浴室窓のリフォームを行う際は、防犯や防寒(断熱性)など何を重視するかによって選ぶ窓の種類が変わります。
浴室に窓があることで光が入り開放的な雰囲気になりますが、外部からの視線を遮ることができず、特に住宅密集地やマンションなどでは、プライバシー・防犯対策が必須です。
また、窓ガラスは壁材に比べて断熱性が低く、冷たい外気が隙間から侵入し浴室の温度が下がりやすくなります。
今回は、浴室窓をリフォームするメリット・デメリット、窓の種類やサイズ、費用相場について解説します。
浴室に窓があるメリット
浴室に窓があることで、以下のメリットが期待できます。
- 浴室内を換気できる
- 浴室窓から採光できる
- 開放感・リラックス効果がある
浴室内を換気ができる
換気扇は浴室内の空気を外に出すことしかできませんが、窓があれば外の新鮮な空気を取り入れられます。
窓を開けて換気扇を回せば、空気が循環して換気効率がアップ。浴室内の湿気を抑えるため、結露や防カビ対策になります。
浴室窓から採光できる
日中は窓から光が入るため、浴室内が明るくなります。昼間の時間帯であれば、照明をつけずに入浴でき、電気代を節約することができます。
開放感・リラックス効果がある
浴室に窓があることで、圧迫感がなくなり開放感が生まれます。光が差し込むお風呂でゆっくり湯船に浸かりながら、外の景色や風の音を楽しめるのもメリットです。
特に、マンションの高層階に住んでいる方や、住宅の周りに景色を遮るものがない場合は、存分に景色を楽しむことができるでしょう。
浴室に窓があるデメリット
一方、浴室に窓があることで以下のようなデメリットが考えられます。
- プライバシー・防犯対策への不安
- 断熱性が下がり寒さ対策が必要
- 結露・防カビ対策などの掃除の手間がかかる
プライバシー・防犯対策への不安
低層階に住んでいる場合や近くに別の住居やビルがある場合、浴室に窓があることで覗かれてしまうリスクがあります。すりガラスであれば中は覗きにくいですが、入浴中に窓を開けて外気を取り入れることはできません。
また、窓があるということは、そこから侵入される危険性もあります。そのため、プライバシーだけでなく防犯対策を行う必要があるでしょう。
断熱性が下がり寒さ対策が必要
寒い地域や冬の季節は、窓から冷たい空気が入ってくるため、防寒対策が必要です。
特に、浴室は裸で利用する場所のため、内窓や複層ガラスを採用するなど断熱性能を高める工夫を施しましょう。
掃除・防カビ対策などの掃除の手間がかかる
浴室に窓があることで、換気ができ浴室内のカビの発生を防げます。しかし、窓に結露が発生しやすく、窓自体にカビが発生するリスクもあります。
また、窓のサッシのレール部分は掃除がしにくいため、掃除の手間がかかるでしょう。
浴室窓の種類と特徴
浴室に採用される窓にはさまざまな種類があります。ここでは、代表的な窓の種類について、紹介します。
- 引き違い窓
- 上げ下げ窓
- 内倒し窓
- 縦すべり窓
- 横すべり窓
引き違い窓
引き違い窓とは、2枚のサッシを左右に動かして開閉する窓のことです。多くの住宅で採用されている一般的な窓の形状です。しかし、気密性や防犯性はあまり高くありません。
メリット | デメリット |
・窓が内側に開かないため、家具の配置を気にせずに設置できる ・軽い力で開閉できる ・構造がシンプルで他の窓に比べて安価 | ・気密性&断熱性が低い ・隙間ができやすく、防犯性が低い ・強風時にガタガタ音がしやすい |
上げ下げ窓
上げ下げ窓は、2枚に分かれて開閉する窓のことで上に上げたり下に下げたりできます。気密性と防犯性に優れています。
メリット | デメリット |
・気密性&遮音性が高い ・防犯性が高い ・ダブルハングなら換気しやすい | ・引き違い窓より価格が高い ・開けたままにしておくと、雨の時に室内が濡れる可能性がある |
内倒し窓
内倒し窓は、窓の上部が内側に向かって開く窓のことです。開閉幅が狭いため、防犯性に優れています。内倒し窓を上部に設置したりすりガラスを採用したりすることで、さらに防犯性を高められます。換気のしやすさや気密性の高さもメリットです。
メリット | デメリット |
・可動域が狭く全開しないため、防犯性が高い ・視線が気になりにくい ・気密性が高い | ・外側に網戸や面格子を取り付けにくい ・掃除しづらい ・家具やカーテンと干渉しやすい |
縦すべり窓
縦すべり窓とは、縦に細長い形をした窓のことです。外に向かって押すことで、上下のレールに沿って開閉できます。正面だけでなく左右からも風が入ってくるため、引き違い窓と比べ風通しや気密性に優れているのがメリットです。
メリット | デメリット |
・開口面積が大きく、換気しやすい ・防犯性が高い ・スペースを取らないため、脱衣所や玄関など湿気・臭いがこもる場所に設置しやすい ・窓が室外側へ90度開くことで換気口率が上がる | ・子どもが乗り出し転落する危険 ・隣家との距離が近い場合は、境界線を超えないように注意 ・窓を開けているときに雨が降ると室内が濡れる |
横すべり窓(横すべり出し窓)
縦すべり窓と異なり、横滑り窓は横に長い形をしています。縦すべり窓は左右が開きますが、横すべり窓は上下を外に向かって押すことで左右のレールに沿って開閉可能です。縦すべり窓と同様に、気密性や風通しに優れています。
また、上に向かって開くため、雨の日に開けても雨が入り込みにくいのが特徴です。
メリット | デメリット |
・シンプルな構造で開閉が簡単 ・メンテナンスも楽 ・開いた窓が庇(ひさし)の役割を果たし、雨が室内に入りにくい ・窓を小さくすれば防犯性が高くなる | ・開閉スペースが必要 ・他の窓と比べて価格が高くなる傾向 ・窓の外側を掃除する際に身を乗り出すため危険 |
浴室に窓を設置する際の注意点
浴室に窓を設置するリフォームを行う際は、以下の3つの点をチェックしましょう。
- 浴室窓の大きさ
- 浴室窓の防犯対策
- 浴室窓の防寒対策
浴室窓の大きさ・サイズ
浴室窓の大きさやサイズは、選ぶ種類によって異なります。
一般的な浴室窓のサイズ例
- 横すべり出し窓:幅60cm〜90cm、高さ30cm〜45cm
- FIX窓(はめ殺し窓):幅30cm〜60cm、高さ30cm〜60cm
- 引き違い窓:幅60~80cm、高さ80~120cm
窓は、外壁と比べて断熱性が低いため、窓のサイズが大きすぎると、冬場は室内の熱が外に逃げやすくなり、夏場は外からの熱が室内に入りやすくなります。
さらに、大きな窓は日光の直射を多く受けるため、浴槽や床材が日焼けし、劣化を早める原因にもなるのです。浴室窓は小さめのサイズを選ぶことで断熱性が向上し、浴室を快適な状態に保ちやすくなります。
浴室窓の防犯対策
プライバシー保護や外部からの侵入を防ぐためには、浴室窓の防犯対策も欠かせません。防犯性能を高めるためには、以下の方法が考えられます。
- 面格子を設置
- 複層ガラスの採用
- 内窓の設置
一般的に採用されている防犯対策は、面格子の設置です。しかし、面格子は外側からネジで固定する必要があるため、ネジを外すことで比較的簡単に侵入できてしまうデメリットがあります。さらに防犯性能を高めるためには、割れにくい窓を採用するといいでしょう。
複層ガラスはガラス1枚の窓ガラスに比べると割れにくいため、外部から侵入されにくいです。窓の内側にもう1つサッシを設置する内窓も、同様に侵入を防ぎやすく、防犯に役立ちます。複層ガラスと内窓を組み合わせれば、さらに念入りな防犯対策が可能です。また、窓に二重ロックを採用することも有効な手段でしょう。
浴室窓の防寒対策
浴室窓の防寒性能を高める方法としては、以下の2点が挙げられます。
- 樹脂製のサッシを採用する
- ペアガラスを採用する
樹脂サッシは、一般的なアルミ製のサッシに比べると熱伝導率が低く、外の温度が低い場合も浴室が冷えにくいです。また、2枚のガラスで構成されるペアガラスは、ガラス同士で中空層をつくることで断熱性を高めており、外の冷たい外気を遮断しやすいです。ペアガラスのような複層ガラスには、ほかに結露が発生しにくいというメリットもあります。
浴室窓のリフォーム費用相場
最後に、浴室窓のリフォーム工事にかかる費用相場を紹介します。なお、ここで想定している窓は、幅60〜80cm、高さ80〜120cmほどの通常サイズです。
リフォーム項目 | 費用相場 |
サッシの交換 | 約3万〜25万円 |
サイズ変更 | 約9万〜25万円 |
内窓の設置 | 約4万〜30万円 |
防犯ガラスへの変更 | 約2万〜20万円 |
可動ルーバーの設置 | 約6万〜8万円 |
窓サイズ変更および浴室全体をリフォーム | 約75~135万円 |
可動ルーバーは、窓の外側に設置することで、ブラインドのように目隠し効果を発揮します。上には引き上げられませんが、向きを好きなように調整できるため、目隠しだけでなく採光や換気も可能です。
風呂・浴室の窓リフォームの施工日数
浴室窓リフォームの施工日数は、取り付ける窓のサイズや種類、使うガラスによって異なり、5日~10日が一般的です。
既存の窓枠を利用できるカバー工法なら、大掛かりな工事は不要となり工期を短縮できます。既存の窓サイズ変更や新設する場合、壁の工事も発生するため、工期が長くなる傾向です。
さらに、窓の性能やデザインにもこだわりたいのであれば、特注品の製作期間なども考慮すると施工日数は10日以上となります。リフォーム業者と事前に打ち合わせを行い、自身の希望に合った窓を選び、工期や費用についても確認しましょう。
浴室用目隠しシートもプライバシー保護に効果的!
浴室用目隠しシートを使えば、手軽にプライバシー対策ができます。目隠しシートを窓ガラスに貼るだけで、外からの視線を遮りつつ室内には自然光を適度に取り入れることが可能です。
防水防カビ加工が施されているため、カビの発生を抑えることができます。これにより、清潔な状態を保ちやすく、特別なメンテナンスも不要です。
また、目隠しシートはデザインバリエーションが豊富で、浴室の外観を損なうことなく、インテリアに合わせて選べるのも魅力。繰り返し使えるものが多いため、季節や気分によってデザインを変えて雰囲気の違いを楽しんでみてください。
寒さ対策ならスタイロフォームを使うのもあり
冬場は、断熱効果が高いスタイロフォームを使って寒さ対策するのもあり。スタイロフォームは、軽量で取り扱いやすいため設置も簡単です。
ただし、窓とスタイロフォームの間に結露が発生しやすくなります。室内の暖かい空気と冷たい窓ガラスの間に湿気がこもるためです。結露を放置するとカビが発生しやすいため、お風呂の後はスタイロフォームを取り外して必ず換気を行いましょう。
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