モルタル壁とは?メリットやDIYについて解説
自宅の外壁がモルタル壁の場合、メンテナンスは必要なのか、必要な場合はどのようにすればいいかなど、わからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、モルタル壁をメンテナンスして劣化を防ぎたい方に向けて、以下のポイントについて解説します。
- モルタル壁の特徴や種類
- メンテナンス時期の目安・メンテナンス方法
- モルタル壁がDIYできるかどうか
モルタル壁のメンテナンス方法やDIYの方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
モルタル壁とは?
モルタルとは、水と砂とセメントを混ぜ合わせた素材で、1990年以前によく外壁に使用されていました。
モルタル壁は職人が手作業で仕上げるため、費用もやや高額で、施工時間もかかります。
経年により、表面塗装の防水性が低下し劣化症状が現れますが、メンテナンスをきちんとすれば30年以上も寿命をのばすことが可能です。
使用されることが少なくなりましたが、耐火性やデザイン性の高さで最近見直されています。
モルタル壁のメリット
モルタル壁のメリットは以下のとおりです。
- 意匠性に優れ、好みのデザインにできる
- ざらざらとした質感で、温かみがあり味わい深い
- 金属製の外壁だと壁表面が熱くなりやすいが、モルタルだと熱くなりにくい
- 窯業系サイディングのような目地がなく、コーキング(継ぎ目)の補修をしなくてよく、メンテナンス性に優れている
- 耐火性に優れている
- 耐久性に優れている
- 補修しやすい
モルタル壁のデメリット
モルタル壁のデメリットは、以下のとおりです。
- モルタル壁は壁に継ぎ目がないため、経年劣化して何かの衝撃があるとひび割れ(クラック)しやすい
- モルタル壁自体の防水性は低い(塗装して表面に防水性を持たせている)
- ひびが入ると水が浸入する可能性がある
- 壁の仕上がりに凹凸を付けると汚れやすくなる
- 工期が長くかかる
- 施工費がやや高額になる
モルタル壁の種類
モルタル壁は、表面の仕上げ方法にさまざまな種類があります。その種類とは、以下の4つです。
- リシン
- スタッコ
- 吹き付けスタイル
- 左官仕上げ
それぞれの特徴を見ていきましょう。
リシン
リシン壁はモルタルで壁の表面を整え、その上から粒状に砕いた石にセメントや樹脂などを混ぜ、それを吹き付けて仕上げます。比較的安価なことがメリットで、新築でも多く使われています。
デメリットは、表面がざらざらして細かい凹凸があるため、汚れやすいという点です。モルタル壁でよく使われる、スタンダードな種類です。
スタッコ
モルタルで壁の表面を整えた後、スタッコ材という塗料を吹き付けます。スタッコ壁はリシンより模様が大きく、立体感があるのが特徴です。
吹き付け後、そのまま固める「吹き放し仕上げ」と、吹き付けたあとにローラーなどで押さえつけて凸凹をつぶす「ヘッドカット(凸部処理)仕上げ」の2種類があります。
メリットは、壁に重厚感や高級感のある仕上がりになることで、デメリットは凹凸があるため汚れやすく、また施工に手間がかかるところです。
吹き付けタイル
吹き付けタイルとは、タイル材を専用のガンで吹き付けて仕上げる方法です。リシンやスタッコは細かい砂や石などの材料を混ぜ合わせますが、吹き付けタイルはそれらを入れないため滑らかな質感になります。
表面が滑らかなため汚れも落ちやすく、弾性タイプを選ぶとひび割れもしにくくなります。
「吹き放し仕上げ」と「ヘッドカット(凸部処理)仕上げ」のどちらかでも変わりますので、デザインのバリエーションも豊富なため、好みの外壁が見つかるでしょう。
左官仕上げ
左官仕上げは、職人がコテを使って外壁を仕上げる方法です。さまざまな模様の種類があるため、デザイン性に優れ、カラーやバリエーションが豊富なのが特徴です。
ハンドメイドな風合いで、おしゃれな店舗の内装にも左官仕上げが使われます。味のある外壁やおしゃれな外壁を希望する方におすすめです。
ただし、きれいに仕上げるためには、職人の熟練した技術が必要となります。
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メンテナンス時期の目安は?
モルタル壁は耐久性に優れているといっても、より耐久性を高めるためには定期的なメンテナンスが必要です。
モルタル壁のメンテナンスの目安は、一般的に10年といわれています。しかし、住宅の状況や環境などによっても変わるため、目安でしかありません。
壁の劣化の症状が出たら、早めにメンテナンスをおすすめします。メンテナンス時期の目安になる状態は、以下の5つです。
- チョーキング
- 汚れ、雨だれ
- ひび割れ
- カビ、コケ
- 浮き、剥がれ
一つずつ見ていきましょう。
チョーキング
壁を触ると、手に粉がつくことをチョーキング現象といいます。モルタル壁の劣化のサインの一つで、塗膜の表面が紫外線などで劣化し、チョークのような粉になってしまうのです。
家の壁にチョーキングが発生したら、外壁を塗り替えることを検討してみてください。
そのまま放置しておくと塗膜だけでなく、モルタル部分も劣化してしまい、雨水が侵入しやすくなってしまう危険性があります。
汚れ、雨だれ
モルタル壁は外壁がざらざらしていることが多いため、汚れがたまりやすくなります。
新築のときは防水効果もあり雨が汚れを落としてくれますが、経年劣化が進むとその防水効果も薄れ、次第に壁に雨水がしみ込み、汚れが残りやすくなるのです。
ただの汚れや雨だれの跡だけなら耐久性には関係しませんが、美観は損なわれるでしょう。
ひび割れ
モルタル壁は、コーキングがないためメンテナンス性がいいのですが、同時に衝撃の緩和材がないというデメリットもあります。そのため地震だけでなく、経年劣化や地盤沈下などの衝撃があると、ひび割れが起こりやすくなるのです。
モルタル壁にひび割れを見つけたら、できるだけ早くメンテナンスをおすすめします。
ひび割れから雨などが浸透し、外壁内部や建物が腐食してしまう危険性があるためです。
カビ、コケ
モルタル壁は表面がざらざらしていることから、水分が蒸発しにくい造りとなっています。
さらに、経年劣化で塗料の防水性が弱まると、カビやコケが発生しやすくなるのです。
壁のカビやコケは見た目が悪いこともありますが、劣化を早めるほか、アレルギーの原因にもなるため早めの対処がおすすめです。
浮き、剥がれ
モルタル壁の表面に塗っている塗膜が浮いたり剥がれたりしているのも、劣化が進んでいる証拠です。剥がれた部分から雨水などが入り込むと、さらに壁の劣化が進み、内側の木材まで腐食します。
もし、内側まで腐食してしまうと、かなり大掛かりな修繕が必要になるため、モルタル壁のメンテナンスをすることをおすすめします。
水分がたまりやすい住宅の下側の部分で起こりやすいので、気を付けて確認してみてください。
モルタル壁のメンテナンス方法
モルタル壁のメンテナンスの基本は、塗装です。カバー工法や張り替えという方法もありますが、この方法は壁の下地まで劣化が進んでいたときや壁を作り変えたいときに行います。
また、カバー工法や張り替えは費用が高くなるため、基本的なメンテナンスは塗装で行うのが一般的です。小さなひび割れくらいなら、ひびの補修をし、上から塗装すれば何の問題もありません。
モルタル壁をDIY可能?
モルタル壁は、実はDIYが可能です。材料は近くの建材店、またはネットからでも購入できます。
素人がモルタル壁をDIYするのは難しいのではと思われるかもしれませんが、壁は平面のため施工方法がわかれば可能です。
モルタル壁をDIYするため、以下の4点について解説します。
- 必要な道具
- 必要な材料
- モルタルの作り方
- 仕上げ方法
必要な道具
モルタル壁をDIYで塗る場合に用意しておきたい道具について、紹介します。
必要な道具は、以下のとおりです。
- トロ舟
- バケツ
- コテ
- コテ板
- ひしゃく
- スコップ
- 計量用カップ
- ゴム手袋
トロ舟とは、モルタルを練るときに使用する大きめのプラスチック容器のことです。
モルタルが少量の場合は、バケツでも代用できます。
コテは、モルタルを壁に塗るときに使用する道具です。コテにはその用途に応じてさまざまな種類がありますが、モルタルを塗るときには先のとがった「中塗ゴテ」を使います。
本格的にDIYをする場合は、仕上げのときの「角ゴテ」、目地仕上げで使用する「目地ゴテ」などをそろえておきましょう。コテのセット品も販売されています。
コテ板はモルタルを必要な分だけ手元に置いておくために使用し、ひしゃくはモルタルをすくうときに、スコップはモルタルを配合して混ぜるときに使います。
セメントや砂を計量するときには、計量用のカップがあった方が便利でしょう。モルタルはアルカリ性のため、厚手のゴム手袋も準備してください。
必要な材料
モルタルを作るのに必要な材料は、以下のとおりです。
- セメント
- 砂
- 水
- モルタル混和材
- 接着増強剤
- 色粉
セメントには種類がありますが、モルタルを塗るときに使用するのはポルトランドセメントがおすすめです。モルタル壁に色を付けたい場合は、セメントは白い色を選びましょう。
砂はホームセンターなどに、「モルタル・コンクリート用」の砂が売っています。もしくは、水はけのよい川砂を選んでください。
モルタル混和材は、必ず混ぜなければいけないものではありません。ただ、混ぜておくとコテの滑りがよくなり、きれいに塗れるでしょう。
接着増強剤も必須ではありませんが、モルタルに混ぜると強度が増します。モルタルに色を付けたい場合は、色粉を使用しましょう。
モルタルの作り方
モルタルの作り方について紹介します。
セメントと砂を1:3の割合で、トロ舟やバケツに入れます。均一に混ぜ、セメントの半分ほどの量の水を加えましょう。水を加える際には、硬さをチェックしながら少しずつ足していくのがポイントです。
セメントと砂の分量ですが、分量により性質や強度が変わります。一番強度が強いのがセメント、次にモルタル、その次がコンクリートになります。用途に合わせて、使い分けてください。
上手くできるか不安な方は、最初からセメントと砂が配合されており、水を加えるだけでモルタルが作れる製品もあります。
仕上げ方法
モルタル壁は、仕上げ方法により雰囲気が変わります。仕上げには3種類あり、それがローラー、スプレーガン、コテを使う方法です。
ローラーは塗料を均一に仕上げられ、スマートな印象になります。スプレーガンでの仕上げ方法は、スプレーガンに塗料を入れそれを飛ばして仕上げます。ローラーよりも作業スピードが速く、またアートな印象の壁に仕上げることが可能です。
コテは仕上げる人の技術によりますが、さまざまに壁をデザインできます。ハンドメイドの風合いが出て、味わい深い壁になるでしょう。
DIYの注意点
モルタル壁をDIYするとき、どのようなことに気を付ければいいでしょうか。以下の、3つの注意点をお伝えします。
- 安全対策
- 速さ
- 周囲の養生
安全対策
モルタルは強いアルカリ性のため、素手で触ると手が荒れてしまう可能性があります。
そのため、必ず防水性の手袋をしてから作業を開始してください。また目に入ると危険なので、ゴーグルやマスクも装着しましょう。
セメントと砂を混ぜるときにも微細な粉塵が周囲に飛散するため、マスクをしての作業がおすすめです。
高い壁を塗る際には安全対策をしっかりとって、落下しないように気を付けましょう。
作業工程を確認し、スピーディーに
モルタルは乾燥しやすい素材で、時間がたつにつれて固くなります。そのため、作業をスピーディーにする必要があります。
作業をスピーディーにするためには、事前に手順を確認し、作業工程をしっかりと頭に入れましょう。
また、すべての壁を仕上げるのに何日必要か、その間の天候はどうかなども確認しておく必要があります。モルタルが乾く期間まで、計算に入れておくことが大切です。
周囲を養生する
モルタルを塗る前には周囲を養生して、汚れがつかないようにしましょう。
新聞紙やビニールテープ、マスキングテープ、養生テープなどを使えば養生できます。もしモルタルがついてしまった場合は、乾いて固くなる前にふきとってください。
作業後の片づけにも、注意が必要です。使った道具も、モルタルが固まる前に洗いましょう。
ただし、道具を洗った水をそのまま流すと排水溝が詰まる可能性があるため、後処理にも気を付けましょう。
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この記事では、モルタル壁についてとそのメリットやDIYを解説しました。
モルタル壁はDIYもできますが、時間もかかり、体力も使い、その後処理も大変です。
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