個人事業主としてビジネスをやるうえでは、経費管理は重要な業務のひとつです。フリーランスのパーソナルトレーナーやパーソナルトレーニングを提供する事業主の中には、どこまでが経費になるのか、正確に理解していない人もいるかもしれません。
この記事では、個人事業主としてパーソナルトレーナーをやっている事業者に向けて、経費にまつわる情報を解説します。気を付けるべきポイントや経費項目などを紹介するため、ぜひお役立てください。
目次
個人事業主のパーソナルトレーナーとは?

個人事業主のパーソナルトレーナーとは、特定の企業に属さずフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動をする働き方です。
なお、パーソナルトレーナーとして独立する場合、特別な国家資格の取得は必要ありません。独立のハードルが比較的低いぶん、生徒さんが満足できるトレーナーとしての技量のほか、体の仕組みやフィットネスの効果などの知識が必要とされます。
そのため、民間団体(NSCAジャパンやJATI、NESTAなど)でパーソナルトレーナーとしての知識を身に付けておけば、他社(他者)と差別化を図ることが可能です。さらに、生徒さんの安心感にもつながるため、集客にも好影響を及ぼすことでしょう。
また、個人事業主のパーソナルトレーナーの働き方としては、以下のような方法があります。
- 業務委託契約
- 出張・派遣型
- ジム開業
個人事業主のパーソナルトレーナーの働き方は、一見時間の自由度が高く、働きやすいようにみえますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。それぞれの働き方について詳しく解説するため、自分に合った働き方の選択にお役立てください。
個人事業主のパーソナルトレーナーの気を付けるべきポイント

個人事業主のパーソナルトレーナーが気を付けるポイントについて解説します。以下2つのポイントに注意が必要です。
- 開業手続きを行う
- 働き方を選択する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント1:開業手続きを行う
個人事業主のパーソナルトレーナーとして活動するにあたって、必要となる手続きがあります。事業開始前に提出しておきたい書類と提出先は、以下のとおりです。
| 提出物 | 提出先 |
| 開業届 | 税務署 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 |
| 個人事業開始申告書 | 都道府県の税事務所 |
まず、個人事業主やフリーランスとして事業を開始する際、開業届を提出する必要があります。開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、開業する際に税務署に届け出る書類です。開業届は、開業した日から1か月以内の提出が義務付けられています。
提出方法は、持参・郵送・オンラインのいずれかです。持参/郵送を行う場合は、国税庁のホームページや税務署などから開業届を入手して記入します。オンラインで提出する場合は、電子申告システムの「e-Tax」から対応可能です。
開業届を提出することで、節税効果や社会的信用の獲得など多くのメリットを得られます。メリットは、以下のとおりです。
- 青色申告ができる
- 赤字を最大3年間繰り越せる
- 屋号で銀行口座を開設できる
- 社会的信用を得られる可能性がある
なかでも、最大のメリットは確定申告で青色申告を利用できる点です。青色申告であれば、最大65万円の控除(青色申告特別控除)を受けられるため、大きな節税効果を得られます。
また、青色申告を行う事業者であれば赤字が発生しても、損失額の3年間繰り越しが可能です。なお、青色申告特別控除を受けるためには「青色申告承認申請書」の提出が必要になるため、注意しましょう。
そのほか、開業届に屋号を記入して提出することで、屋号名義の銀行口座を開設することが可能です。開業届を出していれば社会的な信用を得やすくなり、事業融資を受ける際などにも役立つでしょう。
続いて、開業時に提出する書類として「個人事業開始申告書」があります。こちらは、都道府県の税事務所に提出する書類です。所得税に関わる書類が開業届で、地方税に関する書類が個人事業開始申告書といえます。
なお、上記の各提出物を提出しないことによる、罰金などのペナルティはありません。
開業届は、あくまで義務として定められているものであることを覚えておきましょう。個人事業開始申告書は確定申告をした際に都道府県に自動で通知されるため、出し忘れたとしても問題はありません。
青色申告承認申請書に関してもペナルティはありませんが、提出しないと青色申告での確定申告ができません。ただし、開業届を出さなくても、青色申告はできます。
とはいえ、原則として開業届の提出は義務とされているため、開業時に開業届・青色申告承認申請書を一緒に提出するようにしましょう。
参考:国税庁「青色申告制度」
ポイント2:働き方を選択する
個人事業主(フリーランス)のパーソナルトレーナーとしての働き方には、経験などに応じて以下の3つの方法があります。
- 業務委託契約
- 出張・派遣型
- ジム開業
まずは、自分自身にとって向いている働き方かどれなのかをハッキリさせましょう。
業務委託契約
パーソナルトレーナーとしての働き方1つめが、業務委託契約です。フィットネスクラブやパーソナルジムと業務提携し、そこに来ている個人のお客さまに対してパーソナルトレーニングを行います。
業務委託契約のメリットは、働く場所や仕事の時間を調整しやすい点です。また、特定の企業に属するわけではないため、人間関係のストレスも回避しやすいでしょう。
デメリットは、雇用保険などの福利厚生を受けられない点です。そのほか、契約条件の交渉や確定申告なども自分の手で行う必要があります。
出張・派遣型
パーソナルトレーナーとしての働き方2つめが、出張・派遣型です。個人のお客さまの自宅に出張してトレーニングを指導したり、スポーツチームなどの団体に派遣されて指導したりします。
メリットとしては、直接お客さまと契約をするため、ジムへの仲介料などが必要ありません。また、縛りがないため幅広いお客さまを相手にでき、高収入を目指しやすくなります。
デメリットとしては、トレーニングの内容が制限される可能性がある点です。ジムではなくお客さまの自宅でトレーニングを行う場合、トレーニングマシンや器具があるとは限りません。さらに、移動にかかる時間など、拘束時間が長くなる点も考慮しておきましょう。
ジム開業
パーソナルトレーナーとしての働き方3つめが、ジム開業です。自宅で開業したり、スタジオをレンタルして開業したりする方法があります。
ジム開業の大きなメリットは、コンセプトやトレーニング方法を個人の自由に決められる点です。やり方によっては、収入を大きく伸ばせる可能性もあります。
一方でデメリットとしては、経費がかかることです。光熱費や家賃、トレーニング機器の導入費用なども自分で支払う必要があります。十分な集客ができなければ、場合によっては収入がマイナスになってしまうこともあるでしょう。
パーソナルトレーナーの経費項目とは

個人事業主のパーソナルトレーナーには、さまざまな働き方があります。ここでは、そのような個人事業主における経費の扱いについて、「売上項目」「経費項目」それぞれの視点で見ていきましょう。
売上項目
個人事業主のパーソナルトレーナーとして確定申告書に計上できる、主な売上項目は以下のとおりです。
- 入会金
- トレーニング代金
- 年会費、月会費
- キャンセル料
- 物販による売上
基本的に、支払いがあった日、もしくは請求書を発行した日が売上計上のタイミングです。
経費項目
個人事業主のパーソナルトレーナーとして確定申告書に計上できる、経費項目は以下のとおりです。
- 地代家賃:店舗の賃料、駐車場代など
- 支払手数料:振込手数料、クレジットカード売上の決済手数料など
- 通信費:電話代、インターネット代など
- 水道光熱費:スタジオの電気、水道、ガス代など
- 消耗品費:トイレットペーパーや洗剤、ウェア・シューズなど10万円未満の消耗品など
- 新聞図書費:書籍、雑誌購入費など
- 減価償却費:パソコン、トレーニングマシンなど10万円以上の資産
- 接待交際費:お祝いのお花、お歳暮、お中元など
- 雑費:セミナー参加費、修理代金など
必要経費として計上可能なものは、事業を行ううえで必要となった費用のみです。
個人事業主の経費について理解を深めよう
個人事業主のパーソナルトレーナーとして独立開業するのであれば、確定申告や経費管理は非常に重要です。経費項目についての知識を身に付けて、正しい経費処理を心掛けてください。
また、どの経費項目に当てはまるのかなど経費処理で迷ったときは、自分で判断するのではなく、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。