注文住宅を依頼する際には、工事費のほかに設計費が必要です。設計費とは、建物の設計を依頼したときに発生する費用のこと。依頼する業者によって費用は異なるため、事前に相場を確認しておくことが大切です。
本記事では設計費に含まれる業務内容や費用の相場、依頼する際の注意点などを解説します。これから家づくりを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
株式会社ヴィリオ
設計費とは?
設計費とは、建物の設計を設計士に依頼した時に発生する費用のことです。注文住宅を依頼するときには、工事費のほかに設計費がかかります。
住宅の設計は、新築住宅のデザインを図面で作成するだけではありません。地域ごとに異なる法令上の制約を確認し、法律や構造上問題がないかを考える必要があります。
設計費には、設計の費用以外にも監理料と呼ばれる料金が含まれている場合があります。監理料とは、工事が設計図面のとおりに行われているかを確認する監理業務にかかる費用です。
ここでは、設計費に含まれる業務や監理量との違いについてみてみましょう。
設計費に含まれる業務内容
設計費は、国土交通省が建築士法に基づいて示している業務報酬基準に沿って算出されます。しかし、あくまでも目安であり強制力はありません。設計費の相場は一般的に、建物の使用目的や面積、業務の具体的な内容によって算出します。
設計費は業務経費と技術料等経費からなり、それぞれの項目は以下のとおりです。
(業務経費)
経費項目 | 内容 |
人件費 | 設計業務を行う人の、従事する日数・時間による金額 |
直接経費 | 設計図面作成に必要な印刷製本費、コピー代金など |
間接経費 | 設計事務所で必要な光熱費や賃貸料など |
特別経費 | 出張費や施主の依頼により発生する経費 |
(技術料等経費)
経費項目 | 内容 |
設計士の技術に対する費用 | 設計業務に必要な技術力・創造力などに対する費用 |
>>参考(外部リンク)
国土交通省|業務報酬基準ガイドライン(建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準について)
設計費には標準業務と標準外業務があり、標準外業務を依頼する場合には、追加料金がかかります。何が標準業務にあたるかは事務所ごとに基準が異なるため、依頼を検討する際に確認が必要です。
標準業務として、主に以下のような業務が挙げられます。
- 敷地の条件や施主の要望などを整理する
- 法律や条例を遵守して建築するため役所と協議する
- 施主と細かく打ち合わせるための設計資料を作成する
- 詳細を定めた設計資料を複数作成し施工会社に見積もりをとる
標準外業務(追加業務)として、以下のような業務が挙げられます。
- 建築物の設計のための企画及び立案並びに事業計画に係る調査及び検討並びに報告書の作成等の業務
- 建築基準関係規定その他の法令又は条例に基づく許認可等に関する業務
- 建築物の立地、規模又は事業の特性により必要となる許認可等に関する業務
- 評価、調整、調査、分析、検討、技術開発又は協議等に関する業務(例:以下の業務)
- 建築物の防災又は減災に関する業務
- 環境の保全に関する業務
- 建築物の地震に対する安全性等の評価等に関する業務 ほか(計13項目)
監理料との違いは?
設計費には、監理料も含まれます。監理料とは、工事を問題なく進めるために算出される費用のことです。一般的に監理料にあてはまる内容は、以下のとおりです。
- 適切な施工業者(工務店)の選定
- 施工会社から提出された見積もりの精査
- 図面に沿って工事が実施されているかの監理
- 引き渡しの前に検査・状況チェック
設計事務所ごとに細かい内訳は異なるため、詳細は依頼する業者に確認してください。
【業者別】設計費の相場
設計費の依頼は、ハウスメーカーや工務店、あるいは設計事務所や建築士に直接依頼する方法があります。費用の相場は依頼する業者によって異なるため注意が必要です。
ここでは依頼先別に、設計費の相場目安をみていきましょう。
工務店・ハウスメーカーに依頼する
ハウスメーカーや工務店に依頼する場合、設計費の相場は工事費用の約2%〜5%程度です。たとえば3,000万円の住宅を建築した場合、設計料は約60万円〜150万円になります。
注文ごとに設計するのではなく、土地の形状や建物の大きさに合わせて設計パターンを用意している業者も少なくありません。それにより、設計費を抑えることができます。
ただし、費用が安くなるのは一般的な地域かつ標準的な条件の土地に、標準の住宅を建築する場合です。土地が傾斜地や変形地など施工条件が厳しい場合は、ハウスメーカーや工務店では対応が難しく、費用が高くなる傾向にあります。
設計費が無料になっている場合も
ハウスメーカー・工務店では注文住宅の設計費を工事費用に含めているところもあり、設計費が無料となっている場合もあります。社内に設計部があったり建築士が在籍していたりする場合がほとんどなので、設計費を比較的抑えられる傾向にあるのです。
また、ハウスメーカーや工務店では、型式適合認定を利用していることがあり、これも設計費を無料にできる理由とされています。型式適合認定とはあらかじめ住宅の材料や構造などを型式として認定を受ける制度で、設計の業務を削減することが可能です。
設計事務所・建築士に依頼する
設計事務所や建築士に依頼する場合、費用は一般的に工事費の約10%〜15%が目安です。たとえば、工事費が3,000万円の住宅の設計料は約300万円〜450万円になります。
ハウスメーカー・工務店と比較すると高く感じられますが、こだわりの注文住宅を建築したい場合には必ずしも高いとはいえません。
また、建築の条件が厳しい場合にはハウスメーカー・工務店での対応が難しく、設計事務所や建築士に頼ることとなります。技術と経験により、解決に導いてくれるケースも少なくありません。
設計事務者は費用が高い?
設計事務所や建築士は難しいデザインも請け負ってくれるため、設計費が高くなる傾向にあります。しかし、一定の設計パターンを用意しているハウスメーカーや工務店とは異なり、土地の形状に合わせてオリジナルの設計をしてくれる点はメリットと言えるでしょう。
建築する土地に制約がある、住宅のデザインにこだわりがあるといった場合には、多少費用が高くなっても設計事務所・建築士に依頼するのがおすすめです。
有名建築士の場合は特に報酬が高い印象がありますが、決められた予算の中で何ができるかを考えて提案してくれる場合もあります。コストを抑える工夫をしてくれる建築士もいるため、気になる建築士がいれば相談してみてもよいかもしれません。
依頼するときの注意点
設計を業者に依頼する際は、いくつか注意したい点があります。設計士を選ぶ際は技術や経験のほか、相性も重要です。
ここでは、設計を依頼する際の注意点をご紹介します。
設計士との相性を確認する
理想の住宅を新築するためには、設計・施工をする業者との相性が大切です。特に設計士との相性は重要であり、すべての設計士が希望通りの設計にしてくれるとは限りません。依頼主の要望を聞き取り、柔軟なアイデアを提案をする設計士もいれば、間取りなど自分の考えにこだわる設計士もいます。
設計士との相性が悪い場合、自分の要望がうまく伝わらず、理想の家づくりができなくなる可能性も。新築住宅を依頼する前に、設計士との相性が合うかどうかを必ずチェックしましょう。
複数業者に見積もりを依頼する
設計費の見積もりは、複数業者に同じ条件で依頼しましょう。見積もりを比較検討することにより、予算に合う業者を選べます。
見積もりを依頼する際は予算と要望を詳しく伝え、見積書に反映されているかを確認してください。確認する項目はプランや金額、仕様などです。金額は「一式」という表示ではなく、項目ごとに細かく明細を出しているかをチェックしましょう。
プランを確認するときは、要望が反映されているか、法規の問題がクリアされているかに着目します。周囲の環境が考慮されているかも大切なポイントです。
設備の仕様も、メーカーのカタログなどで確認しておきましょう。
内訳費用を確認する
見積書の内容を確認する際は内訳を確認し、追加費用が発生するかどうかの確認も必要です。設計事務所の場合、工事代金の詳細を把握せず、実際の工事費よりも安く見積もる可能性もあります。施工後に追加費用が発生して予算オーバーということにならないよう、見積もりの際はよく確認しておかなければなりません。
また、工務店やハウスメーカーでは、工事費のみを請求される場合があります。工事費に設計料が含まれていると考えられますが、認識の違いを起こさないよう、設計費込みの金額かどうかを確認しておきましょう。
デザインだけで選ばない
住宅の設計では、デザインだけで選ばないことも大切です。長く住む住宅は住みやすさが重要であり、デザインにこだわりすぎると生活の動線がおろそかになり、住みにくくなる可能性があるでしょう。あとからリフォームが必要になり、高額費用がかかる場合もあります。
こだわりのデザインを追求する場合は、動線の確保についても設計士と相談することが大切です。
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本記事では、設計費の概要や費用相場、業者に依頼する際の注意点についてご紹介しました。住宅を建築するにあたって設計は大切な要素となるので、信頼できる業者に依頼することが大切です。
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監修したプロのコメント
理想の空間を実現するためには、設計を依頼する相手の選定が非常に重要です。まずは、過去の施工事例やお客様の声を参考にし、相性が良さそうな工務店やハウスメーカーを訪ねてみましょう。
設計だけでなく施工の知識も備えた設計士であれば、設計と施工の間のギャップが少なくなり、理想のイメージ通りに仕上がる可能性が高まります。
設計士に依頼する際は、バックグラウンドや経験を聞いた上で判断すると良いでしょう。
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