12/12/2018

消火器の処分方法に関する解説【専門家が監修】

不用品回収業者へ処分の相談が多い消火器。国内製の消火器は、国によってリサイクルが推進されており、処分方法が決まっています。

故人の住居を引き払う際や、大掛かりな引越しの際、自宅に日本国内製の消火器があるご家庭は、まずは消火器の処分手配をしましょう。消火器処分にはお金も時間も手間もかかるためです。

ここでは消火器のリサイクル処分方法や、かつて起きた消火器に関連する事故なども紹介します。

高橋 洋介さま

株式会社alife 代表取締役、総合便利サービスにじいろ代表。「どこよりも誠実に」を心がけて不用品回収サービスを提供している。2017年の年間作業実績600件以上。

不用品回収は、サービス内容などが見えづらい、わかりづらいことから「頼みづらい」とお考えのお客様が多い現状に対して、「頼んで良かった」と思ってもらえる、期待値を超えるサービスを心がけている。

このプロに消火器の回収方法を相談する

消火器を処分するためのポイント3つ

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1.処分したい消火器の種類を確認する

不用になった消火器は、自治体のごみとして収集・処分することができません。処分方法は消火器の製造国や品目によって異なるため、処分したい消火器がどの品目に該当するのか、はじめに確認する必要があります。

国内で製造された消火器は、一般社団法人日本消火器工業会が行う廃消火器リサイクルシステムによってリサイクル処分をします。

国産の消火器であれば種類(ABC粉末消火器・二酸化炭素消火器・強化液消火器など)を問わず処分を受け入れてくれます。

外国製消火器とエアゾール式簡易消火具は、廃消火器リサイクルシステムによるリサイクル処分はできません。自治体や処分業者に相談することになります。

2.引き取りを依頼しようとする業者が、一般社団法人日本消火器工業会による指定窓口であるかどうか確認する

国内で製造された消火器の引き取り処分を依頼する場合は、一般社団法人日本消火器工業会の指定する窓口を利用します。

消火器の販売代理店や防災・防犯事業者が特定窓口とな理、引き取りを行います。この窓口は日本全国に約5,200ヶ所あります。

また、消火器を指定の窓口に直接持ち込むこともできます。上記の特定窓口の他に、日本消火器工業会が設営した指定引取場所で処分したい消火器の受け入れをしています。指定引取場所は、日本全国に約210ヶ所ほどあります。

3.「国内製造の消火器」ではない消火具の処分依頼は、指定窓口ではない業者にも依頼することができる

外国製消火器やエアゾール式簡易消火具など、リサイクル対象外の消火具の処分は、リサイクル取り扱い窓口を利用することはできません。

外国製消火器の処分方法は、製造元か販売元に確認してください。エアゾール式簡易消火具などは、各自治体のルールに従って処分します。スプレー缶の中を抜き、外は缶や不燃物として処分するルールが一般的です。

ホームセンターによっては、無料で消火器の回収を行っていることがあります。条件として「ホームセンターで新しい消火器を購入すると」「購入本数と同じ本数の、不用な消火器」など定められていますが、無料で回収していることがあります。

消火器の買い替えを検討しているのであれば、一度近隣のホームセンターの新規購入と引き取りについて確認すると良いでしょう。

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「空家や遺品整理、残置物を全て処分してほしい」というご依頼の際に、「消火器も持って行けないか?」とのご相談をいただくことは多いです。
しかし、消火器は種類によって回収方法が異なること、日本国内製の消火器はリサイクルをしなければならないということを全くご存知ない方がほとんどです。

個人宅の消火器の処分方法2つ

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1.消火器リサイクル推進センター(一般社団法人日本消火器工業会)を通じて引き取り依頼をする

消火器リサイクル推進センターによる廃消火器リサイクルシステムで処分をする際は、消火器にリサイクルシールを貼り付けます。

2010年1月以降に製造された消火器は、本体にリサイクルシールが貼られた状態で販売されており、そのまま取り扱い窓口に引き渡すことができます。

リサイクルシールが貼られていない2009年以前に製造された消火器は、既販品用リサイクルシールを取り扱い窓口で購入し、消火器本体に貼り付けて、引き渡します。

リサイクルシールは、バーコードが縦になるようにして本体ラベル部分に被らない場所に貼り付けます。レバーなどの凹凸のある場所や、錆や汚れのある場所の貼り付けは避けるように注意しましょう。

また、収集・運搬の際には中の消火薬剤などが漏れたり、飛び散ったりすることのないよう、事前に処置する必要があります。消火器に安全栓がある場合は、ストッパーが固定されるように正しくセットされているか確認しましょう。

安全栓がない消火器は、ストッパーをガムテープなどでしっかり固定します。中身が漏れているものは、袋に入れておきます。

手配方法は、まず最寄りの消火器販売代理店や防災・防犯事業者の特定窓口に連絡をして引き取りを依頼します。一部の窓口では引き取りに来れないことがあるため、必ず直接窓口に電話をして確認をしましょう。

リサイクルシステム取り扱いの特定窓口は、「消火器リサイクル窓口」とインターネットで検索をするか、消火器リサイクル推進センターのホームページで検索ができます。

2.指定窓口に持ち込む

特定窓口、または消火器メーカー営業所や廃棄物処理業者などの指定引取り場所に、直接持ち込んで処分を依頼することもできます。

引き渡しまでの方法は引き取りでの処分方法と同じです。まずは、最寄りの消火器販売代理店や防災・防犯事業者の特定窓口か、日本消火器工業会が設営した指定引取り場所に問い合わせを行います。持ち込み希望である旨を伝えて、受け入れ可能な時間などを確認しましょう。

リサイクルシステム特定窓口や指定引取り場所の利用が難しい場合は、ゆうパックで消火器を郵送して処分を依頼することもできます。ただし、消火薬剤量が3kg以下または3L以下の消火器に限られます。

消火器リサイクル推進センターのゆうパック専用コールセンター(0120-822-306)に電話で事前申し込みをすると、発送用の伝票や専用箱が自宅に送られてきますので、消火器を梱包し発送します。処分代金は、伝票や専用箱が到着する時に代金引換で支払います。

リサイクルシールが貼られていない消火器は、あらかじめ取り扱い窓口で購入しておいたリサイクルシールを本体に貼り付けてから梱包しなければならないため、リサイクルシールの有無を先に確認してください。
その後、郵便局に引き取り回収をしてもらうか、郵便局窓口に持ち込みをして発送をします。

申し込みをせずに郵便局へ持ち込むと対応してもらえません。また、離島はこのサービスを利用できません。

ゆうパック以外には、西濃運輸に持ち込むこともできます。持ち込み可能な事業所は限られますので、事前に最寄りの西濃運輸事業所に電話で確認をしましょう。リサイクルシールの販売は西濃運輸で行っていないため、事前に別の場所で購入しておく必要があります。

事業所(法人)の消火器の処分方法2つ

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1.特定窓口に引き取りを依頼する

事業所から排出する不用な消火器についても、引き取りでの処分方法は個人宅の場合と同じです。

2.特定窓口もしくは指定引き取り場所に持ち込む

事業所の消火器を持ち込みでの処分をする場合も、個人宅の方法と同じです。ただし、ゆうパックでの回収は、法人はサービス対象外のため利用できません。

エアゾール消火具の処分方法2つ

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1.自治体を使って処分する

エアゾール式簡易消火具は中身を出し切り、スプレー缶として各自治体のルールに従って処分をします。プラスチック製のキャップは取り外し、プラスチック製容器包装として処分します。

中身の出し方は、製造元や販売元に確認すると確実で安全です。製造元や販売元が不明の場合は、日本エアゾール協会に相談をしてください。

一般的なエアゾール消火具の中身の出し方は、消火薬剤を吸収の良い紙などに吸わせる方法です。

大きな30リットル程度のビニール袋の中に、丸めた新聞紙を複数枚入れておき、そこに中身の薬剤をスプレーして放出します。

完全に消火薬剤が出て、圧力が抜け切るまで数十秒かかります。必ず火気のない風通しの良い場所で行います。また、皮膚に薬剤が付着しないようゴム手袋などをして作業すると安全です。薬剤を吸い取った新聞紙は可燃ごみとして廃棄しましょう。

エアゾール式簡易消火具の一部製品は、過去に破裂する事件が発生しています。該当製品を消防局のホームページで確認することができます。該当のエアゾール式簡易消火具についてはスプレー缶として廃棄せず、製造元へ問い合わせを行ってください。

2.不用品回収業者に依頼する

処分したいエアゾール消火具や外国製の消火器がたくさんあると、処分の手間や時間、手数料もかさみます。消火器リサイクル推進センターや、不用品回収業者を利用すると良いでしょう。

「中身を抜くところから処分まで、まとめて全て対応してほしい」という要望をかなえてくれる不用品回収業者もいます。

火災感知器や非常灯・誘導灯などのリサイクルシステム対象外の消火関連用品も一度に処分をしたいときも、不用品回収業者が便利です。梱包や搬出の手間がかからず、すべての作業を請け負ってくれる業者もおり、利用者の負担も軽くなります。

消火器の処分にかかる費用

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個人宅の消火器の処分費用

費用は、引き取り/持ち込みのいずれの方法でも、2010年以降に国内で製造された消火器/2009年以前に国内で製造された消火器でも、「窓口によって料金が異なる」「窓口に問い合わせて比較する」ということになります。

2010年以降に国内で製造された消火器にかかる引き取りの処分費用は、収集運搬・保管料金として約1,000~3,500円程度かかります。

持ち込みでは、指定引取場所を利用すると料金はかかりませんが、その他の特定窓口では保管料金として1,000~1,500円程度かかります。ゆうパックを利用すると、全国一律2,200円(税抜き)です。

2009年以前に国内で製造された消火器にかかる費用は、上記の料金に加えてリサイクルシール代が必要です。消火器リサイクル推進センターから購入すると、小型用のシールで1枚550円、シール代とは別で1回の購入で送料と手数料に別途1,026円かかります。クロネコヤマトの代金引換文で送られてくるため、受け取り時に支払います。

事業所(法人)の消火器の処分費用

事業所から排出される消火器の処分費用も、個人宅の消火器処分と同じです。ただしゆうパックでの回収は利用できません。

消火器の本数が多い法人や事業所は、消火器リサイクル推進センターに相談しましょう。

リサイクルシールの値段

リサイクルシールは、特定窓口や指定引取場所でも購入できますが、独占禁止法の関係でオープン価格です。

つまりリサイクルシールの価格は各取り扱い窓口が設定した料金で販売されており、窓口によって値段が異なります。事前に各取扱窓口にて確認してください。また、リサイクルシールには有効期限があります。

エアゾール消火具の処分費用(自治体を通じて処分をする場合)

エアゾール式簡易消火具をスプレー缶として処分するには、各自治体のごみの出し方によってかかる費用が異なります。

東京都23区では自治体指定のごみ袋がありません。例えば、世田谷区、江東区、江戸川区、中野区では、スプレー缶は中身を出し切った上で、他のごみとは別にして中身の見える透明な袋に入れ、不燃ごみとして出すことになっています。

出し方の詳細な方法はそれぞれの自治体で異なりますが、中身の見えるものなど、条件に合った袋であれば、100円ショップで売っているものでも使用できます。
一方、指定ごみ袋での収集が義務付けられている自治体では、スプレー缶が入る小さな袋で、1袋あたり6~20円の費用がかかります。

エアゾール消火具の処分費用(不用品回収業者に依頼をして処分をする場合)

不用品回収業者にエアゾール簡易消火具の処分を依頼する場合は、スプレー缶1缶あたり300~500円程度です。

ただし、エアゾール簡易消火具の処分だけの依頼を引き受けてくれるか、その場合の最低料金はいくらか確認しましょう。消火具自体が小さくても、処分業者にとっては1件の仕事なので、手間暇や時間、交通費がかかることには変わりありません。

その他の不用品と一緒に処分を依頼する場合は、45リットルのごみ袋で1袋あたり1,000~1,500円程度、軽トラック1台に積めるだけ処分してもらえるサービスでは、15,000~25,000円程度の費用がかかります。あらかじめ、見積もりの段階で支払い総額を確認しておくと安心です。

消火器の処分、運用ルール4つ

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1.消火器の処分に関する法律とルール

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づき、耐用年数が過ぎた消火器や、傷や劣化により安全に使用できなくなった消火器は適正に廃棄しなければいけません。

2010年から一般社団法人日本消火器工業会によって、全国的に廃消火器リサイクルシステムが開始されました。環境大臣の認定を受けたシステムで、法律を遵守して消火器の回収とリサイクルを効率的に進め、環境に対する負荷を減らし、地球温暖化を防止する目的で構築されています。不法投棄や破裂事故の防止にも役立っています。

このリサイクルシステムを通じて回収された消火器は、リサイクル施設で解体・分別されます。本体容器、蓋、粉末消火薬剤など約92%が再資源化されます。

2.国内で製造された消火器

使用済みの消火器や点検の結果、廃棄処分することとなった消火器は廃消火器と呼ばれます。事業所から排出されたものは法律上、中身の消火薬剤は事業系一般廃棄物、本体容器やホースなどは産業廃棄物とされています。

家庭から排出される廃消火器は、一般廃棄物に位置づけられます。これらは先にも触れた通り、廃棄物処理法に基づいて正しく処理しなければいけません。

3.外国製の消火器、エアゾール式消火具

エアゾール式簡易消火具は法律上、消火器ではありません。環境大臣が認定する廃棄物処理法に関する特例制度の広域認定を受けておらず、つまり廃消火器リサイクルシステムの対象外製品です。

4.消火器の使用期限

消火器には寿命があり、耐用年数は業務用で10年、住宅用で5年です。すべての消火器の本体のラベルには製造年が明記されており、消火器によっては使用期限もしくは品質保障期間も表示されています。

ラベルに耐用年数の表記がない場合は、最寄りのリサイクルシステム取り扱い窓口に相談してください。

耐用年数を過ぎて老朽化した消火器を使用、または放置し続けると、破裂事故などの重大な事故の危険性が高まり、思わぬ人身事故に繋がる可能性が高まります。

実際にあった事故の例は以下です。

・キッチンに保管していた使用期限切れの消火器が突然破裂し、腹部に激突。
・屋外に設置してあった老朽化した消火器が破裂し、破片が子供の頭部を直撃、重症を負う。
・放置されていた消火器のレバーの操作を試みたところ、消火器が破裂して男性が負傷。
・古い消火器の廃棄処分のため中身を噴射させようとレバーを握ると、錆びた底部に亀裂が生じて、そこから噴出した消火薬剤により消火器がロケットのように飛び上がって男性の顔面を直撃、出血多量で亡くなる。
・誰も触っていない消火器の安全ピンが抜け落ち、突然噴射して周辺が消火薬剤だらけになる。

このような事故は、耐用年数を過ぎた消火器を速やかに適切に処分することで防ぐことができます。

また、古い消火器の消火薬剤の放出や本体の分解は危険です。絶対に行わないでください。中身の消火薬剤は入ったままで回収できます。自分で操作せず、必ずそのままの状態で購入先や専門業者、リサイクルシステム取り扱い窓口で相談し、処分の依頼をしましょう。

現在各メーカーが生産している、家庭や事業所で使用される一般的な粉末消火器は、一部の受注生産を除くとすべて蓄圧式消火器です。蓄圧式消火器は本体容器内にあらかじめ窒素ガスを蓄圧しており、安全性に優れています。消火器本体が劣化しても破裂しません。

しかし、一般に最も普及している消火器は、現在では製造中止になっている加圧式消火器です。加圧式消火器とは、炭酸ガスを発生させて急激に圧力を加えるタイプの加圧式消火器です。これまで作られ、日本中で普及していますが、蓄圧式と違い、本体の劣化によって破裂などが起こる可能性があります。これまで起きた事故のすべてが加圧式によるものです。

消火器は強い圧力を用いて消火をする圧力容器と認識して、取り扱いや保管には十分注意します。

多くの事業所に設置されている消火器は、定期的な点検が義務付けられていますが、一般家庭の消火器には法律がありません。いざという時に安全に使用できるよう、点検を怠ったことで事故に巻き込まれることがないよう、自主的に点検をしましょう。

点検するポイントは、安全ピンが正しく付いているか、本体容器・キャップにサビや腐食がないか、変形や凹みはないか、ホースが抜け落ちていたり、ひびが入ったりしていないかなどです。

最後に

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消火器は自治体では処分を受け付けていません。
「処分方法がいまいちわからない」「どうすればいいのかはっきりわからず困っている」という方が多いです。
粗大ゴミとして自治体で処分できる消火具とは違い、国内製の消火器は再資源化を目的に、適正な処分が義務づけられています。
消火器リサイクル推進センターへのリサイクル処分を行ってくださいね。


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