トラブル防止!もめない契約書の作り方とは?規約との違いやテンプレートも!

教室を運営するにあたり、レッスンにまつわる契約書を締結する必要があります。しかし「どんな契約書を作ればいいのか」「どのような内容を盛り込むべきか」など、悩んでしまうこともあるでしょう。そこで今回は、契約書の作り方や規約との違いなどを解説します。

契約書とは?

まずは、契約書について解説します。そもそも契約とは、民法民法第五百二十民法により「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する」と定義されています。法律で書面を作成する義務が課されていなければ、口頭での約束も契約として効果を発揮します。

では、なぜ世の中に契約書が存在するのでしょうか。それは、契約書を作成することで得られるメリットがあるからです。契約の内容を書面に記すことで、「この取引は行うべきか?」「何かリスクはないか?」といった点を確認できます。

また、口頭では契約内容が曖昧になってしまいますが、書面にしておくことでトラブルを未然に防ぎます。もしトラブルに発展しても、訴訟において重要な証拠として機能するのです。

引用:民法

契約と規約の違い

契約書は、契約内容のすべてを記したものです。お互いにどんな権利を持つか、どんな義務を負うか、どのような状況になったときどう対処するかなど、全ての事項を詳細に明記します。そのため内容によってはボリュームもあり、一度契約を結んだら内容を変えることはありません。

一方で、利用規約は契約の中の一部を記した書面です。事業者がサービスを提供する上で、必要なルールにまつわる内容となります。契約との大きな違いは、利用規約の内容は契約者に対して変更を求められることです。

例えばレッスン教室の場合、月額料金については契約書で同意します。そのため、教室側が「月1万円のレッスン料で契約しましたが、先月分から3万円にしたので差額を支払ってください」と言っても、生徒はそれに従う必要はありません。

しかし、「利用規約で今まではレッスン後にシャワールームを自由に使えましたが、今後は一人30分までにします」となった場合、生徒はこれに従わなくてはなりません。

契約書を作る際の注意点

レッスンに関する契約書を作る場合、いくつかの点に注意しなくてはなりません。あまりに外れると契約書としての法的効力を持たなくなるため、注意しましょう。

一方的に有利な内容にしない

契約書は基本的に一度結んでしまえば法的な効力を持ちますが、その内容があまりに事業者に有利な内容だと、消費者契約法で無効になることがあります。

例えば、「レッスンを無断で欠席した場合、1回につき100万円支払う」という内容が書かれていても、実際に履行させることは難しいです。教室側と生徒側、どちらにどんな義務があるのか、公平性のある内容にしましょう。

禁止事項を定める

レッスン中にしてはいけないことなど、禁止事項を明らかにしましょう。レッスンの内容に関わらず、法令違反の禁止や公序良俗違反の禁止は盛り込むべき内容です。

また、他のレッスン性に対しての迷惑行為や、教室の近隣住民・施設への迷惑行為なども取り締まらなくてはなりません。教室の指導に従わない場合、強制的に退会させるなどのペナルティも明らかにします。

免責事項を定める

免責事項とは、トラブルが起きた際に教室が責任を負わないものを定めたものです。例えば、レッスンを受けに来た生徒が教室の前で転倒した場合、その怪我の責任を負わないといった内容が考えられます。

また、教室内で盗難トラブルが起きた場合なども免責事項としてありうるでしょう。教室側が責任を問われないために有効なものですが、あまりに一方的な内容だと消費者契約法で無効になることがあるため、バランスが必要です。

法令を遵守する

契約書は法的効力がありますが、それはあくまで法令を順守している場合のみです。そのため、各種法律に違反しない内容にしましょう。また、プライバシーポリシーについても記載することがおすすめです。これは個人情報の取り扱いにおける方針を記したもので、取得した個人情報の利用目的や第三者提供、保有個人データなどについて定めます。

生徒と講師との契約書は内容をわける

教室側は、生徒と契約を結ぶ場合と、レッスンを教える講師と契約を結ぶ場合の2パターンがあります。生徒との契約には、レッスンを受けるにあたって必要な内容をまとめましょう。講師を雇う場合、業務委託契約や雇用契約を結んでください。

業務委託契約は、契約の目的や委託する業務の内容、契約期間、報酬額とその支払時期などを明記します。また、禁止事項や秘密保持のほか、何かあった時のために契約解除と損害賠償に関する内容もまとめましょう。雇用契約書には、給与や就業場所、就業時間に加え、業務内容や昇給、退職についてが必要となります。

契約書のテンプレート

契約書を作成する際のテンプレートの一例です。

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○○ダンス教室契約書

株式会社○○(以下「甲」という。)とダンスレッスン受講者(以下「乙」という。)は、甲が乙に対してダンスレッスンを提供するため、以下の通りの契約を締結する。

・甲の講師の指導のもとで乙はダンスレッスンを受講し、乙は身体的限界を超えない範囲でレッスンを受講する。

・ダンスレッスン中に体調などに異常が生じた場合は、乙は直ちに受講を中断し、甲の講師に報告する。

・乙の個人情報は同意なく第三者に提供されること、もしくは開示されることは一切ない。

・レッスン当日のキャンセルについて、甲は提供価格の全額を徴収する。

・月会費及び月額プランの支払いは、各種決済代行サービスにて乙が甲に支払う。

・乙が入金後の返金は受け付けない。

・乙が退会やプラン変更をする際、退会月の前月の10日までに甲に連絡する。

・乙の私物紛失や盗難について甲は一切の責任を負わない。

・甲及び乙は、相手方に対し、自己が暴力団、暴力団関係企業・団体その他反社会的勢力ではないこと、反社会的勢力の支配・影響を受けていないこと、及び自己の役員、従業員、関係者等が反社会的勢力の構成員又はその関係者でないことを表明し、保証する。

契約日:●●年●●月●●日

甲 記名押印

乙 記名押印
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まとめ

レッスンを行う教室では、生徒との契約書締結が必要です。お客様が少ないうちは「そんな大げさなものは必要ない」と思うかもしれませんが、何かトラブルがあった時に契約書がなければ、解決まで長引いてしまいます。お互いの利益を守るために、ぜひ契約書を締結しましょう。