外壁材7種類を徹底解説!特徴と選び方のポイントをご紹介
外壁に使用する外壁材には、サイディング・モルタル・タイル・ALCなど、あわせて7種類あります。外壁材の種類ごとに性能やデザイン性はさまざまですが、外壁材は住宅の大部分を占める重要な部分であるため、外壁材の種類ごとの特徴を理解し、適切なものを選ぶ必要があります。
今回は、外壁材7種類ごとのそれぞれの特徴とメリット・デメリット、外壁材の選び方のポイントについてご紹介します。外壁リフォームを検討している方は、ぜひご覧ください。
外壁材の種類
外壁材には、大きく分けて以下の7種類があります。
- サイディング(窯業系)
- サイディング(木質系)
- サイディング(金属系)
- サイディング(樹脂系)
- モルタル
- タイル
- ALC
デザインや耐候性といった特徴は、外壁材の種類ごとにさまざまです。外壁は住宅の外観を左右する重要な部分であり、外壁選びが住宅の耐久性にも大きく影響することもあります。そのため、外壁材の種類ごとの特徴を押さえ、ニーズに適した外壁を選びましょう。
以下では、それぞれの種類ごとの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
【外壁材】窯業系サイディングの特徴
サイディングは、一般的に多くの住宅で用いられている外壁材です。工場で生産され、外壁用の部材を現場に持ち込んで組み立てて作る「乾式工法」で作られます。施工が簡単であるため費用や工期を抑えられ、一定の品質が担保されるという仕上がりの安定性が特長です。
サイディングは、素材によってさらに以下の4つに分けられます。
- 窯業系
- 金属系
- 木質系
- 樹脂系
窯業系のサイディングは、セメント質と繊維質を主原料とし、高温・高圧で成形したものです。サイディングの中でも非常にポピュラーで、現在の日本の住宅の外壁材の約80%を占めると言われています。
相場費用は1平方メートルあたり約3,000円から、メンテナンス周期は約7〜8年です。
窯業系サイディングのメリット
窯業系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- デザインが豊富
- 機能性に優れている
- 費用が手頃でコストパフォーマンスが高い
- 工事が比較的簡単で工期が短く済む
窯業系サイディングは、デザインのバリエーションが豊富で、住宅の雰囲気に合ったものを選びやすいです。
また、耐火性や耐震性・遮音性といった機能性に優れています。費用も手頃であるため、コストパフォーマンスが高い外壁材です。乾式工法で施工が比較的簡単であるため、工期を短く抑えられます。品質が安定しているのもメリットです。
窯業系サイディングのデメリット
一方、窯業系サイディングには以下のようなデメリットがあります。
- 防水機能に劣る
- シーリング(コーキング)のメンテナンスが必要
窯業系サイディングは吸水性が高く、外壁材自体には防水機能がありません。上から塗装することで、塗膜によって防水機能を持たせているのです。そのため、塗膜が劣化すると防水機能が失われ、外壁材が変形したりひび割れを起こしたりするリスクがあります。
パネルどうしをつなぐシーリング(コーキング)のメンテナンスも必要です。シーリング(コーキング)が劣化すると、そこから水が侵入し、外壁材の変形やひび割れにつながります。
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【外壁材】木質系サイディングの特徴
木質系サイディングは、木材を主原料とし、板状に加工して塗装を施したものです。木という素材の温かみや経年変化による色合いの変化などを楽しめる外壁材で、機能性よりもデザイン性を重視する方に向いています。
相場費用は1平方メートルあたり約6,000円から、メンテナンス周期は約10年です。
木質系サイディングのメリット
木質系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- 木の素材感や温かみを感じられる
- 断熱性が高く環境に優しい
木質系サイディングは、木材が持つ素材感や温かみを感じられます。人工的な木目調のデザインでは表しきれない、木材ならではの魅力に溢れており、経年変化による色合いの変化も楽しめる外壁材です。
また、断熱性に優れており、省エネ効果も期待できることから環境に優しいというメリットもあります。
木質系サイディングのデメリット
一方、木質系サイディングには以下のようなデメリットがあります。
- 価格が高い
- 防火性能が低い
- 腐食しやすくメンテナンスが必要
木質系サイディングは、窯業系サイディングに比べて2倍近くの費用がかかり、価格が高い傾向にあります。使用する木材のグレードや加工によっては、さらに高額になる場合も多いです。
防火性能が低いため、地域によっては使用できない場合があります。準防火地域に対応しているものもありますが、その分値段が高くなるのが難点です。さらに、塗膜が劣化すると雨水が染み込んで腐食しやすいというデメリットもあります。腐食を防ぐためには、定期的に塗装メンテナンスを行うことが必要です。
【外壁材】金属系サイディングの特徴
金属系サイディングは、金属板と断熱効果を持つ板を主原料とし、成形した外壁材です。アルミニウム・亜鉛・シリコンを組み合わせたメッキ鋼板であるガルバリウム鋼板や、塗装ステンレス鋼板などが使用されています。
とくにガルバリウム鋼板を使用したものは、耐久性が高いのが特徴です。軽量で施工しやすく、窯業系サイディングよりもメンテナンス周期が長いなど、使い勝手抜群で高い人気を誇ります。
相場費用は1平方メートルあたり約4,000円から、メンテナンス周期は約10〜15年です。
金属系サイディングのメリット
金属系サイディングのメリットは、以下のとおりです。
- 断熱性に優れている
- 耐用年数が長く、メンテナンスの手間が省ける
- 軽量で耐震性に優れている
- 施工しやすい
金属系サイディングは、熱を保持しやすい金属を使用しているため、断熱性の高さが魅力です。室内の温度を一定に保ちやすく、省エネにもつながります。耐久性が高くひび割れしにくいため、耐用年数が長いです。メンテナンス周期が長いため、補修の手間が省けます。
さらに、ほかの外壁材に比べて軽量であるため、住宅にかかる負担が少なく、耐震性が高いです。軽量で施工しやすく、工期や工事費用を抑えられるというメリットもあります。
金属系サイディングのデメリット
一方、金属系サイディングには以下のようなデメリットがあります。
- サビが発生しやすい
- デザインのレパートリーが少ない
金属系サイディングは、水に触れるとサビが発生しやすいのがデメリットです。サビを防ぐためには定期的な塗装メンテナンスが必要であり、施工にコストがかかります。また、ほかの外壁材に比べるとデザインのレパートリーが少ないため、デザインにこだわりがあり、住宅の雰囲気に合わせて選びたい方にはおすすめできません。
【外壁材】樹脂系サイディングの特徴
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を主原料とし、成形したものです。塩害への強さと耐久性の高さから、北米で多く使用されています。日本ではまだあまり普及していません。しかし、機能性の高さやコーキングや塗装が不要である点、軽量で住宅への負担が少ない点などから、将来的には人気の外壁材になることが期待されている外壁材です。
相場費用は1平方メートルあたり約9,000円から、メンテナンス周期は約10〜20年です。
樹脂系サイディングのメリット
樹脂系サイディングには、以下のようなメリットがあります。
- 防水性が高い
- 軽量で耐震性に優れている
- 塗装・コーキングが不要でメンテナンスの手間がかからない
樹脂系サイディングは、防水性が高い外壁材です。素材同士を重ね合わせ、壁の外側と内側の気圧差を防ぐ「オープンジョイント工法」で施工されるため、雨水が侵入しにくい構造でもあります。
また、窯業系サイディングに比べて重量は約10分の1と、非常に軽量な点も特長です。そのため住宅への負担が少なく、耐震性に優れています。
さらに、素材自体に色を練り込んでいるため、塗装メンテナンスの必要がありません。オープンジョイント工法により、コーキングも不要であるため、補修工事にかかる費用も抑えられます。
樹脂系サイディングのデメリット
一方、樹脂系サイディングには以下のようなデメリットがあります。
- 防火性・遮音性・断熱性に劣る
- 施工できる業者が少ない
- デザインのバリエーションが少ない
樹脂系サイディングは、耐久性に優れていますが、防火性・遮音性・断熱性はあまり高くないとされています。
日本ではあまり普及していない外壁材であるため、施工できる業者が少ないのもデメリットです。塩化ビニル樹脂は、温度によって素材が伸縮しやすいため、施工難易度が高く対応している業者が限られます。さらに、ほかのサイディングに比べるとデザインやカラーのバリエーションが少ないため、デザインにこだわりたい方には向いていません。
【外壁材】モルタルの特徴
モルタルは、砂とセメントを主原料とし、水を加えて作られたものです。モルタル壁の仕上げ方には以下の4種類があります。
- リシン → 石・セメント・樹脂・接着剤などを混ぜたものを吹き付ける方法
- 吹き付けスタイル → 石や樹脂などを混ぜたものを、電動工具で吹き付ける方法
- スタッコ → セメントと骨材を混ぜたものを吹き付ける方法
- 左官仕上げ → コテを使って仕上げる方法。さまざまなデザインに仕上げられる
手作業で行うため、窯業系サイディングなどの乾式工法で作られる外壁に比べると、味わいのある仕上がりになります。また、コーキングの補修が不要であり、費用も比較的高くはないため、コストパフォーマンスが高くおすすめです。
相場費用は、1平方メートルあたり約4,500円から、メンテナンス周期は約8〜10年です。
モルタルのメリット
モルタルには、以下のようなメリットがあります。
- デザイン性が高い
- 防火性に優れている
- コーキング(シーリング)の補修が不要
モルタルは、上記のようなさまざまな仕上げ方法があり、デザインの自由度が高い外壁材です。デザイン性を重視する方に適しています。
また、モルタルの原料である砂やセメント・水は不燃性であるため、防火性が高いのもメリットです。つなぎ目となるコーキング(シーリング)が不要であるため、コーキングの劣化に伴う補修工事が必要ありません。
モルタルのデメリット
一方、モルタルには以下のようなデメリットがあります。
- ひび割れが起こりやすい
- 汚れやカビがつきやすい
- 防水機能を上げるための塗装が必要
モルタルは、コーキングが不要である分、衝撃が直接伝わりやすく、ひび割れが起こりやすいのがデメリットです。ひび割れをクラックと呼び、クラックを放置すると外壁が劣化し、剥がれ落ちてしまいます。
表面がざらざらした仕上がりになり、水分が蒸発しにくくなるため、汚れやカビがつきやすいです。また、モルタル自体の防水性は低いため、防水機能を上げるための撥水加工や塗装が必要というデメリットもあります。
【外壁材】タイルの特徴
タイルは、粘土や石などを主原料とし、高温で焼いて成形した板状の外壁材です。外壁材としては、水を吸いにくい磁器質やせっ器質のものが多く用いられています。経年劣化や変質が少なく、お手入れもしやすいため使いやすい素材です。また、高級感のある雰囲気に仕上がります。
相場費用は1平方メートルあたり約1万3,000円から、メンテナンス周期は約20年です。
タイルのメリット
タイルのメリットは、以下のとおりです。
- 耐久性が高く、メンテナンスの手間がかからない
- 耐水性・耐火性に優れている
- 高級感のある雰囲気に仕上がる
タイルは、丈夫で半永久的に長持ちすると言われています。メンテナンス周期が長く、補修の手間がかからないのが大きなメリットです。また、耐水性や耐火性にも優れており、機能性が高いため、非常に使いやすいです。
重厚感があるため、高級感のある見た目に仕上がります。独特の風合いが特徴的で、経年変化によってさらに味わいが増すのも魅力です。
タイルのデメリット
一方、タイルには以下のようなデメリットがあります。
- 地震で剥離するリスクがある
- コストが高い
- 目地のコーキングの打ち直しが必要
タイル自体は耐久性が高いですが、重量があるため建物に負担がかかりやすいのがデメリットです。施工が悪いと、地震や衝撃で剥離するリスクがあります。
ほかの外壁材よりも費用がかかるため、初期のコストが高いのがデメリットです。ただし、メンテナンスの手間がかからないため、ランニングコストは安く抑えられます。そのほか、タイル同士をつなぐ目地の部分にコーキングを使用しているため、補修メンテナンスが必要です。劣化すると雨水の侵入につながるため、定期的に打ち直す必要があります。
【外壁材】ALCの特徴
ALCとは、軽量気泡コンクリートのことです。ケイ石・セメント・生石灰・発泡剤などを主原料とし、成形して作られています。名前のとおり、コンクリートの1/4の軽さが特徴の外壁材です。耐久性や断熱性・防火性などの機能性が高く、夏は涼しくて冬は暖かいという住環境を実現できます。
相場費用は1平方メートルあたり約7,500円から、メンテナンス周期は約10〜15年です。
ALCのメリット
ALCのメリットは以下のとおりです。
- 軽量で建物への負担が少ない
- 耐久性・断熱性・耐火性・遮音性に優れている
ALCは、コンクリートに比べて非常に軽量であるため、建物にかかる負担が少ないというメリットがあります。また、パネルの内部には補強材として金網が入っており、耐久性が高いです。断熱性・耐火性・遮音性にも優れており、過ごしやすい住環境を実現できます。
ALCのデメリット
一方、ALCには以下のようなデメリットがあります。
- 防水性が低い
- つなぎ目が多いため、シーリングの補修
- コストがかかる
ALC自体の防水性は低いため、防水性能を上げるための塗装が必要です。防水機能のある塗料を使わないと、水を吸収してしまい、内部から外壁が崩れてしまうリスクがあります。つなぎ目が多いため、シーリングが劣化すると雨漏りを引き起こします。そのため、定期的な補修工事が必要です。
さらに、窯業系サイディングといったほかの外壁材に比べると、コストがかかります。防水のための塗膜やシーリングの補修にもコストがかかるという点も見逃せません。
外壁を選ぶ時のポイント
外壁を選ぶ時のポイントは以下の4点です。
- 外壁材のメンテナンス性で選ぶ
- 外壁材のデザインで選ぶ
- 外壁材の価格で選ぶ
- 外壁材の耐久性・断熱性・耐火性などの性能で選ぶ
とくにこだわりがない場合は、窯業系サイディングを選ぶのがおすすめです。ここでは、外壁材を選ぶポイントについて解説します。
外壁材のメンテナンス性で選ぶ
外壁材の種類ごとに、メンテナンスの手間が異なります。たとえば、目地にシーリングを使用している外壁材の場合は、シーリングが劣化するため、定期的に補修が必要です。外壁材自体に防水性がない場合は、塗装メンテナンスで防水性能を高める必要があります。
耐久性が高い外壁材は、初期費用は高いですが、その分メンテナンスの手間がかからないためランニングコストを抑えられるのです。このように、外壁材のメンテナンス性も重要な判断基準となります。
外壁材のデザインで選ぶ
外壁は、家の外観の大部分を占めるパーツであり、外壁材によって住宅の雰囲気は大きく変わります。そのため、外壁材のデザインで選ぶのもおすすめです。
たとえば、高級感を出したいならタイル、味わいのあるデザインにしたいなら手作業で仕上げるモルタルが適しています。
外壁材の種類だけでなく、塗料のカラーも重要です。理想の住宅デザインを思い浮かべ、時間をかけて外壁材のデザインや塗料のカラーなどを選択しましょう。
外壁材の価格で選ぶ
外壁材によって、価格は大きく異なります。そのため、予算に見合った外壁材を選ぶことが大切です。
ただし、費用が安ければよいというわけではありません。あまりにも安い外壁材は、耐久性や防火性能・断熱性などの機能性が劣ってしまうリスクがあります。施工が悪い手抜き業者である可能性もあるため、注意が必要です。
また、安い外壁材は耐用年数が低く、頻繁なメンテナンスや工事のやり直しが必要になり、結果的にコストがかかる場合もあります。予算の範囲内で、求める機能を持った適切な外壁材を選びましょう。
外壁材の耐久性・断熱性・耐火性などの性能で選ぶ
外壁は、住環境の快適さを左右します。そのため、耐久性・断熱性・耐火性・防火性・耐震性といった機能性を重視して選ぶことが大切です。たとえば、断熱性を求めるなら、金属製サイディングやALCボードなどが適しています。防火性を重視する場合、木質系のサイディングはおすすめできません。このように外壁材ごとに特徴が異なるため、それぞれの性能を理解したうえで選びましょう。
こだわりのない方は窯業系サイディングがおすすめ
とくにこだわりがない方には、窯業系サイディングを選ぶのがおすすめです。サイディングは、国内の新築戸建ての8割以上で使用されていると言われており、非常にポピュラーな外壁材です。工期が短くて費用が安く済むだけでなく、必要な機能も持っています。その中でも、バリエーションが豊富で比較的費用が安い窯業系サイディングは、コストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
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