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ゼロから分かる確定申告!必要な場合を解説

2021/07/31 2021/09/16
ゼロから分かる確定申告!必要な場合を解説

「確定申告」とは聞くものの、どういったものなのか、いつ必要になるのか、よくわかっていない方もいらっしゃるかもしれません。もしかすると、確定申告をしていないために損をしている場合も。 そこで今回は、対象者が多い「所得税の確定申告」について、一から説明していきたいと思います。 本記事の内容を参考に、いま一度確定申告について見直してみてください。


そもそも確定申告とは?

確定申告とは

確定申告とは、1年間のうちに生じた所得額と、それに応じた所得税・復興特別所得税の金額を計算し、自らの所得税額を税務署に申告・納税する制度です。 所得税の申告期間は、基本的には毎年「2月16日〜3月15日」とされており、この期間内に、前年の1月1日〜12月31日で生じた所得税額を申告します。

なお、令和2年度分の申告期間は「令和3年2月16日(火)〜3月15日(月)」でした。


年末調整と確定申告の違い

同じく税金に関する制度で、「年末調整」と呼ばれるものがあります。耳にしたことがある、という方も多いのではないでしょうか。 年末調整とは、簡単に言うと「従業員の所得税額を会社が最終調整・精算する」という制度です。 通常、正社員やアルバイトなど、従業員の所得税を会社が代わりに納めるため、毎月の給与から「源泉徴収」として天引きしています。(月88,000円を超える場合のみ)

なお、このときに天引きされる額はあくまでも概算されたものであり、必ずしもその年の所得税額と一致するとは限りません。 そのため、年末にその年の所得が確定した段階で、余剰に天引きしていた分または不足している分を、12月〜1月の給与で精算します。これが年末調整です。 この仕組みがあるため、一般に従業員は、所得税の確定申告をする必要がありません。

例外として、 年収が2,000万円を超える 副業・掛け持ちによる収入が20万円を超える という場合、年末調整を受けている従業員であっても確定申告をする必要があります。 注意しましょう。


確定申告をしないとどうなる?

確定申告の必要があるにもかかわらず、期間内に申告をしなかった場合、無申告扱いでペナルティを受けます。

期間を過ぎてから申告した場合や、税務調査・通報などによって無申告が発覚した場合、本来の税額に加えて「無申告加算税」を払わなければいけません。 この無申告加算税は、原則、本来の税額に対し「50万円までは15%、50万円を超える部分は20%」で計算した金額を課せられます。

また、このほかに、期間から遅れて申告したとして「延滞税」も発生します。 延滞税は、期限日(令和2年度分であれば3月15日)の翌日から納税が完了する日までの日数に応じて税割合が決定され、この税割合と本来の税額、納税までの日数で税額が算出されます。 延滞していた期間・時期によって税割合が異なってくるため、詳しくは国税庁の「延滞税の計算方法」ページをご参照ください。

確定申告をしなかった場合、こうした附帯税を払わなければならないほか、社会的な制裁を受けたり、逮捕されたりする可能性も出てきます。 必ず期間内で、申告・納税を終えるようにしましょう。


確定申告が必要なときの計算の流れ

所得税確定申告は、大まかに流れを説明すると、

  1. 所得金額の計算
  2. 課税所得金額の計算
  3. 所得税額の計算
  4. 基準所得税額の計算
  5. 所得税・復興特別所得税の申告納税額の計算

というようになっています。 その内容について、順を追って確認していきましょう。


1.所得金額の計算(「所得金額」=「収入金額」ー「収入から差し引かれる金額」)

所得は、その内容によって、

・給与所得
・事業所得
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得

の10種類に分けられ、それぞれの所得ごとに計算方法や収入・必要経費の範囲が決まっています。


2.課税所得金額の計算(「課税所得金額」=「所得金額」ー「所得控除額」)

課税所得金額とは、「全ての所得から所得控除額を差し引いたもの」です。所得控除とは、その人の個人的な事情を考慮し、課税対象となる所得金額を減らす=税負担を軽くするといった制度を指します。 具体的に、

・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除

があり、この所得控除額が大きいほど、その人が納めなければならない税額は低くなる仕組みになっています。 それぞれの控除についても、各リンクを押すことで概要が記載されている場所へ飛べるため、当てはまるものがないかチェックしてみてください。


3.所得税額の計算(「所得税額」=「課税所得金額」×「所得税の税率」)

所得税額は、課税所得金額に所得税に応じた税率を掛け合わせて計算します。なお、この税率は、所得が多くなるにつれて段階的に高くなる「超過累進税率」が採用されており、所得が多いほど税負担も重くなるという仕組みです。 税率は以下のようになっており、控除額がある場合は控除額を差し引いた金額が所得税額になります。

出典:国税庁ホームページ「No.2260 所得税の税率」


4.基準所得税額の計算(「基準所得税額」=「所得税額」ー「税額控除」)

所得税額においても、所得税控のように、税負担を減らすための控除を受けられる場合があります。 所得税額から差し引く金額を「税額控除」と呼び、当てはまるものがある場合、控除分を所得税額から差し引いて、最終的な所得税額(基準所得税額)を算出します。 税額控除には、主に以下のようなものが挙げられます。

・配当控除
・ (特定増改築等)住宅借入金等特別控除
・政党等寄附金特別控除
・認定NPO法人等寄附金特別控除
・公益社団法人等寄附金特別控除
・特定震災指定寄附金特別控除
・住宅耐震改修特別控除
・住宅特定改修特別税額控除
・認定長期優良住宅新築等特別税額控除

各リンクから、それぞれの控除の概要が記載されている箇所へ飛ぶことができます。 ご自身にあてはまるものがないか、いま一度ご確認ください。


5.所得税・復興特別所得税の申告納税額の計算(「申告納税額」=「基準所得税額」+「復興特別所得税額(基準所得税額×2.1%)」ー「源泉徴収税額など」)

基準所得税額に2.1%を掛け合わせたものが、「復興特別所得税」と呼ばれる税の金額です。 これは、被災地の復興財源を確保するための税金であり、2037年までは所得税とともに納税する必要があります。 基準所得税額と復興特別所得税を足した金額から、会社やアルバイト先などで源泉徴収された金額を引き、「最終的な申告納税額」が算出されます。


控除の種類

ここでは、所得税の確定申告における各控除の概要について説明します。 国税庁のホームページに、各控除額やその計算方法が記載されているため、当てはまるものがあった場合は確認してみてください。


所得控除

雑損控除:災害・盗難・横領などにより、生活に必要な資産(住宅・家財を含む)が損失を受けた場合に受けられる控除

医療費控除:医療費を一定額支払ったときに、受けられる控除

社会保険料控除:年金や健康保険といった社会保険料を支払ったとき、受けられる控除

小規模企業共済等掛金控除:小規模企業の経営者・役員・個人事業主が事業をやめたときや退職したとき、共済掛金を支払っていると受けられる控除

生命保険料控除:生命保険や海保医療保険、個人年金保険を支払ったときに受けられる控除

地震保険料控除:地震保険料や、旧長期損害保険料を支払ったときに受けられる控除

寄附金控除:国・地方公共団体・特定の法人などに対し、寄付を行なったとき受けられる控除

障害者控除:納税者自身や同一生計配偶者、扶養家族が障害者にあたる場合、受けられる控除

寡婦控除:夫と死別、または離婚しているか、夫の生死が不明なときに受けられる控除

ひとり親控除:現在婚姻関係になく、または配偶者の生死が不明なときに受けられる控除

勤労学生控除:働いている学生の給与所得が、1年間で一定水準以下の場合に受けられる控除

配偶者控除:納税者の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ生計を共にしており、給与収入が103万円以下の配偶者がいるときに受けられる控除

配偶者特別控除:納税者の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ生計を共にしており、給与収入が103万〜201.6万円未満の配偶者がいるときに受けられる控除

扶養控除:扶養する親族がいる場合に受けられる控除

基礎控除:原則として、合計所得金額が2,500万円以下の場合に受けられる控除


税額控除

配当控除:配当所得がある場合に受けられる控除

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除:家屋の新築・購入・増改築や、バリアフリー改修工事・省エネ改修工事を行うため、住宅ローンを組んだときに受けられる控除

政党等寄附金特別控除:特定の政治献金のうち、政党・政治資金団体に対するものがある場合に受けられる控除

認定NPO法人等寄附金特別控除:認定NPO法人等に対して寄付したときに受けられる控除

公益社団法人等寄附金特別控除:一定の公益社団法人や公益財団法人などに対して寄付したときに受けられる控除

特定震災指定寄附金特別控除:東日本大震災に関連し、被災者の支援活動に必要な資金に充てるためとして、一定の認定NPO法人等または中央共同募金会に対し、寄付した場合に受けられる控除

住宅耐震改修特別控除:家屋の耐震改修を行なったときに受けられる控除

住宅特定改修特別税額控除:家屋のバリアフリー改修工事や、省エネ改修工事を行なったときに受けられる控除

認定長期優良住宅新築等特別税額控除:定長期優良住宅を新築した、あるいは新築の認定長期優良住宅を購入した場合に受けられる控除


確定申告が必要な人とは?

上記では、確定申告の流れについて、詳しく説明してきました。 確定申告とはどういったものか、なんとなくイメージが掴めたでしょうか。 ここからは、具体的にどのような方が確定申告を行う必要があるのか、解説したいと思います。


年収2,000万円を超えるサラリーマン

会社に勤める従業員(正社員)であっても、「年間の給与が2,000万円を超える」場合、確定申告を行わなければいけません。 通常、源泉徴収と年末調整によって、会社が従業員の代わりに所得税額を納めています。 しかし、年間給与が2,000万円を超える従業員は、年末調整の対象外となるのです。 そのため、確定申告をして納税額の過不足を精算します。


自営業者やフリーランスなどの個人事業主

自営業者の場合、営業による収入は事業所得となります。 「年間の所得額が、基礎控除や医療費控除といった各控除額を上回っている」場合、その金額を所得税として納めなければいけません。 フリーランスも、多くの場合は自営業者と同様に、その報酬は事業所得となり、控除額を超えた金額は納税する必要があります。

しかし、中には「アルバイトとフリーの案件を掛け持ち」といった形態をとるようなフリーランスもいます。 その場合、フリーランスとして得た事業所得だけでなく、アルバイト先で得た給与所得も併せて計算し、確定申告をする必要があります。

特に、「収入額が給与所得控除額を上回っているが、年末調整が行われていない」という場合、給与所得に対し所得税が発生しているため、納税の義務があります。 アルバイトと掛け持ちしているフリーランスの方は、気をつけるようにしましょう。


株取引で所得がある人

株取引・投資による利益がある場合、その利益を配当所得や譲渡所得などとして計算し、控除額を上回った分、納税する必要があります。

なお、利益を得ている場合でも、 自動的に源泉徴収が行われる特定口座で取引している NISA・積み立てNISAなどにおいて、非課税投資枠内で取引している(NISA口座であれば税金の優遇があり、利益120万円までは確定申告が不要) に当てはまる場合、確定申告をする必要はありません。


不動産収入で所得がある人

土地・建物を譲渡したことによる所得 土地・建物を貸し付けることでの所得 船舶や航空機を貸し付けることでの所得 これら不動産収入による所得がある場合、その所得が各控除額を上回る場合は、確定申告をする必要があります。


公的年金を受け取っている一部の人

公的年金を受け取っている場合、原則として確定申告をする必要はありません。 しかし、以下に当てはまる場合は、公的年金の受給者であっても確定申告の必要があります。 公的年金を「400万円以上」受け取っている 公的年金以外の所得金額(給与・個人年金・不動産収入など)が「年間20万円」を超える


副業やアルバイトを掛け持ちしている人

正社員における副業や、アルバイトの掛け持ちといったダブルワークをしている場合、年末調整がされていない分は、自分で確定申告をしなければならない可能性があります。

正社員の場合、「副業による年間給与額、または売上から経費を引いた額が20万円を超える」のであれば確定申告しなければいけません。 しかし、例外として、 本業+副業の給与収入額から「雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除額」を引いた金額が「150万円以下」である という条件に当てはまる場合、副業の給与が20万円を超えていても確定申告をする必要はありません。

アルバイトでは、 合計の年間給与が103万円(勤労学生控除を利用する場合は130万円)を超えており、一部または全てのアルバイト先で源泉徴収されていない という場合に、確定申告の必要が出てきます。


確定申告をした方がお得な人

上記では、確定申告をしなければならない場合について説明してきました。 しかし、中には確定申告をした方がお得になるという人もいます。 一体、どのような時に確定申告をした方が良いのでしょうか。 以下で確定申告をした方がお得になるパターンについて、紹介していきます。


アルバイト先・パート先などで源泉徴収されている

通常、月の給与が88,000円を超える場合、アルバイト先やパート先で源泉徴収されます。 上記では、「年末調整によって源泉徴収の過不足を調整する」というように説明しました。

しかし、中には「アルバイト・パートの年末調整は行わない」といった方針をとる会社もあります。 また、アルバイトの掛け持ちをしている場合、年末調整は1つの職場でしか行えないため、どちらか1つは「源泉徴収されているが年末調整されていない」という状況になることもあるでしょう。

そのような場合、確定申告によって払いすぎた税金が還付される可能性があるのです。 具体的に、以下に当てはまる場合は、確定申告によってお金が戻ってきます。

・ 所得税の課税対象でないが、源泉徴収されている(年間給与が103万円・勤労学生控除を利用する場合は130万円以下)
・掛け持ちしており、所得税の課税対象であるが、年末調整が行われないアルバイト先から余分に源泉徴収されている


年間の医療費が家族で10万円を超える

「自分を含めた家族の年間医療費が10万円以上ある」場合、医療費控除の対象となるため、税負担が軽くなります。 なお、給与所得が200万円以下の場合は、総所得金額の5%以上の額を年間医療費で支払った場合、医療費控除を受けられます。

このほか、「セルフメディケーション税制」と呼ばれる制度もあります。 対象となる医薬品を購入した場合、12,000円を超える金額を控除額とする制度です。(年間88,000円が限度) 対象となる医薬品はOTC医薬品と呼ばれ、パッケージにその記載がある場合とない場合とがあります。不明な場合、薬局やドラッグストアの薬剤師に確認すると良いでしょう。


自営業で赤字が出ている

自営業で赤字となっている場合、源泉徴収されている額があれば、確定申告によってその額を還付してもらうことができます。

また、青色申告を行う場合、赤字となっている部分(控除しきれない部分)において、その額を3年間にわたって繰り越すことができます。 繰り越した額は各年の黒字額(所得金額)と相殺することができるため、赤字の場合でも確定申告をしましょう。


途中で退職した

年の途中で会社を退職し、そのまま再就職しなかったり、個人事業主となったりした場合、会社での年末調整はありません。

しかし、会社はあなたの年間所得を見込んで毎月の源泉徴収を行なっていました。そのため、結果として年間所得に対し多く源泉徴収されていた、ということも起こり得るでしょう。 その場合、確定申告によって、余分に支払っていた税額を還付してもらえるのです。


住宅ローンを組んだ

新築・増改築などで住宅ローンを初めて組んだという場合、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を受けられる可能性があります。

なお、会社勤めの場合、住宅ローン控除の確定申告は1年目のみでOKです。 2年目以降では、年末調整に組み込めるため、必要な書類を勤務先へ提出するようにしましょう。


ふるさと納税をしている

最近、話題となっているのが「ふるさと納税」です。 ふるさと納税とは、自分が生まれ育った故郷や、そのほか好きな地域・応援したい地域の自治体に寄付ができるという制度を言います。

ふるさと納税の確定申告を行なった場合、寄付した金額のうち、2,000円を超える部分を「寄附金控除」として、所得金額から控除することができます。 なお、控除対象になるふるさと納税額は「総所得金額等の40%」が上限と定められているため、注意しましょう。


災害などの被害に遭った

自然災害や盗難、横領などによって住宅・家財に損害を受けた場合、確定申告をすると、「雑損控除」または「災害減免法」が適用され、所得税の一部か全額が免除されます。 試算し、免除額が大きくなる方の制度を採用できるため、もし万が一のことがあれば、確定申告を行うようにしましょう。


確定申告が必要となる条件

計算したはいいものの、結局確定申告する必要があるのか分からない、という方もいらっしゃるでしょう。 最後にまとめとして、どういった場合に確定申告をしなければならないか、判断手順をいくつかのパターンに分けて解説します。 下記に当てはまった場合、確定申告の準備を始めましょう。


給与所得がある

  1. 年間所得の合計額から所得控除を差し引き、「課税対象となる所得金額」を計算する
  2. 課税対象の所得金額に、所得税の税率を掛け合わせ「所得税額」を計算する
  3. 所得税額から「配当控除額」「年末調整で控除を受けた住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」を差し引く

これらの計算を行い、以下のような条件に当てはまる場合は確定申告をしなければいけません。

・年間の給与所得額が2,000万円を超える
・ 副業での所得が年間20万円を超える
・副業やアルバイトの掛け持ちをしており、かつ年末調整されていない給与と、給与所得・退職所得を除く各所得金額の合計が20万円を超える
(本業+副業の給与収入額から雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の各所得控除額を引いた金額が150万円以下で、かつ給与所得・退職所得以外の各所得額の合計が20万円以下の場合は除く)

そのほか、同族会社の役員を務める場合や、災害減免法の対象となった場合などで、確定申告が必要となる可能性があります。 詳しくは、国税庁ホームページ「確定申告が必要な方」をご参照ください。


公的年金等に係る雑所得がある

・公的年金を400万円以上受け取っている(公的年金を含む雑所得額から、適用される所得控除を差し引いて残額がある)

・公的年金以外の所得金額(給与・個人年金・不動産収入など)が「年間20万円」を超える 公的年金を受け取っている方で上記に当てはまる場合、確定申告をしなければいけません。


退職所得がある

「外国企業から支給された退職金」のように、源泉徴収の対象とならない退職所得がある場合、確定申告が必要です。


そのほかの場合

上記のいずれかに当てはまらなくても、下記の計算を行って「残額がある」という方は、確定申告をしなければいけません。 これは、給与所得者以外の「フリーランス・自営業」の方や、「株・FXのトレーダー」といった方が主な対象となります。

  1. 年間所得の合計額から所得控除を差し引き、「課税対象となる所得金額」を計算する
  2. 課税対象の所得金額に、所得税の税率を掛け合わせ「所得税額」を計算する
  3. 最後に、所得税額から「配当控除額」を差し引く

最後に:Zehitomoのプロに依頼する

今回の記事では、確定申告はどういったものか、どのような時に行わなければいけないのか、詳しく説明してきました。改めて「自分は確定申告する必要がある」と気づいた方も、中にはいらっしゃるかもしれません。

しかし、受けられる控除が多かったり、複数の所得があったりする場合など、確定申告の手続きはかなり大変なものとなります。 自分ひとりでは、その全てを計算して申告するのが難しいことも。

そこで、複雑な確定申告を、税のスペシャリストである税理士に任せてみるのはいかがでしょうか。 Zehitomoには、あらゆるニーズに対応できる税理士が多く登録しています。 詳しくは以下のページで紹介しているため、気になる方は、ぜひご覧ください。




付録:所得は10種類ある あなたに当てはまるのはどれ?

給与所得

給料や賞与といった、会社から支払われる所得を指し、「サラリーマンの給料」「アルバイトの給料」などが該当します。 その金額は、次のような計算で求められます。

「給与所得」=「収入金額(源泉徴収される前の金額) 」ー「 給与所得控除額」


事業所得

商業や製造業、農業、漁業、ほか自由業など、事業を経営することで得られる所得を指します。 具体的に、「工場の売上」「フリーランスの報酬」「店の売上」などが該当し、次のような計算式で求められます。

「事業所得」=「総収入金額」ー「必要経費(収入を得るために直接必要となる売上原価や給与・賃金、土地代・家賃、減価償却費など)」


利子所得

銀行の預貯金や公社債の利子、また公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益分配による所得を指します。 「預貯金・公社債の利子」のように、源泉徴収される前の利子や収入金額が、そのまま利子所得に該当します。


配当所得

株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当・剰余金の分配・基金利息・投資法人からの金銭の分配あるいは投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などによる所得を指します。 「株式・出資による配当金」が配当所得に該当し、次のような計算式で求めることができます。

「配当所得」=「収入金額(源泉徴収税額を差し引く前の金額)」ー「株式などを取得するための借入金の利子」


不動産所得

土地や建物といった不動産や、地上権のように不動産の上に存在する権利、船舶・航空機などの貸付によって得られる所得を指します。 具体的には「家賃」「土地代」「権利金」などが該当し、次の計算式で求められます。

「不動産所得」=「総収入金額」ー「必要経費(固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費など)」


退職所得

退職によって、勤務先の職場から支払われる所得を指します。 「退職金」「退職一時金」などが該当し、次のような計算式で求められます。

「退職所得」=(「収入金額」(源泉徴収される前の金額)-「退職所得控除額」)×1/2


山林所得

取得から5年以上経過した山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡したりすることで得る所得です。 山林を譲渡したときに受け取る所得が該当し、次のような計算で求められます。

「山林所得」=「総収入金額」ー「必要経費(取得費、育成費、維持管理費、伐採費など)」ー「特別控除額」(上限50万円)


譲渡所得

土地や建物、株式、ゴルフクラブの会員権といった資産を譲渡することで生じる所得です。 具体的に、それぞれ譲渡したときに受け取る所得が該当し、基本的に次のような計算式で求められます。

「譲渡所得」=「収入金額」ー(「取得費 」+ 「譲渡費用」)ー「特別控除額 」


一時所得

懸賞や何かしらの賞金、ギャンブルによる払戻金など、労働・役務・資産譲渡への対価といった性質を持たない所得を指します。 具体的には「イベントの賞金」「満期で払い戻された生命保険金」「競馬の払戻金」「落し物を拾ったときの報労金」などが該当し、次の計算式で求められます。

「一時所得」=「総収入金額」ー「収入を得るために支出した金額」ー「特別控除額(上限50万円)」


雑所得

公的年金や非営業用貸金の利子、作家でない者が支払われる原稿料や講演料など、上記の所得のうち、いずれにも当てはまらないものが雑所得です。 具体的に、「公的年金」「フリーマーケットでの売上」「ネットオークションでの売上」「アフィリエイトブログの利益」などが該当し、次の計算式で求めます。

「公的年金等の雑所得」=「収入金額 」ー「公的年金等控除額」 「そのほかの雑所得」=「総収入金額」ー「必要経費」


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