ベランダ屋根には、日差しを緩和したり雨から洗濯物を守ったり、外からの目隠しをするなどの役割があります。ベランダに屋根が付いていない場合は、後付けを検討する方もいるでしょう。
今回は、ベランダ屋根を設置するメリットや種類、選び方などを紹介します。設置にかかる費用相場も紹介するため、ベランダ屋根の後付けを検討する方は参考にしてください。
想いを形に工房
ベランダ屋根は後付け可能!
基本的に、ベランダ屋根の後付けは可能です。しかし、設置場所やベランダの構造によっては、後付けが困難な場合があります。
主に下記の項目に当てはまる場合は、後付け工事が不可能です。
- 建ぺい率や容積率を超えている
- 設置スペースを確保できない
- 外壁がALC外壁材やタイル・レンガ貼りなどの素材でできている
- 建築基準法の法令で定められた防火性能を満たしていない
安全に暮らすためにも、ベランダ屋根を設置したい場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
※建ぺい率……敷地面積に対する建物の延床面積の割合
※容積率……敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合
ベランダ屋根を後付けするメリット
ベランダ屋根は必ず設置する必要はありませんが、多くのメリットがあります。ベランダ屋根を後付けするメリットを確認しましょう。
雨よけになる
ベランダに屋根を後付けすることで、雨よけになるメリットがあります。天気の悪い日は、雨に濡れるのが嫌で外に洗濯物を干せないことも多いです。しかし、ベランダ屋根があれば多少の雨なら洗濯物を守ってくれて、安心して出かけられます。
また洗濯物だけでなく、ベランダの床が濡れることを防げるためメンテナンスも簡単です。ただ、ベランダ屋根は完全に雨から守れるわけではありません。雨から完全に守りたい場合は、ガラス窓に覆われたサンルームの設置を検討しましょう。
日差しを緩和し温度調節できる
ベランダ屋根は、強い日差しを遮ってくれます。部屋に入る光が柔らかくなり、室内の温度上昇を和らげられるメリットがあります。特に日差しが強くなる夏は、冷房の効きが悪くなることも多いです。
ベランダ屋根を設置することで温度調節ができるようになるため、真夏日でも快適に過ごせます。また、日差しが強いと紫外線の影響で窓際のフローリングや畳が日焼けすることがあります。ベランダ屋根で日差しを遮ることで、フローリングや畳の日焼けを防げるのもうれしいポイントです。
目隠しになる
立地によっては、周りに自宅より高い建物がある場合があります。生活するなかで、自宅より高い建物にいる人々の視線が気になる方もいるでしょう。ベランダ屋根を取り付けることで、周囲の視線を遮れるので目隠しになる効果を得られます。
またベランダに洗濯物を干すことが多かったり、ベランダで過ごす習慣があったりする場合もベランダ屋根があると安心です。周囲の視線が気になる方はベランダ屋根の設置を検討しましょう。
防水塗装の保護になる
ベランダの防水塗装を紫外線や雨風から守ることが可能です。ベランダの防水塗装は、経年劣化によってひび割れや剥がれが発生しやすい特徴があります。
劣化を放置してしまうと、雨漏りが発生したり湿気がこもりやすくなったりする恐れがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
しかし、ベランダ屋根で経年劣化を抑制できるため、防水塗装の寿命を延ばし、メンテナンス費用を抑えることを実現できます。
ベランダ屋根を後付けするデメリットと注意点
ベランダ屋根は、日差しをガードしたり、部屋の温度を調節したりするなどのメリットがありますが、デメリットもあります。デメリットに対する解決策をしっておくことで、ベランダ屋根を設置した後の後悔を防ぐことが可能です。
具体的にどのようなデメリットがあるのか、注意点を踏まえて解説します。
雨音が発生する
ベランダ屋根に雨滴が当たって発生する雨音を防ぐことが不可能です。とくに、ポリカーボネート素材のベランダ屋根は雨音が大きい傾向があります。
寝室が隣接している場合は、豪雨の音で眠れなくなる恐れがあるため、ベランダ屋根の必要性と生活に対する悪影響を考えたうえで導入を検討しましょう。
もし寝室側のベランダに屋根を設置する場合は、雨音のストレスを軽減させるために、厚みのある屋根材を使用したり、防音材を導入したりするなどで雨音対策が可能です。
外壁の保証が受けられなくなる
ベランダ屋根を設置する際に外壁に穴を開ける必要がある場合、外壁の保証が効かなくなる可能性があります。
ほとんどの外壁メーカーやハウスメーカーが定める外壁保証の条件に、「外壁に穴を開けていないこと」が含まれているためです。外壁に穴をあけてしまうと、防水性や気密性が損なわれるため、下記のリスクを伴います。
- 亀裂や破損
- 塗装が剥がれる
- 雨漏り
外壁に穴を開ける工事は、外壁へ悪影響を与える状況にしてしまうため、ほとんどの業者が「穴が空いていない状態」を外壁の保証条件として定めています。
外壁に穴を開ける工事をする前に、保証に関する詳細を必ず施工業者に確認しましょう。
雨を完全にガードできるわけではない
ベランダ屋根では、上から降ってくる垂直方向の雨のみ防ぐことが可能です。風によって横方向に吹き込む雨や、屋根と壁の隙間から侵入する雨を完全に防ぐことはできません。
ベランダで雨を完全に防ぎたい方は、サンルームの増設リフォームをする方法もあります。サンルームを増設したい場合は、固定資産税がかかる場合があるため、業者に相談してみましょう。
北向きのベランダには向いていない
北向きのベランダには、屋根の設置が向いていないといえます。もともと風通しや日当たりが悪い特徴があるため、さらに湿気がこもりやすくなったり、部屋が暗くなってしまったりするなどのデメリットがあります。
しかし、一部を開閉できる屋根を選択したり換気孔を設置したりするなどの工夫をすれば、風通しの確保が可能です。日当たりは、透明性の高い素材を使用したり、屋根の角度を調整したりすることで日当たりを確保できます。
北向きのベランダに屋根を設置したい場合は、風通しと日当たりに配慮したうえで導入しましょう。
ベランダ屋根の種類と費用相場
ベランダ屋根には、アール型(R型)やフラット型(F型)、ルーフ型など、3つの種類があります。それぞれ種類によって相場費用が異なります。
種類 | 費用相場(出幅885mmサイズ) |
アール型(R型) | 13万〜16万円程度 |
フラット型(F型) | 12万〜15万円程度 |
ルーフ型 | 7万〜15万円程度 |
本章では、それぞれの特徴やメリットをまとめました。ベランダ屋根の種類を選ぶときの参考にしてください。
アール型(R型)
アール型は、屋根の先端が丸いカーブする形状になっているのが特徴です。フラットタイプと比べると雨がベランダに入るのを防ぎ、日差しを遮る効果があります。
また、積もった雪が滑り落ちやすいため、寒冷地域にある住宅にもぴったりです。和風や洋風など、あらゆるデザインにあうベランダ屋根なので人気があります。とはいえ、価格帯は他の種類に比べると高額なため、予算と工事費用を照らし合わせながら検討しましょう。
フラット型(F型)
屋根が平面に下りる形状が、フラット型です。直線的でスタイリッシュなため、デザインにこだわる方から人気を集めています。とくにモダンな住宅のベランダとの相性が抜群です。
フラット型のベランダ屋根は視界が開けているため、開放感を得られるのが特徴です。しかし、アール型のように屋根の先端が丸くないので、雨の日に洗濯物を干すと濡れることがあります。
急な雨から守る能力には欠けるデメリットを踏まえて、フラット型のベランダ屋根にするか決めましょう。
ルーフ型
ベランダ屋根を支える柱がない特徴のベランダ屋根がルーフ型です。柱がないため、ベランダを広く使用できるといったメリットがあります。
また屋根の形状は、平面のフラット型と屋根の先端が悪いアール型から選択できます。住宅の雰囲気に合わせて屋根の形状を決められるため、外観を崩す心配もありません。
とはいえ、柱がないので、フラット型とアール型と比べると耐久性はやや劣ります。
DIYでも設置できる?
ベランダの屋根は、適切な専門知識がある場合もしくは、簡単な組み立て式の屋根であればDIYでも設置可能です。しかし、高所作業で難易度が高いため、設置ミスをしてしまうと強度や防水性などが劣勢してしまう可能性があります。
本章では、DIYで取り付ける方法と業者に依頼するメリットを解説します。
DIYでの取り付け方法
ベランダ屋根をDIYで取り付ける際に必要な材料は下記の項目が当てはまります。
- 後付けテラス屋根キット:簡単な組み立て式のベランダ屋根
- ドリルドライバ:フレームや取付金具を固定する
- レンチ:取付金具を締め付ける
- メジャー:部材や設置場所を図る
- 水平器:フレームが水平になっていることを確認する
- マスキングテープ・鉛筆:穴を開ける場所をマーキングする
DIYで設置する手順は下記の5ステップの流れで行いましょう。
- 設置場所を決める
- 下地を補強する
- フレームを組み立てる
- 屋根材を取り付ける
- 固定する
まず、ベランダ屋根を設置する場所を決めます。建物の構造や窓の位置なども考慮し、十分な設置スペースを確保しましょう。
そして、設置場所の下地がしっかりとしていることを確認します。万が一弱い場合は、コンパネや角材などでの補強が必要です。
次にフレームを組み立て、屋根材を取り付けます。水平器を使って、フレームが水平になっているか確認が必要です。
フレームをビスやアンカーを使って壁や床に固定します。すべての部品が取り付けられたら、完成です。ベランダ屋根の設置は高所での作業になるため、安全に気をつけながら行いましょう。
プロの業者に依頼するメリット
プロの業者に依頼することで、下記のメリットがあります。
- どのような種類の屋根でも設置が可能
- 強度・防水性・耐火性に優れた屋根を選択できる
- 現場調査で最適な屋根と設置方法を提案してもらえる
- アフター保証を受けられる
ベランダの状況に応じて設置してもらえるため、綺麗な美観を維持したり、雨漏りを防いだりすることが可能です。
とくにベランダが広い場合や複雑な形状の屋根を設置したい場合は、プロの業者にお願いすることがおすすめです。
ベランダ屋根をつける際の注意点
ベランダ屋根を後付けする際には、いくつか注意したいポイントがあります。場合によっては、ベランダ屋根の効果を得られないこともあるので注意しましょう。
設置する方角に気を付ける
ベランダ屋根を後付けする際には、設置する方角に注意しましょう。たとえば、部屋が北向きの場合です。北向きの部屋は日差しが入りづらい方角なので、屋根を後付けしてしまうと室内が暗くなることがあります。
また日差しが遮断されてしまうと、冬は室内の温度が低くなります。暖房を稼働させる時間が長くなるので、電気代が高くなることも多いです。ベランダ屋根を設置する方角に迷うときは、リフォーム業者に相談することをおすすめします。
地域にあった素材や形状を選ぶ
ベランダ屋根を後付けすると、住宅の外観が変わります。そのため、デザインを重視して選ぶ方も少なくありません。ただ屋根は形状によって特徴が異なるので、住まいの地域や条件に適した素材や形状を選ぶことが大切です。
たとえば雪が多い地域に住んでいる場合、雪を下に落としてくれるアール型の屋根が適しています。逆に平面のフラット型を選んでしまうと、屋根の上に雪が積もりやすくなるので危険です。
屋根の素材には、ポリカーボネートやポリ塩化ビニル、アクリルなどが挙げられます。ポリ塩化ビニル素材は安価ですが、紫外線に弱く温度が高くなると変形することもあります。日差しが強い地域には向かないので、熱に強いポリカーボネートを選ぶのがおすすめです。
設置する場所やサイズに気を付ける
ベランダ屋根は、物干し竿より30〜50cm程度長く取り付けるのが良いといわれています。短すぎたり長すぎたりすると屋根の効果を得られないこともあるので、サイズを考慮することが大切です。
また、屋根の素材によっては雨音が目立つことがあるため、ベランダ屋根を設置する場所もしっかり考慮する必要があります。屋根のサイズや設置場所に悩む場合は、業者に相談しましょう。
賃貸物件の場合は確認する
賃貸マンションの場合、基本的にベランダは共有部分に含まれるため、入居者が自分の判断で屋根を設置することはできません。ただし、大家さんによってはベランダ屋根の設置を許可してくれることもあります。ベランダ屋根を取り付けたい場合は、大家さんもしくは管理会社に相談してみましょう。
DIYでは限度がある
費用を抑えるために、ベランダ屋根を自分で取り付けたい方もいるかもしれません。しかし、DIYには限度があります。注意して設置しても取り付け部分の強度が弱いと、少しの衝撃で屋根が取れてしまいます。
特に日本は台風が多く発生する国なので、屋根が落下して誰かを傷つけることもあるかもしれません。ベランダ屋根を安全に取り付けるには、プロに任せるのが一番です。DIYで屋根を設置することに不安があるなら、まずは業者に相談しましょう。
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ベランダ屋根には、日差しを遮断してくれたり雨から洗濯物を守ってくれたりなど多くのメリットがあります。ただし形状や素材選びや設置場所を間違えると、期待した効果を得られないことも多いので、工事のプロに依頼するのがおすすめです。
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監修したプロのコメント
洗濯物などを干せるようにしたいという理由で、ベランダに屋根を設置される方が多く存在しています。軒の出の幅が少ないと、雨が降りこみ洗濯物が濡れることがあるので、そこは十分注意が必要です。
ベランダに屋根を後付けする工事など、外壁に関わる工事のDIYは避けることをおすすめします。
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