司法書士が開業前に必要な準備と資金とは?

司法書士として独立開業するためには、さまざまな準備が必要です。しかし最初のうちは、何から手をつけたらよいのかがわからないケースも多いでしょう。ここでは司法書士が開業前に必要な準備と資金、手続きなどについて解説します。司法書士として独立開業を検討している方は、参考にしてみてください。

司法書士が開業するメリット

試験に合格し司法書士になった方であれば「いつかは個人事業主として独立して仕事がしたい」と思うこともあるでしょう。司法書士が開業することによって得られるメリットは、以下のとおりです。

  • 年収が大幅に上がる可能性がある
  • 働く時間や場所を決める必要がない

ここでは司法書士が開業するメリットについて解説します。

年収が大幅に上がる可能性がある

司法書士白書2021年度版によると、個人として独立開業した司法書士のうち1~2割前後の方の年収は、1,000万円以上だそうです。中には5,000万円以上のケースもみられます。したがって大幅に年収が上がる可能性があることは、司法書士が開業するメリットだといえるでしょう。

ただし、独立開業しても1,000万円以下の年収に収まるケースも散見されるため、顧客獲得に注力し、多くの業務を受託することが必要です。事業が安定するまでの期間は、収入が安定しないこともある点には留意しなくてはいけません。

参考:日本司法書士会連合会 司法書士白書 2021年版

働く時間や場所を決める必要がない

勤務司法書士とは異なり、時間や場所の縛りがなく、自分の好きな場所・時間で業務を行える点も司法書士として独立開業するメリットの1つです。また、自宅を事務所として活用することもできます。自分の好きなペースで仕事を進めやすくなるため、ワークライフバランスもとりやすいでしょう。

ただし、事業を安定させるためには経営の知識なども必要です。さらに司法書士としての仕事だけでなく営業や事務、各種雑用など、これまでに経験したことがない業務への対応も求められます。

司法書士が開業するのに必要な資金はどれくらい?

司法書士として独立するためには、初期費用が必要です。また、毎月事業を維持するためのランニングコストも発生します。司法書士が開業するために必要なものとおおまかな費用は、以下のとおりです。

必要なもの 費用
事務所の家賃  20~40万円/月程度
(マンションの1室の場合。自宅を活用すれば安価に抑えられる)
司法書士会への登録費用 ・登録手数料:25,000円

・登録免許税:30,000円

・入会金:25,000~50,000円

・年会費:200,000~300,000円

家具、パソコン、書類などの事務用品  何が必要なのかによって異なるため、一概にはいえない。すでに自宅にあるものを利用したり、レンタルオフィスを利用したりすることで費用を抑えられる)
通信費 5,000~7,000円程度
(事業規模などによって異なる)
ホームページ制作費 ・外注への委託費:30万円~50万円程度
(自身で制作すれば費用を大幅に圧縮できる)・ドメイン取得・サーバーレンタル費用:6,000円~10,000円/年程度

司法書士の場合、上記をあわせた50万円~150万円程度の初期費用が準備できれば、独立開業することが可能です。ただし、毎月の運転資金と生活費用も必要になるため、資金には余裕をもって独立するべきでしょう。

参考:日本司法書士会連合会 司法書士登録手数料について

開業時に補助金はもらえる?

開業時に資金調達をする際には、金融機関への融資の相談と並行して補助金の申請も行うべきでしょう。司法書士として独立開業する際、申請できる可能性のある補助金は、以下のようなものが挙げられます。

  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

ただし、これらの補助金や助成金を申請するためには、それぞれ条件を満たす必要があります。

IT導入補助金は、司法書士事務所が対象となる場合、司法書士専用の業務システムなどの導入が条件です。一方、小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、商工会の管轄地域で事業を営む小規模事業者等です。

司法書士が開業準備する際の6つのSTEP

個人事業主として独立するためには、事務所の契約や備品の取得、開業届の申請など、多くの手続きが必要です。ここでは、司法書士として独立開業するために必要な6つのSTEPについて解説します。

STEP1:事務所にする物件を探す

司法書士として独立開業するためには、まず事務所となる物件を探す必要があります。マンションの1室などを賃貸契約する場合は、事業で使える物件を契約するための手続きが必要です。

また近年、多くの個人事業主がシェアオフィスを活用して仕事を行うケースも増えているため、選択肢の1つとして検討してみてもよいでしょう。

STEP2:必要な備品を揃える

司法書士として独立開業するための事務所となる場所が見つかった後は、業務に必要な備品を揃えましょう。パソコンやプリンター・スキャナといったOA機器、書類や文房具、机や椅子など仕事で必要になるものを一通りリストアップして、取得すべきものを可視化することが大切です。

また電話やインターネット回線、仕事用のスマホの契約も忘れずに行いましょう。前述したシェアオフィスを活用することによって、備品を取り揃える手間と費用を削減できるため、個人事業主としては有効活用したいところです。

STEP3:ホームページを開設する

司法書士として独立して開業したとしても、すぐに事業が安定するわけではありません。そのため、集客をするためにホームページを開設する必要があります。

ホームページの制作は専門の業者に依頼することが一般的ですが、自身で制作できれば大幅なコスト削減につながるでしょう。どちらの方法で実施するかについては、ご自身のスキルや業務などのバランスを考慮して決めることが大切です。またドメインを取得する必要もあるため、早めに手続きを行いましょう。

STEP4:司法書士会に登録する

司法書士として独立開業するためには、司法書士会に登録する必要があります。

司法書士会への登録手続きは、以下のような流れが一般的です。

  • 研修の受講:司法書士試験に合格後、司法書士会が主催する研修を受講
  • 登録申請:研修修了後、司法書士会への登録申請を実施。その際、司法書士登録申請書、誓約書、司法書士会入会届、履歴書、司法書士名簿に加え、戸籍謄本、身分証明書、司法書士試験合格証書、登記されていないことの証明書が必要
  • 審査:登録申請が受理された後、司法書士会による審査の実施
  • 登録:審査に合格すれば、司法書士として登録される
  • 司法書士会費の納付:前述した費用を支払う

なお、手続きの内容や方法は司法書士会によって異なる可能性があるため、事前に情報を取得し確認しておくと安心です。

STEP5:開業届を出す

司法書士として独立する場合には、納税地の税務署へ開業届を提出する必要があります。開業して業務をはじめた後、1か月以内に手続きを行いましょう。その際、必要になる情報は以下のとおりです。

  • 事務所の住所
  • 氏名
  • マイナンバー
  • 職業(司法書士)
  • 事業内容

開業届を提出する際、屋号を定めることは可能ですが必須ではありません。また、このとき青色申告承認申請書も同時に提出すると、節税効果が期待できるため実施することをおすすめします。

STEP6:開業後に銀行口座を開設する

開業届の提出後は、司法書士事務所の屋号名義で銀行口座を開設する手続きを行いましょう。個人用と業務用の銀行口座を分けておくことで、それぞれの収支状況を可視化できます。

また、司法書士として独立開業するタイミングで仕事用のクレジットカードも取得し、引き落とし先の口座を屋号名義のものにしておくと、事業で使った費用を管理しやすくなるでしょう。

開業後に廃業してしまった場合の就職先は?

司法書士として独立して事務所まで設立したものの、事業が軌道に乗らず廃業に追い込まれる可能性は否定できません。その場合、どのような企業に就職して勤務するべきでしょうか。

ここでは、開業後に廃業してしまった場合の就職先について解説します。

他の事務所に転職する

司法書士として独立後、事務所が廃業に追い込まれた場合には、ほかの事務所に就職して勤務司法書士として勤務することが選択肢の1つです。これまでの業務経験や専門分野の知識、経営経験などを活かすことで、問題なく仕事に従事できるでしょう。

一般企業のバックオフィス

不動産会社など一般企業のバックオフィス業務の担い手としても、司法書士のニーズはあります。特に不動産登記の業務経験が豊富な方であれば、再就職しやすいでしょう。

また、司法書士は会社の経営に必要な重要書類の作成が行えます。そのため、経理や経営企画といった部署における事務サポートの業務担当としても、問題なく勤務することが可能です。

廃業しないためにも開業準備や集客をしっかりしましょう

司法書士として独立して業務を行うためには、さまざまな準備や手続きが必要です。ただし開業後、失敗するリスクもあるため、経営だけでなく集客のための営業にも注力しなくてはいけません。

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