07/30/2021

税務調査は個人事業主・フリーランスにも入る?調査基準や対策を解説

税務調査は、納税者が正しく納税しているかどうかを調べるために行われます。税務調査と聞くと法人が対象というイメージがあるかもしれませんが、個人事業主やフリーランスも税務調査の対象です。

もしも調査が入って申告内容に誤りが見つかった場合、不足している税金を納めなければならないほか、別途ペナルティが課されるかもしれません。今回は、税務調査の内容や調査が入る基準、税務調査が決定した場合にとるべき対策などについて詳しく解説していきます。

目次


税務調査とは

税務調査とは、納税者が適正に納税しているかどうかを国が直接訪問し、調査する制度のこと。所得額を偽って申告していないか、税額ミスがないか、申告漏れがないかなどを調べる調査です。会社だけでなく個人事業主やフリーランスも税務調査の対象であるため、「会社に所属していないから関係ない」と安心しないようにしましょう。

なお、税務調査には「任意調査」「強制捜査」の2種類があり、一般的な税務調査は任意調査のことを指します。任意調査は文字通り任意で強制力がないものの、調査官には質問検査権があり、納税義務者は質問に答えなければいけません。一方、強制捜査は国税局査察部(マルサ)が行う調査で、悪質な脱税に対して強制的に行われます。


税務調査の時期

税務調査が入る時期は、法人と個人事業主・フリーランスで異なってきます。法人の場合、決算期を参考におよその時期を予想することが可能です。

・決算期が2〜5月→税務調査は7〜12月
・決算期が6〜1月→税務調査は1〜6月

一方、個人事業主やフリーランスの場合、確定申告が通常3月15日に締め切られることから7〜12月に調査が集中する傾向に。

周期としては5〜10年に一度のペースで行われることが多く、事業の規模や過去の不正有無によって異なります。なお、税務署の人事異動が7月であることから、全体で見ると9〜11月頃に税務調査が最も多く行われるようです。


どこまで調べるのか

税務調査では、基本的に対象者の個人情報を全て調べられることになります。住所や氏名、生年月日といった情報だけでなく、家族構成や銀行口座の取引履歴まで調べられるということを頭に入れておきましょう。

特に仕事用・私用で共通の口座を使っている場合、確認作業が複雑になるほか、私的な支出を経費に入れていると疑われることもあるため注意が必要です。 また、帳簿類や契約書、請求書、領収書、議事録、パソコンなど、仕事と関連するものは全て調査対象となります。机の引き出しや金庫、倉庫などを隅々までチェックされるため、税務調査が入るとわかったらあらかじめ整理しておかなければいけません。


税務調査が入る基準

税務調査はランダムに行われるわけではなく、ある程度の基準を持って実施されます。具体的に以下のような条件に当てはまると税務調査が入りやすくなるため、注意しましょう。


確定申告の書類ミスや計算ミスが多い

税務調査は全ての納税者に行うわけではなく、「この人物は怪しい」と的を絞ったうえで行います。確定申告の書類や計算にミスが多い場合、税務署から目をつけられやすくなるため注意してください。

税務調査の対象にならないようにするには、正しく申告して目立たないことが一番です。確定申告では様々な書類を提出することになりますが、事前にくまなく目を通し、ミスのない書類を提出するようにしましょう。


売上が拡大している

売上が目に見えて拡大している場合、修正申告の可能性が高いとみなされ税務調査が入りやすくなるため注意してください。修正申告とは、既に行われた申告において誤りがあった場合、修正して再度申告することを言います。

売上が拡大すると、そのぶん申告書類の誤りや申告漏れの可能性も高まると税務署は考えるのです。 事業規模が大きくなった時こそ目をつけられやすいと考え、申告の際は不備がないか気をつけるようにしましょう。


不自然に利益が少ない&経費が多い

利益が少ない場合や経費が不自然に多い場合、申告内容を隠蔽していると疑われやすいため注意しなければいけません。税務署では、業種ごとに売上と利益率のデータを各年度でまとめています。

そのため、同業種内で比較して利益率が低すぎる場合、架空の経費で経費を水増ししている可能性を疑われることに。 また、売上が伸びているにもかかわらず利益が減少している場合も税務調査が入りやすくなります。利益を少なくするための工作を疑われるため、経費や原価に関する証拠を整理しておくようにしましょう。


売上高がわずかに1,000万円を下回る申告が続いている

個人事業主の場合、売上高が1,000万円を超えるとその2年後に消費税の納税義務が発生します。売上高が1,000万円を下回っている場合、消費税を納税する必要はありません。

ただし、この仕組みを利用して中には脱税目的で売上高を少なく申告する(過少申告)事業者もいます。そのため、売上高がわずかに1,000万円を下回る申告が続いていると過少申告と疑われ、税務調査が入りやすくなるのです。


税務調査のリスクが高い業種

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業種

国税庁のホームページでは、事業所得を有する個人の申告漏れ所得金額が高額な上位10業種を公開しています。これらの業種は申告漏れや脱税の可能性が高いとみなされ、税務調査が入りやすい傾向です。

上記で紹介した基準のほか、ここにピックアップされている業種を営んでいる場合、正しく申告を行うように注意しましょう。

引用元:国税庁「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況 事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位 10業種」


白色申告だと税務調査はない?

個人事業主の確定申告には、「青色申告」「白色申告」の2種類があります。青色申告は日々の取引を記帳し、その内容を申告するというもの。手間がかかる分、高い節税効果が得られます。

一方、白色申告の場合は記帳が簡易的であるものの、節税効果はそこまで期待できません。 一般に、事業規模が大きい事業者は青色申告で確定申告を行うとされています。そのため白色申告であれば税務調査の対象になりにくいと考える方もいますが、白色申告でも税務調査が入る可能性は十分あるでしょう。

特に、FXや広告収入などを副業として行なっている場合は目をつけられやすく、注意する必要があります。


税務調査で申告の誤りが発覚した場合

税務調査によって申告内容の誤りが発覚した場合、修正申告によって不足している税金を納めなければいけません。このことは「追徴課税」と呼ばれます。また、不足している税金に加え、以下のようなペナルティを課せられることもあるため注意してください。


過少申告加算税

期限内に申告したものの、提出済みの申告書に記載された金額が少なかった場合、不足している税金に加えて課せられる税金です。新たに納めなければならない税金に対し、10%の税率で課された税額を追加で納めなければいけません。

また、新たに納めなければならない税金のうち「提出済みの申告書による税額」または「50万円」のどちらか多い金額を超える部分に対しては、15%の税率が課されます。


無申告加算税

正当な理由もなく期限内に申告を行わなかった場合に課される税金です。納めるべき税額に対し15%(税額が50万円を超える部分は20%)の税率で課され、本来の税額に加え追加で納めなければいけません。 ただし、税務調査による更生あるいは納税が予想される前に自ら申告した場合、税率は5%にまで軽減されます。


不納付加算税

源泉徴収による国税を正当な理由もなく法定納期限内に納付されなかった場合、課される税金です。納めるべき税額に対し10%の税率で課されますが、納税について告知を受ける前に納付した場合、5%まで税率が軽減されます。


重加算税

過少申告加算税や無申告加算税が課される場合において、税額計算の基礎となる事実の全てまたは一部を隠蔽・仮装したときに課される税金です。 追徴課税におけるペナルティの中でも税率が非常に高く、過少申告加算税の場合は基礎となる税額に対し35%、無申告加算税の場合は基礎となる税額に対し40%の税率が課されます。


税務調査を拒否した場合も罰則がある

税務調査は、上述した通り調査官に質問検査権があるため、任意のものであっても原則拒否することはできません。このことを、納税義務者の「受忍義務」と言います。

また、国税通則法第128条によると、以下の場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されるため注意してください。

・調査官の質問に対し答えなかった場合
・嘘の答弁を行なった場合
・調査官の検査や採取、移動を拒否した場合

ただし、調査官側にも禁止事項があります。税務調査では事業に関わる資料や物品しか調査できず、また聞き取り調査も役員・経理責任者以外の従業員は答える義務がありません。もし権限を超えて調査官が調査を行おうとした場合は、拒否することが可能です。


税務調査の流れ

税務調査は、主に以下のような流れで行われます。

  1. 事前連絡・日程調整
  2. 実地調査
  3. 調査結果の報告
  4. 修正申告の手続き

調査にかかる時間はさほど長くなく、特に個人事業主に対する税務調査であれば1〜2日で終わる場合がほとんどです。それぞれの詳しい内容について、以下で説明していきます。



1. 事前連絡・日程調整

任意調査の場合、いきなり調査官が訪れるということはほとんどありません。事前に税務署から納税者に対して税務調査を行う旨の連絡が入り、その際に日程調整も行います。

調査予定日の10〜20日前を目安に連絡が届き、納税者の都合も考慮したうえで日程を決められるため安心してください。日程調整後は、当日の調査がスムーズに進むよう、必要な帳簿類や資料などを整理しておきます。


2. 実地調査

当日の午前中に調査官が訪問し、現地での調査が始まります。事業内容や申告書の作成に関するヒアリングから始まり、その後資料の確認作業が開始されます。主に内部資料間の照らし合わせや、調査官が作成した資料と内部資料との照らし合わせ作業が中心です。 調査官から質問されることもありますが、協力的な姿勢で答えるようにしてください。

また、その場で問題点を指摘される場合もあれば、資料を調査官が持ち帰り、後から質問や指摘事項の連絡が来ることもあります。もし顧問税理士がいる場合、調査に同席してもらうと安心できるでしょう。


3. 調査結果の報告

実施調査の終了後、調査結果について報告があります。問題なしという結果になった場合、申告是認という形で税務調査は終了です。

ただし、税務署からの指摘事項があれば納税者側でその内容に対し調査・回答しなければいけません。指摘事項に納得できない場合、税務署側と納税者側で何度かやり取りを続けることになります。調査官が納税者の説明に納得できれば、指摘を取り下げてもらうことも可能です。


4. 修正申告の手続き

申告内容の誤りが発覚した場合、調査官から修正申告を行うよう指示され、追徴課税の納付書が渡されます。修正申告を行う際は修正申告書の作成・提出を行い、その後納付書と現金を用意して速やかに納税しなければいけません。 原則として追徴課税は一括納付する必要がありますが、難しい場合は分割での納付に応じてもらえることもあります。追徴課税を納めると、税務調査の終了です。


税務調査を乗り切るための対策

もしも税務署から連絡が来て税務調査が行われることになった場合、どのように対処したらいいのでしょうか。以下では、税務調査を乗り切るための対策についていくつか説明していきます。


調査に協力的な姿勢を見せる

税務調査と聞くと不安な気持ちになるかもしれませんが、調査には真摯に対応するようにしましょう。何かを隠そうとしたり、不自然な動きを見せたりすると怪しいと疑われ、ますます調査官の目が厳しくなります。 税務調査は、上述した通り脱税の可能性が高い事業者に絞って行われる場合がほとんどです。

ただし、中には計算ミスや書類の誤りを確認するためだけに行われることもあります。正しく納税している場合も税務調査が入る可能性はあるため、やましいことがないのであれば堂々と対応するようにしましょう。


手元に置いておきたい資料はコピーしておく

税務調査では、調査官が一度こちらの資料を持って帰ることもあります。ただし、中には見積書や請求書など、手元に置いておかないといけない書類もあるでしょう。どうしても貸し出しが難しい場合、調査官が連日自宅や事務所へ訪れることとなり、税務調査の期間が延びてしまいます。

税務調査の期間が延びるとその分対応しなければならないため、本業に支障が出ることも。そうならないよう、手元に置いておく必要がある資料は前もってコピーしておくようにしましょう。


すぐに回答できない場合は後日改めて回答する

実地調査を行う中で指摘を受けたり質問されたりした場合、即答できないこともあるでしょう。そのようなときは曖昧に答えるのではなく、後日改めて回答するようにしましょう。

焦って適当なことを言ってしまうと他の資料との辻褄が合わなくなったり、不自然なせいでより疑われたりすることもあります。 調査官から回答を求められたときは、正しいと確信して答えられる場合を除き、後日改めて調査して回答するようにしてください。


帳簿書類を整理しておく

税務調査が入るとわかったら、調査日までに帳簿書類や資料などを整理しておくようにしてください。資料が整理されていないと調査が長引いてしまうほか、工作を隠そうとしているのではないかと疑われる可能性もあります。調査される可能性が高い書類は、すぐに提示できるよう1つの場所に用意しておくと調査がスムーズに進むでしょう。

なお、領収書や見積書、請求書などの帳簿類は作成日から7年保存するよう法律で定められています。一部の書類は保存期間が5年であるものの、混乱しないよう帳簿書類の保存期間は7年で統一し、保存・整理しておくのがおすすめです。


ミスに気づいたら前もって修正申告を行う

税務調査に向けて帳簿書類や過去に出した申告書を見直していると、申告内容のミスに気づくこともあります。ミスに気づいたら、税務調査が入る前に自ら修正申告を行うようにしましょう。

上記で追徴課税におけるペナルティについて説明しましたが、指摘が入る前に修正申告した場合はペナルティが軽減することもあります。もし修正申告が間に合わなさそうであれば、調査日を延期してもらうことも有効です。


税務調査が不安な場合は税理士へ相談

普段税理士に税務を依頼していない個人事業主でも、税務調査の対応をスポットで依頼することが可能です。税理士に依頼できる内容として、税務調査における事前打ち合わせや資料の確認、調査の立会い、税務署との調整・折衝などが挙げられます。

税務調査に関する業務を全て依頼する場合、依頼費用の相場は「17〜30万円」です。 ある程度の費用はかかるものの、調査官とのやり取りを一任できるため安心感が大きいでしょう。また、不要な追徴課税を支払わずに済むというメリットもあります。穏便に税務調査を済ませたいという方は、税理士に依頼することも検討してみてください。


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