10/30/2018

ローフード とは?【スーパーフードアドバイザー監修】

ローフードとはなんでしょうか?ここでは料理、食、そしてスーパーフードのプロフェッショナルの方にコメントをいただき、ローフードについて解説します。

スーパーフード料理家 YORIKO

superfoods kitchen casa Y主宰。イタリアの有名菓子店で6年間修行後帰国、東京のアルマーニ リストランテで働き、インターナショナルスーパーフード協会の認定アドバイザーの資格を取得して独立。世界中でスーパーフードと料理に関わる仕事に就く。

スーパーフード料理家として世界各地で料理教室や食育講座の開催、ヘルシーメニューやスイーツの提案や商品開発に携わるかたわら、ヘルシーミールのケータリング、メニューキット販売、料理の冷凍定期便なども行う。

このプロにローフードについて教えてもらう

ローフードとは?

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

ローフードとは生の食材です。ローは英語でraw, フードはfoodです。言葉の明確な定義はありませんが、日本ではローフードというと生の食材や、生の食材を調理していただくことを指します。

ロンドンのローフードレストランの設立者はBBCの記事で「ローフードとは、精製されていない、化学的な処理もされていない、48度以上で加熱処理されていないものを指す」と述べています。

なぜ食材を生で食べるの?

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

食材には酵素が含まれていますが、加熱してしまうと食材に含まれている酵素は無くなりますが、加熱をしなければ、生の食材であれば酵素がふんだんに含まれています。その酵素を摂取するためにローフードを食べます。

酵素とは

ヒトの体内には5000種類もの酵素が存在しますが、酵素はそれぞれの役割があり、なおかつ限られた条件の中でしか活動しません。

2つに大きく分けると代謝酵素と消化酵素です。酵素の働きを簡単に説明すると、生命活動を維持する酵素は代謝酵素で、体内に取り込まれた食事を消化するのに使われる酵素が消化酵素です。

日本人と代謝酵素、消化酵素

日本人はこれまで白米、味噌製品、野菜や肉、などある程度決まった和食を口にしてきました。しかし文明の発展とともに口にするものが多様化しています。

洋食、ファストフード、これまで見たことのないような製品や食材、各国の料理など色々なものを口にする機会も増えました。つまり体内では消化活動が盛んになり、消化酵素が使われ、生命活動を維持するための代謝酵素が足りないという状況がうまれます。

さらに加工食品や加熱食品を口にすると、食材に酵素が含まれていません。なぜならば、酵素は「限られた条件の中でしか活動しない」ためです。

「ヒトの体内の酵素が活動する限られた条件」とは、35〜40度の温度、中性(酸性でもアルカリ性でもなく中性)のpHです。もちろん胃で活動する酵素は酸性のpH下でよく働き、中性のpHでは活動しないなど、酵素の種類によっても活動条件は異なります。

たくさんの多くの種類の食材を口にすると、消化するために酵素が必要、しかし食材から酵素を取り入れることができず、代謝酵素が消化に使われはじめます。すると生命活動を維持する代謝酵素が足りなくなり、めぐりめぐって代謝が悪くなり、具合が悪い、太りやすい、さまざまな悪循環とデメリットが発生します。

ローフード、つまり生の食材を口にすることで酵素を体内に充分に摂取することができ、体の中に代謝酵素と消化酵素が行き渡る状態を作って健康に暮らすことができると考えることができます。そのために、ローフードを積極的に食べることがすすめられています。

ローフードを食べることのメリットとリスク

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

メリット

体内の酵素が増えることで、代謝酵素と消化酵素のバランスが整い、体調が良くなり、代謝がよくなります。代謝が良くなることで血液やリンパの流れが滞らなくなり、体内に老廃物がたまらなくなります。

痩せるかどうかはその人の生活リズム次第ですが、「痩せやすい体質に近づく」と考えることができます。しかし「痩せる」と実証された実験はないため、あくまでも「痩せやすい体質に近づくと言える」という表現にとどめます。

リスク

オーガニック食材など、安全性の高い食材の方が望ましいです。化学肥料などを使っていない土地で育まれた食材の方が、生でも加熱しても、安全性が高いです。

ローフードは生の食材です。つまり生のままで食べることで食中毒になる可能性があるため、食べるタイミングや食べることのできる人が限定されます。つまり妊娠中である、免疫力が低下している、疲れがたまりすぎている、乳幼児や高齢であるなど、食中毒に弱い方は食材や食べ方にじゅうぶん注意します。例えば乳児は非加熱のはちみつを決して食べてはいけません。

調理や料理のメリットとリスク

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

調理した食材や料理の栄養素は、調理の過程で壊れていたり、減っていたりすることがあります。しかし食材によっては加熱することで栄養価が増える、油と一緒に炒めることで特定の栄養価が増えるということもあります。

「調理したものを食べてはいけない、加熱してはいけない」というわけではありません。

また加熱することで食中毒をもたらすウイルスや菌を死滅させることができます。例えば卵かけご飯は炊いたお米と生卵を使いますが、生卵はサルモネラ菌による食中毒のリスクがあります。世界で見ると卵を生で食べる食文化は珍しいです。

食中毒のリスクがある食材は安全のために加熱するべきで、ローフードとして無理に取り入れないようにします。

調理によるメリットはあり、加熱することで生では摂取できない栄養素をいただくこともできます。フィトケミカルという成分は玉ねぎの皮や人参の皮やヘタなどに含まれ、長時間煮出さなければ摂取できません。

おすすめの摂取方法は、丸ごとスープにして、漉して調理する方法です。しかしこれは加熱調理です。つまり生ではありませんが、メリットがあります。

また、ホウレンソウなどの葉物野菜には(葉物野菜だけではありませんが)、栽培過程でけっこうな量の農薬を使う食材も多数あります。しかし茹でると、アクと一緒にある程度落とすことができます。

全ての加熱調理にデメリットがあるわけではなく、栄養素や食材によってはメリットがあります。


調理のコツも、ぜひ知っていただきたいです。みなさまからよく聞くのは「飽きてしまう」というご意見です。これは、旨味が欠けているからではないでしょうか?

生で食材をいただくと、加熱調理では出てこない、ご飯(でんぷん)を加熱処理した時に出てくる甘みのようなものもありません。

料理に旨味を持たせるために、味噌や塩麹、ハーブなどを加えることで味を足したり、味を変えたりしながら、飽きずに楽しんでいただきたいです。形や色、切り方を変え、食感や色を変えながら、おいしくローフードをいただいてほしいです。

いろいろなローフード

例えばオーガニック食品は、各国の基準がありますが、日本におけるオーガニック食品や製品の厳密な基準はありません。これと同じで、ローフードにも厳密な基準がないため、仕分けが難しいです。ここでは「精製されていない、化学的な処理もされていない、48度以上で加熱処理されていない食材」をローフードとして解説します。

日本のローフード

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

お漬物やこうじ(麹)、納豆などの発酵食品はローフードです。お新香も、魚を生でいただくお刺身もローフードです。

新鮮な食材ではなくても、発酵食品のように時間が経過したものもローフードの一種と考えると、食材や調味料の選択肢が広がります。

海外のローフード

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

アーモンドミルクやライスミルクは海外で始まり、日本にも輸入されている食材です。しかし「生の」アーモンドやお米などを絞ったミルクであればローフードです。

他には、加熱処理をしていないメープルシロップ、レーズンやドライマンゴーやドライココナッツなどのドライフルーツも熱風乾燥させていなければローフードの一種です。(熱風乾燥とはドライフルーツを作るために人工的な熱風で乾燥させること)またキヌアやアサイーなどで有名なスーパーフードもローフードのものがたくさんあります。

チョコレート

ローチョコレートに使われるローカカオは、薬のように栄養価の高い特別な食材です。チョコレートは世界中の人に愛されています。

ローチョコレート/ローカカオと、カカオ分が高いチョコレートは違います。私はもともとチョコレート職人でしたが、初めてローカカオを食べた時に「生きている食べ物だ」と感じました。

ヨーロッパの様々な国で、色々なチョコレートをいただきましたが、ローチョコレートをいただいた時に「どのチョコレートよりもおいしい」と衝撃を受けました。味も香りも、全く違います。もちろん値段も全然違うのですが(笑)

ローチョコレートに使われているカカオは、48度以下で低温乾燥されていて、味も香りもフレッシュです。値段は張っても、その価値と栄養価があります。

オイル

エキストラバージンでコールドプレスのオイルを選んでください。エキストラバージンとは一番搾りのこと。酸化していなく、クリーンです。コールドプレスとは加熱処理をしていないこと、つまりローオイルです。

人間はタンパク質とミネラルと脂質などで構成されていますが、オイルを体内で作り出すことができないので、食べて摂取しなければいけません。だからこそ酸化した錆びたオイルではなく、コールドプレスでエキストラバージンのオイルを摂取してほしいです。

カロリーを考えて食事をする人が多く、ダイエット、イコール油をカットするという考え方がとても浸透しています。しかしカロリーだけで考えず、クリーンなオイルでの油分を摂取していただきたいです。

食事の中オイルをカットすると、脳が満足できず、糖質を食べたくなってしまい、余計な食べ物やお菓子に手が伸びてしまいます。健康のために、ローオイルという栄養価の高い油を摂取してほしいです。

ローフードの食べ方

ローフード ゼヒトモ Zehitomo プロ監修

食生活の中に少しずつ取り入れ始める

朝ごはんにスムージーを飲む、フルーツを食べる、昼ごはんにサラダを食べるなど、まずは食生活の一部を生の食材に置き換えます。

メニューの中に必ずサラダを入れてみる、スムージーを飲むときは自分で買った果物で自分で作りコンビニのスムージーは飲まないなど、簡単なルールを作ることから始めてみましょう。

例えばコンビニで鳥のなんこつ揚げのおつまみを買っていたところを、野菜スティックに変えてみる。これも大きな一歩ですよ。

慣れるまでは「頑張らない」

慣れると簡単なことも、慣れるまでは手間に感じられるものです。まずは簡単なことから始めて、「がんばってローフードを食べる」と頑張りすぎないことです。

サラダを食べる習慣がついたら、買うのではなく自分でサラダを作る習慣を作るとか、スーパーフードを買ってみたのであれば、1袋食べ終わるまで続けてみるとか。シンプルなことが1週間、そして1ヶ月続くように取り組んでみてください。

調理法を知る

「ローフード」「ローフード レシピ」「ローフード レシピ 人気」などとレシピを探せばいくらでも出てきます。中には毎食ローフードでの食生活を実践しているような人の考案した複雑な調理法のレシピもたくさんあります。

ローフードに無縁な生活を送っていると「生のナッツを購入し、一晩水に浸してからミキサーにかける」という工程でさえ、「することが多い、簡単ではない」と読んだだけで驚くでしょう。

ローフードのレシピは分解すると単純です。切る、あえる、混ぜる、ミキサーやフードプロセッサーにかける、このような動作のみで作ることができます。

ローフードを実践するとわかりますが、スーパーで食材を買う際には生の食材を購入できても、コンビニやお惣菜屋さんでローフードを買うのは大変なことで、なかなか買うことはできません。自分で作った方が楽です。

調理法がわかればメニューの幅が広がり、ますます楽しんでローフードを生活に取り入れることができるようになります。

ローフードの取り入れ方いろいろ

ローフードの食べ方には、ストイックに生の食材を摂取する方法もあれば、食事の中にローフードを積極的に取り入れるけれどそこまでストイックではない、わかりやすく言うと「ゆるく、ローフードを取り入れてみる方法」があります。

例えばスイーツ、お菓子は焼いた物や加熱したもの、加熱した食材が多いです。焼いたお菓子は糖化を促進する成分が多く含まれますが、糖化を促進させないためにロースイーツを選んでみませんか。

まずはフルーツが取り入れやすいです。お菓子の起源はフルーツです。生のままいただく、もしくは低温で乾かしたドライフルーツもローフードです。海外は低温乾燥をしたドライフルーツも多いですが、日本ではなかなか見かけることができないのは残念なことです。

もし低温乾燥のドライフルーツを見かけたら、おやつに取り入れてみる。そうやってローフードを始めてみる、取り入れてみることもできます。

YORIKOさんより

健康な食材=おいしくない?

「健康にいい食べ物を食べてみる、健康にいい食材を使った有名な料理教室に通ってみたけれどおいしくなかった」という意見を聞くことがあります。有名な料理教室や料理でも、「作り手や、レシピの考案者がこれまでどのような料理を作ってきたか、口にしてきたか」で味の再現が変わってきます。

料理のイロハがわかるか?これまでおいしいものを食べてきたか?おいしい料理や味を知っているか?、など、レシピを作る人のベースがどこにあるか、何をしてきたかは大切なことだと思います。健康な食事をいただくことと、おいしくいただくことは両立しますよ。

決めつけず、幅広く、楽しんでほしい

食材には動物性、植物性があり、ローフードにおいても植物性の食材を食べることを軸にして「動物性の食材は食べない」という方も多くいらっしゃいます。

私はイタリアにいましたが、地方によっては生のお肉もいただきます。牛肉の仔牛をカルパッチョやタルタルにしていただきます。

これは私の考えですが、「動物や魚を食べてはいけない」とは考えていません。衛生面にしっかり気をつけながら、幅広く生の食材を摂取してはいかがでしょうか。その土地ならではのローフードを、楽しみながら調理していただいてみてください。

このプロにローフードについて教えてもらう

最後に

ZehitomoにはYORIKOさんのようなプロの料理人の方だけではなく、パーソナルトレーナーや、体のメンテナンスに関わるプロフェッショナルの方が多くいらっしゃいます。

料理人の方だけでなく、トレーナーのみなさまの多くが「体を動かすことと同じくらい、それ以上に『普段、何を食べるか』はとても大切なことです」とおっしゃいます。

「医療費を下げるために、普段から意識して食べるものを選んでみてほしい」と語るYORIKOさん。ローフードをうまく取り入れてみる生活、あなたも始めてみませんか?

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