トイレリフォーム
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  6. トイレの移動リフォームにかかる工事費用の相場は?工事業者の選び方も解説
2022/08/17 2024/12/03

トイレの移動リフォームによって、利便性や快適性の向上が期待できます。

ただし、一定の条件を満たさないとトイレの移動はできないため、リフォームのなかでも施工難易度が高い工事です。
この記事では、トイレの移動リフォームに必要な条件や工事費用、工事業者の選び方などを紹介します。

この記事を監修したプロ
名嶋 健志郎 さん

株式会社Re:home

リフォーム工事・増改築工事専門の株式会社Re:homeです。内装工事、水回りリフォーム、浴室、キッチン、トイレなどを手掛け、お家の悩みを解決し、快適な住まいを提供します。保有資格は一級建築施工管理技士、二級建築士、宅地建物取引士。大手総合建設会社での施工管理経験を経て、現在は独立し、リフォーム業務に従事しています。お客様の声を大切にし、質の高い提案と施工を心掛けています。

トイレの位置はリフォームで移動できる?

給排水管の工事によって、従来の場所から別の場所へトイレを 移動すること自体はできます。

ただし、リフォームでトイレを移設するには、いくつかの条件を満たさなければなりません。住宅の構造によっては給排水管や水回り設備の工事に加え、スケルトン工事が必要です。

スケルトン工事

スケルトン工事とは、既存の壁や床、天井などを一度解体し、骨組みだけの状態にしてから内装をおこなう工事のこと。配管や水回り設備の位置などを自由に指定できるのがメリットです。

スケルトン工事とトイレ移動を一緒に行うと、スケルトン工事費用が別途発生します。工事費用は、施工面積が大きくなるほど増えていく仕組みです。

延床面積別の工事費用を以下の表にまとめました。設備の種類や数、構造の複雑さなどによって、スケルトン工事費用は変わります。

延床面積解体費用
約11坪約12万円
約12坪約35万円
約30坪約42万円
約70坪約55万円
約95坪約89万円

マンションでもトイレの移動リフォームはできる?

マンションでもトイレの移動リフォームは可能です。 しかし、戸建て住宅と比べて「排水管の位置」「マンションの管理規約」などの制約があります。

排水管の位置

マンションの構造上、排水管の位置によってはトイレの移動が難しいケースもあります。特に、排水管がコンクリートスラブに埋め込まれていると、大規模な工事が必要で費用も高額になる傾向です。

マンションの管理規約

マンションによっては、リフォームに関する管理規約が定められており、トイレの移動が禁止されているケースもあります。トイレの移動リフォームを検討している方は、管理会社に連絡して管理規約を確認しましょう。

トイレの移動リフォームに必要な5つの条件

他の工事と比トイレの移動は、壁紙やフローリング・畳の張替、外壁塗装といったリフォームと比べてリフォームは難易度が高い工事です。トイレの移動リフォームを行う際、以下5つの条件を満たしているか確認しましょう。

  1. 勾配
  2. 給排水管の移動
  3. 建ぺい率や容積率
  4. マンションの管理規約
  5. 床の構造

条件の内容を一つひとつみていきましょう。

条件1. 勾配

移設先での勾配確保は、トイレの移動リフォームを実施するうえでの絶対条件です。トイレの水を排水する際は重力と水圧を利用し、上から下へ水を流していきます。勾配が緩いと排水の際に、トイレが頻繁に詰まるため、十分な勾配を確保しなければなりません。

一般的に配水管が1m伸びると、約2cmの勾配が必要といわれています。仮に配水管が10m伸びたとしたら、約20cmの勾配が必要になるため、床の高さを20cm上げる工事が必要です。

床の高さが上がると、天井までの距離が短くなるだけでなく、間取りにも影響が発生します。まずは自宅や配管の構造を工事業者に確認してもらい、移設ができるかどうか、把握することが重要です。

条件2. 給排水管の移動

トイレに限らず、キッチンや風呂などの水回り設備をリフォームする際、重要となるポイントです。自宅の排水はトイレからの汚水、キッチンや風呂、洗面台からの生活排水に分けられます。排水の際は勾配を利用し、上から下へ流していく仕組みです。

ただし、トイレの汚水には排せつ物が含まれており、キッチンや風呂の水などと一緒に排水できません。同様に汚水用と生活排水用の配管を交換する対応も取れないことになります。

また、勾配を確保できても、主配管から遠すぎると給水ができません。トイレの移動リフォームを実現するには、主配管からある程度近い距離を保ちつつ、勾配の確保が必要です。

条件3. 建ぺい率や容積率

新築の際にリビングやキッチンなどの空間を最大限確保するため、建ぺい率や容積率がギリギリのケースもあるでしょう。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建物面積の割合です。(建築面積÷敷地面積)×100で算出します。

一方、容積率とは敷地面積に対する延床面積が占める割合です。(延床面積÷敷地面積)×100で、容積率を算出します。どちらの上限も地域の条例や立地条件などによって異なるため、工事業者に確認と測定を依頼しましょう。

仮に建ぺい率が上限ギリギリで容積率に余裕があるなら、2階を増築すればトイレを増設できる可能性があります。ただし、容積率が上限ギリギリだと、増築を含めてリフォームが認められない可能性が高いです。

条件4. マンションの管理規約

マンションに居住しているケースでは、リフォーム・リノベーションが可能な箇所は専有部分だけになります。専有部分とは、マンションの区分所有者が自由に使用する権利が認められている箇所です。

配管は専有部分に該当しますが、必ずしもリフォームが認められる保証はありません。マンションによっては、管理規約に「配管や水回り設備の移動禁止」など、リフォームに関する独自のルールが定められています。

また、リフォームを許可していても、マンション側が工事業者を指定しているケースも珍しくありません。トラブルを避けるため、必ずマンションの管理人にリフォームを検討している旨を相談をしましょう。

条件5. 床の構造

マンションは、床構造によってはトイレの移動リフォームができません。

マンションの床構造は直床と二重床、2種類に分けられます。直床はコンクリートスラブの上に、フローリング材を直接貼っている構造です。居住しているマンションが直床構造だと、トイレの移動リフォームはできません。配管の位置を変えることが難しいためです。

トイレだけでなく、キッチンやお風呂など、水回り設備全般のリフォームが難しくなります。

一方、二重床はコンクリートスラブにボルトを打ち込み、フローリング材との間に空間を生み出す構造です。床下に空間があるため、給排水管や水回り設備の位置移動ができます。
また、二重床は、比較的新しい物件で採用されている構造です。築年数が古いマンションは直床構造を採用している傾向が高く、トイレの移設は難しいでしょう。

トイレの移動リフォームに必要な費用相場

一戸建て住宅でトイレの位置移動だけを行うときにかかるリフォーム費用は、30万〜60万円が相場です。

施工費用の主な内訳については、以下の表にまとめています。

工事内容費用相場
排気用ダクトの工事10,000円~
電気の配線工事20,000円~
既存トイレの撤去20,000円
新しいトイレの設置30,000円
トイレの本体価格10万円~20万円
給水管・排水管の設置15万~20万円
内装工事10万~20万円

手洗い場の設置は10万円、キャビネットや収納棚を取り付けると40,000円〜15万円前後の追加費用が発生します。

また、トイレの移動リフォームは、間取り変更をともなうケースが多いです。以下4つの工事を実施しなければならず、施工費用が高騰します。

  • 給排水管の延長工事
  • スケルトン工事
  • 電気の配線工事
  • 排気用ダクトの工事

また、下地の劣化状況によっては、床の補修工事も必要です。追加費用が発生するケースが高いため、必ず現地調査と見積提示を依頼しましょう。

トイレの増設に必要なリフォーム費用

住宅の構造的な問題でトイレの移動が難しいのであれば、トイレを増設する選択肢もありです。トイレを増設するスペースが住宅内にある場合、リフォーム費用は50万〜100万円が相場です。

押し入れやクローゼット、空き部屋などを活用し、トイレを増設します。給排水管の延長工事や床の補強工事が発生するため、工期は3日〜7日程必要です。

また、お住まいにトイレを増設するスペースがないのであれば、一戸建て住宅を増築して設置エリアを設ける方法もあります。
増築してトイレを増設する際にかかるリフォーム費用は、80万〜200万円が相場です。壁の撤去と新設、屋根の設置などが発生し施工費用は高額になります。住宅の増築とトイレの移設、2つの工事を実施する際の工期は、1~2週間が目安です。

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【徹底調査】トイレリフォームにかかる費用相場はどのくらい?費用別の事例も紹介 >>>

トイレの移動リフォームにかかる費用を抑えるコツ

トイレの移動リフォームにかかる費用を少しでも安くおさえるなら、「移動距離を最小限にする」「工事は繁忙期を避ける」「旧タイプを選ぶ」といった点も意識しましょう。

また、介護保険の住宅改修の「洋式便器等への便器の取替え」に該当する工事であれば、補助金の対象となります。補助金の詳細については、公式サイトを確認してください。

参照:厚生労働省|介護保険における住宅改修

【トイレの移動リフォームにかかる費用を節約するポイント】

  • 移動距離を最小限にする
  • 工事時期を検討する
  • 旧タイプを選ぶ
  • 補助金の活用

トイレの移動リフォーム前に検討すべき内容

トイレの移動リフォームを決断する前に、以下5つの点を整理しておきましょう。

  1. トイレの向きを変える
  2. タンクレストイレやポータブルトイレを検討する
  3. リビングや寝室の上に増設しない
  4. 建築確認申請が必要になる可能性が生じる
  5. 他の水回り設備のリフォームも検討する

トイレの向きを変える

住宅の構造やスペースの問題で、トイレの移設が難しいときの手段です。トイレを広く使えるようになり、快適性が高まるでしょう。トイレの向きを変えるだけなら、便座交換と内部補修だけで工事が完了するため、費用を比較的安く押さえられます。

ただし、居住している建物の構造上、移設先でスペースを十分に確保できないのであれば、トイレの種類や向きを変えるのもひとつの方法です。トイレの向きを変えるだけなら、移設よりも施工費用を抑えられます。
また、タンクレストイレを新たに設置するケースでは、水道代の大幅な削減が可能です。

タンクレストイレやポータブルトイレを検討する

トイレの設置には、最低限0.5坪(畳1枚分)のスペースが必要です。0.5坪以下だと身動きが取りづらくストレスになるため、移動先のスペースが十分に確保されていることを確認しましょう。

0.5坪以上のスペースを確保できないのであれば、タンクレストイレの設置を検討しましょう。タンクレストイレとは、便器洗浄用の貯水タンクがないタイプのトイレ。貯水タンクがない分、省スペースでも設置できます。節水効果も高く、タンク付きのトイレと比べて1回で流す水の量も1/3程度と少ないのが特徴です。
また、足腰に不安を抱えている方と同居中の方は、ポータブルトイレを検討してみてください。
ポータブルトイレは、文字通り持ち運びが可能なタイプのトイレです。特定福祉用具に指定されており、購入する際は介護保険の適用が認められています。プラスチック製や木製型など種類が多いため、一番合ったものを選びましょう。

リビングや寝室の上に増設しない

2階にトイレを増築するなら、1階トイレの上に設置しましょう。排水管の位置取りがしやすく、施工費用の削減や工期を短くできるためです。

住宅の構造上、1階のトイレの上への設置が難しいときは、リビングや寝室と離れた位置に2階のトイレを増設しましょう。リビングや寝室の真上に設置すると、排水音が響いて快眠を妨げる可能性があります。

建築確認申請が必要になる可能性が生じる

10㎡以上の大規模なリフォーム・リノベーションを実施する際、建築確認申請が必要です。
建築確認申請とは、住宅を含む建物が建築基準法や各市町村の条例を遵守しているか、確認するための手続きのこと。建築確認申請は、工事業者が担当するため自身での手続きは不要です。

他の水回り設備のリフォームも検討する

洗面化粧台の交換や浴室の拡張など、他の水回り設備のリフォームも同時に実施するのも良いでしょう。工事業者は、施工に関わる職人や材料をまとめて手配できるため、リフォーム費用が安くなる可能性があります。

複数の水回り設備をリフォームするときは、施工実績や事例を確認してから工事業者を選びましょう。

トイレの移動リフォームに対応可能な工事業者の選び方

工事業者を選ぶ際は、以下4点を意識することが重要です。

  1. 施工実績と得意分野を確認する
  2. 依頼する範囲を決めておく
  3. 自社施工に強みを持つ会社に依頼する
  4. 複数の会社から見積を取得する

施工実績と得意分野を確認する

トイレの移設に関する施工実績が豊富かどうかを確認しましょう。すべてのリフォーム会社が、トイレの移動リフォームを得意としているわけではありません。内装工事やバリアフリー化など、各企業によって得意分野も異なります。

施工事例や得意分野を確認したうえで、外注先の候補に含めるかを判断しましょう。

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依頼する範囲を決めておく

依頼内容に応じて、選ぶべき工事業者は異なります。トイレの移設だけを依頼したいなら、水回り設備専門の工事業者を選ぶのがおすすめです。豊富な知識を持つ職人が在籍しており、住宅の設計や構造に応じた提案が得られます。

正確かつ素早い仕事ぶりが望めるため、短期間で工事が完了する点も魅力です。

また、トイレの内装工事や他の水回り設備もリフォームするなら、リフォーム会社か工務店に依頼しましょう。

双方とも、実用性とデザイン性を両立したトイレの空間形成が望めます。洗面所や浴室リフォームもあわせて依頼できるため、別の工事業者を探す必要もありません。
また、リフォーム会社は対応可能な工事の範囲が広い点が特徴です。工務店に依頼すれば、予算に応じた提案が望めます。依頼内容に応じて、工事業者を使い分けましょう。

自社施工に強みを持つ会社に依頼する

工事業者の種類を問わず、自社施工に強みを持つ会社にトイレの移動リフォームを依頼しましょう。優れた技術や豊富な経験を持つ職人が在籍しており、素早く正確な仕事ぶりが期待できます。

また、リフォームの工程を自社内で完結するため、作業の委託料金や人件費が施工費用に上乗せされることもありません。商談の際に、下請け会社や協力会社にどの程度作業を振っているのか確認し、費用の高騰を避けましょう。

複数の会社から見積を取得する

見積もりが1社だと、リフォーム費用の相場や担当者の能力を正確に見極めるのは困難です。他の会社と見積を比較できないため、相場以上の費用を支払う可能性が生じます。

また、担当者の調整能力が低いと、ご自身の要望を伝えるために何度も打ち合わせやメールのやりとりを重ねなければなりません。希望の場所にトイレを移設できず、これまでの時間が無駄になる可能性が高まります。

無駄な費用と時間の発生を避けるため、事前にリフォーム会社を5社前後探しておき、絞り込みをしましょう。

ただし、仕事や育児に忙しく、各企業の調査に十分な時間を割けない方もいるでしょう。外注先を効率的に見つけるには、ビジネスマッチングを活用するのがおすすめです。

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トイレの移設リフォームは、スケルトンにしてから間取りを作る場合には提案しやすいのですが、排水の勾配や設置位置による移設先への影響など考慮する点が多いです。

また、トイレの位置だけ変更するリフォームは増築等も検討する必要があり、想定より大規模な工事になる可能性があります。

建物の条件によっては移設できないケースもあるため、まずはプロに相談してみましょう。

この記事を監修したプロ
名嶋 健志郎 さん

株式会社Re:home

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