが、別途発生する可能性もあります。

2に関しては、内容によって幅があるため、この後の章を参考にしてください。3に関しては職人の日給+工事内容が合算されるため、もっとも費用が高くなる傾向にあります。

樹木の剪定の費用相場

剪定

樹木の剪定は、余分な枝葉を切り落として美しい形に整えることを目的としています。また、剪定を行うことで成長に必要なエネルギーを蓄え、新芽の発生を促進し、病虫害を予防する効果もあります。樹木の剪定費用は、木の高さによって単価が変動する点が特徴です。

次に、木の高さ別の剪定費用を以下にまとめました。

木の高さ剪定費用の相場(1本あたり)
低木(3m未満)1,000円〜4,000円
中木(3〜5m)4,500円〜9,000円
高木(5〜7m)9,500円〜20,000円

また、生垣を剪定してもらう場合、生垣の高さと施工面積によって費用は変動します。生垣の剪定費用に関して、以下の表にまとめました。

生垣の高さ剪定費用の相場(1㎡あたり)
1m未満3,000円
1〜2m5,000円
2〜3m7,000円

仮に中木が5本、3mの生け垣の剪定を同時に依頼した場合、施工費用は3万〜6万円程度になります。

植栽工事の費用相場

植栽とは、住まいの庭や外構に植物を植えることを指します。植栽を行うことで、お住まいに季節の変化や彩りを加え、華やかな雰囲気を演出することができます。ただし、植栽は工事内容によって施工費用が大きく変動するため、各工事の単価を把握しておくことが重要です。

たとえば、シンボルツリー(記念樹)を庭に植える場合、施工費用の相場は10万円程度です。施工費用はツリー本体 + 客土 + 植木費用によって算出され、ツリーの高さや幹周りの太さに応じて数千円~1万円単位で加算される形になります。

また、生垣を設置する場合、施工費用の相場は1㎡あたり7,000円〜1万円です。そして、植栽工事を一式で依頼した場合、施工には10万〜20万円の費用がかかります。さらに、土壌環境によっては排水工事や土壌改良工事などの追加費用が発生することもあります。

庭の空間づくり(造園)の費用相場

庭 空間

住宅の庭全体を造園する場合、造園費用の相場は50平米で50万〜100万円です。費用は職人の人件費 + 材料費によって算出され、職人の単価や人数、作業日数によって大きく変動するため、必ず見積もりを取得して確認しましょう。

また、工事内容には植栽、整地、砂利敷きなど、さまざまな項目が含まれます。特に、重機を使った地ならしや勾配付けなどの大規模な工事を依頼できる点が造園工事の特徴です。

ただし、重機を使う工事の場合は、回送費(重機を運ぶ費用)が別途必要になることがあります。

造園+外構工事の費用相場

庭の空間づくりに加え、外構工事も同じ業者に依頼できると、業者を探す手間が省けて便利です。造園 + 外構工事を同時に依頼した場合の施工費用は、50平米で100万〜300万円が相場です。

ただし、造園と外構工事の双方に対応できる業者は多くはありません。

また、施工時には建ぺい率や固定資産税など、法律に関する知識も必要です。特にテラス屋根やサンルームの設置などは施工の難易度が高く、優れた職人が在籍する業者でなければ対応が難しいことがあります。

そのため、造園 + 外構工事を同じ業者に依頼する際は、施工実績や過去の事例を必ず確認するようにしましょう。

外構・造園工事の前に整理すべき内容

造園 費用 抑える

外構工事や造園工事を依頼する際には、事前に以下の3つのポイントを整理しておくことが重要です。

仕上がりのイメージを明確にする

優先順位を決める

メンテナンスの負担も考慮する

どのような空間を作りたいかを事前に決めておかないと、仕上がりがイメージと異なる可能性が高くなります。また、複数の工事を同時に行う場合、予算内で収めるために優先度の高い工事を選定しておくことが大切です。

仕上がりのイメージを明確にしておく

造園や外構工事を依頼する前に、どのような空間を設計したいかを具体的にイメージしておくことが重要です。コンセプトが曖昧だと、意図と異なる空間に仕上がる可能性が高まるため、施工前にしっかりと考えておきましょう。

たとえば、「季節の移り変わりを感じられる庭」を作りたい場合、シンボルツリーと生垣のどちらを選ぶか、どのくらいの広さを施工するかといった、植栽工事に関する具体的な依頼内容を固めておく必要があります。

優先順位を決める

複数の外構工事を同じ業者に依頼する場合は、優先順位を明確にしておくことが重要です。工事の依頼内容が増えるほど、施工費用も高額になるため、あらかじめ予算を確認しておきましょう。また、依頼したい内容が業者の得意分野であるとは限らない点にも注意が必要です。

場合によっては工事業者の見直しが必要になることもあるため、優先的に実施したい工事内容を事前にご家族と話し合っておくことをお勧めします。

メンテナンスの負担も考慮する

目先の施工費用だけでなく、メンテナンスにかかる負担も考えておくことが重要です。メンテナンスフリーで利用できる材質を選ぶことで、長期的なコストメリットを得られることもあります。

たとえば、目隠しフェンスの設置を検討している場合、コストパフォーマンスに優れているのはアルミフェンスです。単価の安い素材もありますが、アルミフェンス半永久的に使用でき、メンテナンスの必要がほとんどないため、長期的にはお得です。

工事内容によっては、メンテナンスコストも含めたトータルの費用を考慮することが大切です。

外構・造園工事業者の選び方

外構 造園 選択

工事業者を選ぶ際には、以下の3点を意識することが重要です。

得意分野と実績を確認する

外構工事と造園工事のどちらを依頼する場合でも、依頼内容の施工実績が豊富かどうかを必ず確認しましょう。すべての工事内容を得意とする会社はほとんどなく、特定の分野に特化しているケースが多いためです。

施工実績や得意分野を確認した上で、依頼先の候補に含めるかを判断しましょう。予算や依頼内容がご自身の希望に近い事例があれば、要望に見合う仕上がりが期待できます。

自社施工が強みの会社を選ぶ

外構工事が得意なリフォーム会社や工務店も存在します。リフォーム会社に依頼するメリットは複数の工事をまとめて依頼できる点です。一方、工務店は地域密着型の経営スタイルが多く、予算や要望に応じた柔軟な提案が期待できます。

リフォーム会社や工務店に依頼する場合は、自社施工を強みとする会社を選びましょう。自社で工事を完結できるため、中間マージンが施工費用に上乗せされる心配がありません

費用の高騰を避けるためにも、打ち合わせの際に、他の会社へ作業をどの程度委託しているかを確認することが大切です。

複数の会社から見積を取得する

1社からしか見積もりを取得しない場合、リフォーム費用の相場担当者の能力を正確に見極めることが困難です。複数の会社と比較できないため、相場以上の費用を支払うリスクが生じる可能性があります。

また、担当者の経験が浅い場合、要望のすり合わせに何度もやりとりを重ねる必要があり、最悪の場合、イメージと異なる仕上がりになってしまう恐れもあります。

ミスマッチを避けるためには、工事業者を5社前後選んでから絞り込みを行いましょう。ただし、1社がプランニングした図面を元に他の会社から相見積もりを取ることは、設計料を払わない限り著作権侵害に当たる可能性が高いので注意してください。

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この記事を監修したプロ
内田 圭介 さん

株式会社ミドリカフェ

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